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東京ゲームショウ2022にDHU生が出展しました!現地レポート&学生作品を大公開

ゲーム・コンピューター関連の日本最大級の展示会、そして世界三大ゲーム見本市のひとつである『東京ゲームショウ2022・TOKYO GAME SHOW 2022(TGS)』。

新型コロナウイルスの影響で3年ぶりのリアル会場での開催となった今年のTGSには、ソニー、カプコン、コナミ、スクウェア・エニックス、初出店となるMetaやDiscordなど、国内外問わず名だたるゲーム・コンピューター関連企業約600社が出展! 発売前のタイトルやハードウェア、サービスが展示され、来場者は「進化し続けるゲーム」の世界を体験しました。

個人や少人数のチームで製作された「インディーゲームコーナー」には、応募総数583タイトルの中から選ばれた78の作品が公開されました。そのなかには、デジタルハリウッド大学(DHU)の星野裕之先生率いる研究室「未来試作研究所」の作品も。

本noteでは、会場の様子と本学学生による個性的な作品を紹介します!

多分、ゲーム天国。TGS2022現地レポート

会場である幕張メッセに足を運ぶと、そこには人・人・人。2022年9月15日からの4日間で、総勢13万8192人が来場したとのこと。note取材班が参加したのは開催初日の木曜日でしたが、テーマパークで見るような長蛇の列ができていました。

TGSに今回出展されたゲーム・サービスは1800以上。人気シリーズの新作からメタバースに対応した最先端のゲーム、コーナーが初めて設けられるほど盛り上がりを見せるeスポーツ、数ある中から選ばれたインディーゲームまで、ありとあらゆる魅力的なゲームが展示されていました。

▲TGS会場。幕張メッセにある全てのホールを貸し切って行われており、どのホールも人で埋め尽くされていた。
▲KONAMIの展示ブース。『遊戯王』で対戦できるコーナーもあり、体験を持つ列には老若男女、多数の方々が並ぶ。
▲メタバースプラットフォーム『cluster』のブース。人気ストリーマーのボドカさんやトナカイトさん、モデル・女優の貴島明日香さんなどさまざまゲストが訪れ、cluster内で遊べるメタバースゲームを楽しんでいた。
▲コミュニケーションサービス『Discord』も日本のイベントに初出展。インフルエンサーとDiscordで通話しながらゲームをプレイできるコーナーは多くの人で賑わっていた。
▲30タイトル以上の新作ゲームが試遊可能なハピネットブース。DHU note取材班の足も吸い込まれそうになる。

抜群の盛り上がりを見せるインディーゲーム

TGSの数あるブースのなかでも圧倒的な盛り上がりを見せていたのが、少人数・低予算で制作される「インディーゲーム」のコーナー。500以上の応募の中から厳選されたインディーゲームが集まるコーナーだけに注目度が高く、多くの人で溢れていました。

DHU生の作品もインディーゲームコーナーに展示されていると聞き、あふれるインディーゲームの誘惑に耐え、人をかきわけて探すこと10分……ありました、DHUの研究室「未来試作研究所」のブースです。

▲DHU生が展示している未来試作研究所のブース。otuA(オチュア)はゼミを担当する星野先生の会社名です。

DHU生の出展作品は「立体造形・ミニチュア×AR・VRゲーム」

今回、未来試作研究所から出展した作品は3つ。造形作品、ARで動くミニチュア、そしてVRゲームです。ユニークな作品が集まるインディーゲームコーナーのなかでも目立つ、特徴的な3つの作品が展示されていました。

▲立体造形の作品。3Dプリンターで作ったそう!この作品には、裏の構想もあるようで……。
▲ミニチュア×ARの作品。こちらは3Dプリンターで作られたミニチュアをアプリで読み込むと、AR技術で現実にあるかのように動きます。
▲VRゲーム作品。3人称視点のVRゲームで、体重移動によりゲーム内のキャラをせます。

どれも気になるものばかり。それぞれの出展物の詳細を、作った方々にインタビューしていきましょう。

立体造形

北方 優介(きたかた ゆうすけ)
DHU3年。好きなコンテンツやゲームは、『アイアンマン』といったアメリカン・コミックスや『Apex Legends』のようなサイバー感のあるもの。DHUで立体造形を主に行いつつ、作った作品を自身のYouTubeチャンネルで公開している。

——作品紹介をお願いします。

今回作ったのは、ウサギをモチーフにしたヘルメットです。デザインからはじめ、設計ツールでモデリングを行い、3Dプリンターで作成しました。

——なぜこの作品を作ろうと思ったのですか?

