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【動画開発の気づき】動画開発担当 随時更新されるソフトに悩む

みなさんこんにちは デジタルハリウッド動画教材の開発の人です。クリエイティブツールの動画教材開発で悩むこととして、以前のnoteでオリジナル素材の準備のことを書きましたが、もうひとつ大きな大きな悩みがありました!のでお話しします。
 
それは、「近年の制作ソフトのほとんどがサブスクリプション型になり機能が随時更新されるようになった」ということです。

~のどかだった買い切りソフトの時代~


例えばかつてAdobeのソフトはCD やDVDからパソコンにインストールするタイプのパッケージ販売 CS3→CS4→CS5と年に1度のバージョン毎アップデートでした。(少しお金を払うとアップデートディスクを買えた) それゆえ我々開発チームも、年に1度、更新された部分や大幅に変わって撮りなおす必要のある部分などに対応すればよく、開発もしやすかったです。(Adobeに関する書籍などを出している出版社も、新しいバージョンのソフトがリリースされるとそこから半年くらいかけて検証しながら書籍を作ってましたね 懐かしい時代です<遠い目…>)

~サブスクリプション型ソフト提供とアジャイル型開発時代へ~


しかしサブスクリプション(定期購読、継続購入の意味 一般的には月額課金)に伴い、もともとスマホアプリやWebサービスの開発で使われていたアジャイル型開発に移行してます。
アジャイル型というのは、聞きなれない方も多いと思いますが、
簡単にいうと、「完璧な仕様に基づいて作るのではなく、大体の仕様で作ったらすぐに世に出して、ダメな部分は都度修正していこう!」というものです。
欧米的発想でいえば、
「HEY! アプリなんてデジタルなんだから、どんどん修正すればいいじゃん!日本人みたいに「“完全なもの”を作らないと世に出せない!!」とかいって“開発期間ウン10年”なんて言っていたら日が暮れちまうぜ!それに完全なものなんて人間なんだから作れるわけないだろう!?お客さんのフィードバックから、機能が改善されていくほうが顧客は「どんどん我々の意見を元に改善してくれてる~!」って錯覚して喜んでもらえるから一石二鳥じゃね?」 てな感じでしょうか。
 
こんなご都合主義でそうなったか?は定かではありませんが、スマホアプリやWebサービスの登場によってアジャイル型開発があたりまえになり、サブスクリプション型になってから、知らない間にソフトがシレっと不定期に更新されていることが多くなりました!
我々開発チームで動画教材の開発が完了した数週間後に、新しいバージョンに更新された!なんてこともザラなわけで、胃が痛い毎日を過ごしております(泣)

最新ソフトで学びたい!その気持ちに何とか動画の更新で答えたいたいが・・・


受講生の皆さんは、最新バージョンのソフトで学びたい!と思われると思います。もちろん私たちも最新のバージョンのソフトで受講していただけるに越したことはないと思ってます。しかし中々この問題は難しさをはらんでいます。

例えば、とある受講生の方から問い合わせが来ました。
「Photoshopを最新版に更新したらラインツール(線を引くツール)で引いた線の太さを変えるウィンドウが見当たりません。それを調べるのに時間がかかりすぎてしまいました。早くこの部分の動画を撮りなおしてしてください!最新版にしてもらわないと受講に困ります!」

長年Photoshopでは定番だったこのウィンドウがアップデートで消えた・・

ラインツールは線を描けるツールですが、ライン自体の太さを変えたり、枠をつけたりもできたので、ぶっちゃけた話、長方形ツールを使うのとあまり変わらないものでした。そういうこともあってAdobe社も一旦ラインツールと線の太さを変える機能を、マイナーバージョンアップで削除したのだと思います。
急に変わったので、動画教材では、長方形ツールで細長い長方形を出して
H(高さ)に1~2ピクセルなどを入力して細い線にする方法の動画を撮影して補足の対応をしました。

長方形ツールで四角を出して、高さを2ピクセルにして線に(この画面はCC2024 ですが…)

しかしこの対応後、すぐにAdobePhotoshop2021が登場し、あっさりと線の太さを変えるウィンドウが復活したのです!おそらく不便と思ったユーザーからのクレームでAdobe社も元に戻したのでしょう。(真偽はわかりませんが)

アジャイル型開発におけるアプリケーションの時代では、“最新のソフトを使うことが絶対的な正義ではない”となってしまいました。ユーザーからのクレームで元に戻したり、最新版はバグが多くてソフトが使い物にならない なんてことも。。。。3DCGの業界などではいまだに安定している古いバージョンのソフトで制作するクリエイターも多くいらっしゃいます。

