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生物と無生物のあいだ―だからこそ大切な意識のデトックス

『生物と無生物のあいだ』は、大好きな福岡伸一先生の本のタイトルです。今日のお話は意識論であって、科学的には何の根拠もないので、興味がない方はパスしてください。

味噌、麹、漬物、納豆、醤油、発酵文化に根差した日本は、菌との付き合いが長く、無生物と生物の間のようなものにも、いのちを見出すことができます。この感性は発酵文化からも由来しているのではないでしょうか。

菌とウイルスの違いは、自らがエネルギーを摂取して活動するかどうかです。菌は自ら活動し、ウイルスは生き物に寄生することなく活動することはできません。生きたいという意志が自ら発生するかどうかが生物か無生物かの分かれ目です。

仏教では『タンハ―』と言って、欲求が生命活動の根源だとされます。タンハ―の発展を描いたディガ・ニカヤの27番目の物語、『アガンニャ・スッタ』では、いのちが分化する中で、違いという自我が生まれ、その分化によって欠けたものを満たすため、消費するという活動が生まれ、それが欲求のはじまりだと語られています。欲求の拡大によって分化が進み、多様性が生まれたという、ダーウィンの言うところの物質的進化論ではなく、宇宙のはじまりを起源とする、意識進化論です。

菌の活動はは原始的な『生き物』の欲求パターンであり、生きたいという欲求から、エネルギーを摂取して、消費し、分化していきます。

わたしたちは長い間、菌と戦うというよりも、コミュニケーションを取って共存してきました。漬けたものの蓋を開けてその醸された匂いや雰囲気は何とも幸せなものです。きっとそれはいのちの調和を象徴しているからでしょう。

菌は、そこに調和がなければ菌コミュニティの間での不均衡が起こって、腐敗してしまいます。腸内細菌ですら、善玉菌の割合はわずか2割で良くて、7割が日和見菌、1割は悪玉菌という、善悪を超えた調和を保っていることが理想とされます。

一方ウイルスには心が通じません。DNA(もしくはRNA)はあるのに、細胞核がないから、欲求(生命力)に従って増えるという性質を持たず、生き物に入り込んだ時にはじめて、増殖のスイッチが入るものです。

菌は自らの意志で増殖するため、菌とコミュニケーションを取って調和を図ることが理想的です。腸内環境が悪いと共存交渉に不利なため、感染症を起こしてしまいます。ではウイルスの場合はどうでしょう?

ウイルスはコミュニケーションというツールが通じません。スイッチが入るとただ機械的に増殖反応を起こすだけで、無生物というか無機的です。それでも生き物の細胞に入ると、その生き物の一部として活動するのがウイルスです。そこに宿る『意識』は、菌の『生きたい』と願う生存本能とは違い、わたしたちの意識そのものだということです。

菌はわたしたちの意識に『影響』を受けて活動する。

ウイルスはわたしたちの意識を『反映』して活動する。

こう考えたときに、どちらにしても意識は大切ですが、特にウイルスは、わたしたちの意識が100%反映されるということです。

ウイルスはラテン語で『毒』という意味ですが、仏教でいう『毒』とはラガ(欲求)・ドサ(嫌悪)・モハ(無知)の3つです。恐怖や不安感はこの3つのコンビネーションからやってきます。わたしたちが恐れや不安、嫌悪感を抱いて生きていると、菌もそれに影響されてバランスを崩してしまいます。

そしてウイルスの場合は、そのわたしたちの意識をそのまま拡大、増殖していくということです。たとえば反対にわたしたちの意識が『空』の状態だったとしましょう。ウイルスは間違えることなく、『空』をデュプリケイトしていきます。『愛』だったら『愛』です。これが『効かない』状態です。

そう考えていくと、無症状・軽症の子供は、天真爛漫がそのまま増殖しているだけで、感染しても無症状の人が多数存在することは納得できます。

ウイルスを意識論で考えた時、わたしたちは自分の意識の反映によって苦しめられるということです。ウイルスというシンプルでミニマルな在り方だからこそ、結果としてそこに反映されるのは100%自分の状態、ということです。

ですので、仕事もない、学校もない、外で遊ぶような雰囲気でもない、海外旅行にも行けない、こんな時は自分の意識と向き合うチャンスです。

菌と協力し合って、腸内環境を整え、免疫を最善の状態にしておくのも大切ですが、日ごろ忙しさにかまけて無視されている感覚に目を向けて、意識のデトックスをすることをお勧めします。

目を閉じて、呼吸に意識を向けるだけで構いません。簡単です。それによってどんな反応が起こるのか、観察するだけで『瞑想』となり、自分の内側が整理整頓=デトックスされ、広々となり、スッキリします。

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