僕はゲームのものを作るのが好きなんです。ただ、ゲームのものを現実世界で作ろうとすると、どうしても不具合が起きやすい。物理法則のないバーチャル世界のものだから、リアルに再現するのは難しくて。

だったら、まず現実世界でものを作って、ゲームの世界にもっていけばいいと考えました。ヘルメットを作って実際に被ってみることで、「視界が悪い」「重たすぎる」ということが分かります。そして改良を進めることで、リアルで扱えるものになります。

▲ヘルメットは開閉可能で、実際に被ることができる。

その設計データを、ゲームのものの造形に転用すれば、リアルとゲーム両方でまるっきり同じものができる。ゲームの世界のものを実際に手に入れられるな〜という構想が湧いてきたんです。

その一歩目として今回は、オリジナルデザインのヘルメットを作りました。今後は、武器や防具など全身のものを作っていければいいなと思っています。最終的にはゲームやアニメーションにも転用するところまでやっていきたいですね。

——今回、TGSに出展してみていかがですか?

大きなイベントだからこそ、立体造形とは異なる分野に興味がある方も多く見にきてくださるのが嬉しいです。来場者の方とデザインの好みについて話すことで、いろんな視点を知れました。今後の制作に活かしていきたいと思います。

——ありがとうございます!最後にDHUの制作環境についてきかせてください。

いろんな人と交流しながら制作を学べる環境です。自分の分野に囚われず、いろんな分野・領域の話を聞けるので、それがインスピレーションの源泉になります。

DHUには本当に多種多様な人がいるので、自分の個性を見つけるのにも適した場所だと思います。ほかの学生と活動をともにすることで、自分が好きなものや特異なジャンルが絞れてくる感覚があるんです。

「このジャンルを極めたい!」という方にとっても「まだやりたいことが見つかっていない」という方にとっても意義のある学生生活が送れるのではないかなと思います。

AR×ミニチュア

mutou
デジタルハリウッド専門スクール、デジタルハリウッド大学大学院卒業生。大学院ではAR技術を研究していた。現在は、社会人として働きながら、作品を制作。mutouというペンネームで漫画『禍々(マガマガ) 』を8年間連載している。今回は、星野先生に呼ばれ作品を展示。好きなゲームは、ミニチュアゲーム『ウォーハンマー』。

——どんな作品を展示されていますか?

AR技術とミニチュアを組み合わせた作品です。3Dプリンターで作成したミニチュアがARアプリ上で動くというものです。ミニチュアの造形・モデリングから、ARアプリの設計まで行いました。

——この作品を作ろうと思った理由を教えてください。

今回の作品を作ろうと思ったのは、AR技術を使ったアプリを開発したかったからです。デジタルハリウッド大学大学院でARを学んでいたので、そのスキルをアウトプットできればと思い作品制作を進めました。

ミニチュアに関してはもともと好きで集めていたのですが、3Dプリンターが普及してからは自分で作るようになりました。8畳の自宅に3Dプリンターを置いて換気扇を全力で回しながら制作しています。

実は、このミニチュアはすべて、私が8年間連載している漫画のキャラなんです。作っていたキャラを実際に動かしてみたいと思ったのも、作品を作った理由のひとつですね。

▲mutouさんが連載する漫画『禍々(マガマガ) 』。8年以上連載が続いており、累計閲覧数は550万を超える。
▲展示されていたミニチュア。指先の動きまで繊細に設計されている。

——ありがとうございます!

VRゲーム

Ponponsan
DHU4年。DHUではVR分野の研究を行う。VRに興味を持ったきっかけは、アニメ『ソードアートオンライン』。大学在学中から、ソーシャルVRアプリ『VRChat』の運営メンバーとしても活躍しており、3D仮想空間「ワールド」やキャラの設計なども行っている。

——こちらはゲーム作品ですか?

そうです。現状のVRゲームの主流は1人称視点のものなのですが、自分は3人称視点のVRゲームを成立させたいと思い、ゲームシステムの開発からキャラデザイン、VR空間の制作まで行いました。

——なぜ、3人称視点にこだわったのですか?