バージョンに依存しない動画づくり

デジタルハリウッドでは、動画づくりを本格的にスタートした2010年ごろから、ずっとバージョンに依存しないレクチャーを心がけています。私が1997年にPhotoshopを使っていた頃と、最新バージョンの現在で、インターフェースやレイヤーの考え方、コアに使う部分の機能は全く変わっていないという感覚があります。
なので、そのソフトの最新ツールの紹介ではなく、バージョンが変わっても対応できる基本的な作り方の考え方を身につけてもらう動画にできるよう、先生と綿密に打ち合わせをしながら動画教材の設計を行っています。

ただ、ある日突然マイナーアップデートに伴い、もともとあったツールが無くなってしまう、ということが起こるのが昨今のサブスクリプション型のアジャイル型開発で作られたソフトです。最新のバージョンに常に完璧に動画を対応させるには、24時間365日、開発担当はソフトの最新情報を随時追いかけ、バージョンが少しでも上がったらどこが変わったのかすべての機能を実際にソフトで検証し、すぐに先生を呼び寄せて動画を作るしかありません。いくら頑張って対応したいと取り組んでいても、物理的にそうした対応は難しいのが現実です。

動画学習における学びの本質を考える

動画学習において、動画で解説に使っているソフトのバージョンとバージョンアップで差異が出て機能が使えないようなことがあった場合はぜひ教えていただきたいです。フローが変わったことで、動画学習と同じように勧められない場合は、できる限り早めに再収録や追加収録の対応をするように心がけます。

一方、文字のデザイン(フォント)でもたびたび起こります。動画教材の中では、なるべく作例はオシャレにしたいため、WindowsやMacにもともと入っている標準フォントではなく、Adobeのライセンスを持っていれば使えるAdobeFonts(フォントサービス)の中で、皆さんがダウンロードして使えるフォントを採用しています。<グラフィックやWebを受講する皆さんはAdobeCC学生版を契約しますからね>

ただ、このAdobeFontsも曲者で、ある日突然、フォントの提供が終わったりします。。(特に日本語フォントなどで有名なメーカーからでているものなどは、トライアル(お試し)の意味で、一定期間提供してくれていたりするので、あるフォントが使えなくなる(試用期間終了)ことが多いです)
デジタルハリウッドでは、先生と講座を設計する際、AdobeFontsで長く提供されているフォントを選んで作例に使用するようにしていますが、それでもある日突然フォントが使えなくなることもあります。

「動画の中で使っているフォントが使えなくなりました!!これじゃ先生と同じ作例を完成できず、ちゃんと受講できません!何とかしてください!」

お気持ちはわかります。でも、よ~く考えてください。
これはツールが無くなった、ツールの仕様・制作フローが変わった など、スキルの習得にかかわる部分の改訂ではなく、見栄えの部分にとどまるものです。

「先生と全く同じデザインに作ること=スキルが習得できた」ということではないですよね?この場合の学びの本質は、文字の取り扱いのスキルの習得です。文字をレイアウトできれば、文字の大きさを変えられれば、文字の間隔を調整できれば、十分スキルはついているのです。

なので、
他のフォントで学習を続けてください!そしてそっと教えてください。
テロップで「フォントの提供が終了したためお好きなフォントで学習を続けてください」と補足します。

先生はたいてい、動画教材の中で「フォントが突然提供終了になることもあります。その際は別のフォントをお使いください」と説明しています。

それでも、「先生と同じフォントが使えないと出来たことにならないからヤダ!」という受講生さんは、無料提供から有料に変わった"先生と同じフォント"を購入するしかありません。Adobeでの無料提供期間が終了した有料フォントを私たちが二次配布することはできないからです。

でも、少し視点を変えて
「フォントのレイアウトや調整のことが学べれば、
 他のフォントでもよいな 好きなフォントでやってみよう」

と考えることが出来れば、フォントを学習のために購入する必要はないわけです。

サブスクリプション&随時更新時代の日々変化していくソフトを学習するみなさんは、卒業後はそのソフトを仕事で使っていくことになります。その際に動画で習ったのと違う!とならないよう、ソフト名+機能+バージョン+変わった などのキーワードを組み合わせて自分で調べていく癖もぜひつけていってみてください。そしてわかったことがあれば、「ここ変更になってるよ~」と教えてください!皆様のご協力こそが、我々動画教材開発チームにとって、動画の精度を上げる大きな助けになります。

また、このnoteは、そんなバージョンアップによる機能の変更に関して、受講されている皆様へ動画修正前にいち早く情報をお伝えする役割としても記事を更新していこうと思っています。
デジタルハリウッドの動画教材をご受講される際はぜひこのnoteも随時チェックしてみてください。

本日は以上となります~ 






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