1人称視点のVRゲームにはいくつか問題点があって、それがゲームとしての体験を損なっていると思うんです。

その問題の一つが、かっこいいアクションをしても、その姿が自分では見えないこと。それではテンションはあがりませんよね。

あともうひとつの問題点が、カメラをあまり動かせない、視点移動があまりできないということ。

たとえば、VRでない普通の3人称視点のゲームだと、プレイヤーが操るキャラが敵から攻撃されたとき吹っ飛んだりするじゃないですか。そのときカメラも吹っ飛んだキャラにあわせて動きます。でもそれを1人称視点のVRゲームでやってしまうと、動きが早くて酔ってしまうんです。

▲プレイヤーの手の動きにあわせて、キャラがハシゴを掴み登っていく。カメラ移動が自然で違和感がない。

そこで、3人称視点にすることで、自分のアクションを俯瞰で見つつ、VRの強みである没入感も得られるゲームシステムを開発しました。

自分はアニメをきっかけにVRに興味を持ったのですが、実際にはじめてVRゲームをプレイしたとき、「こんなものなのか」と少し落胆したんですよね。だったら自分が満足できるものを自分で作ろうと、研究開発を進めています。

——ありがとうございます! 最後にDHUの環境についても教えてください。

クリエイティブなことに加えて英語も学べるのがいいと思います。制作は、基礎を学んだあとはどこまで自分で深ぼっていけるかが重要。そのとき、英語が絶対に必要になります。テクノロジーやデジタル分野では特に、です。英語もクリエイティブも本格的に学べる環境があるのが、DHUの特徴ですね。

「学生の個性が社会と噛み合う瞬間がみたい」TGSに出展した理由

インディーゲームコーナーのなかでも特徴的な作品が集まっていたDHUのブース。最後に、今回の展示を行った未来試作研究所の担当教授、星野先生にお話を伺います。

星野 裕之(ほしのひろゆき) 
ロボットデザイナー。1998年デジタルハリウッド専門スクール卒業後、IFデザインアワード、グッドデザイン賞を受賞。2009年otuA株式会社設立。2018年からDHU准教授。ゼミ生とともに「未来試作研究室」を出展。

——「未来試作研究室」とはなんでしょう?

デザインとプロトタイピングを主テーマとする研究室で、ものづくりの手法を探求していく場所です。研究室での知見を活かし、学生は各々が作りたい分野、ゲームやアプリ、3DCG、小説、立体造形などの制作を行います。

——TGSに出展した理由を教えてください。

前提の話になってしまうのですが、うちの研究室に来るのは、いってしまえば少し変な学生たちなんです。学業的にはすごい優等生かまったく優等生じゃない、一般的には理解されないようなこだわりをもっている学生がきてくれます。

たとえば、「アニメーターになりたいけど、2秒以上のアニメを見たことがない」とか、「めちゃくちゃカッコいいクラブ・ミュージックを作るのにクラブには一度も行ったことがない」みたいな。

▲星野先生「mutouくんも変態だよね」mutouさん「そうですね」

そういう学生って、強みや個性の活かし方が難しく、社会に受け入れられづらいことが多い。でもよく話を聞いていると、その学生だけの面白い個性があるんです。いまは世間一般には強みとされていないけど、極めたら強みになるポイントが絶対に見えてくるんです。未来試作研究室では、その強みや個性の発見と探求を行っていきたいと考えています。

そして、TGSのようなイベントに出展するのは、学生の強みと個性が、社会に噛み合う瞬間が見たいという、私の個人的な欲求からです。

ブースに出展すると、社会に見つけてもらえるきっかけになるんですよ。実際、過去に出展したときには、学生が企業からスカウトされることも多々あります。そういった瞬間が最高なんですよね。「よっしゃ、ほらきた!」と。

——ありがとうございます!最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

学生さんのご両親から「うちの息子・娘、こんなことばっかりやっていて大丈夫なのでしょうか?」と聞かれることがあります。ご両親としては、お子さんが寝食も忘れて制作していたら不安になるのは当然のことですよね。

でも、自信をもってお伝えしているのは、好きだったら大丈夫ということ。好きなことを探求することで身についたスキルと経験は、将来あなたの/お子様の身を助けます。

好きなことの探求。私の研究室もそうですが、DHU全体がその探求に適した環境だとも思うので、制作にちょっとでも興味がある方は一度見学に来ていただければ。ぜひ一緒にものづくりをやっていきましょう!

TGSという世界中のゲーム・作品が集まったイベントのなかでも、一際存在感のあった未来試作研究室のブース。DHU生や星野先生の話を聞き、それは強い個性を極めた結果なのだと気づきました。

DHUは、興味や強み、個性を極めていくための環境が揃っています。オープンキャンパスや説明会を定期的に開催していますので、ぜひご参加ください!

▼星野裕之先生のプロフィール

▼OPEN CAMPUS GUIDE

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