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宇宙知識0から立ち上げた「世界が注目する」日本の宇宙ベンチャー〜Astroscale〜

日本にある宇宙ベンチャー企業の中で、世界から大きな注目と期待を集めている企業がある。

2013年に創業されたAstroscale(アストロスケール)という会社だ。

Astroscaleは人類が宇宙空間の活動によって生まれた宇宙ごみ(以下ではスペースデブリ)の除去に取り組んでいる。

スペースデブリは地球の周りに大量に存在する。その数は10㎝以上の物体で約2万個を超えるとも言われている。このスペースデブリは年々増加傾向にあり、人工衛星との衝突リスクも年々上昇しているが、現時点でスペースデブリの問題を解決する効果的な方法は確立されていない。

今回は以上のような難しい問題に取り組む、Astroscaleについてまとめてみた。

1. 宇宙知識0のところからの起業

Astroscaleの創業者は岡田光信だ。

岡田さんは東京大学農学部を卒業後、大蔵省に入省、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経験した後、39歳でAstroscaleを立ち上げた。

立ち上げ当時、宇宙に関する専門知識はほとんどなく、宇宙事業に関わる知り合いも0だったという。そんな状況の中で、人材の確保と事業規模の拡大を続けてきた。

現在、Astroscaleは日本、イギリス、アメリカにオフィスを持ち、累計資金調達334億円を達成している。

2. スペースデブリ除去実証実験:ELSA-d

Astroscaleはスペースデブリ除去に向けた実証実験を、宇宙空間で行っている。

実験名はELSA-d(End of Life Services by Astroscale demonstration)と名付けられており、実験機と一緒に打ち上げられた模擬デブリを捕獲する実験だ。

以下に、Astroscaleが公開しているELSA-dのコンセプト動画を示す。

ELSA-dでは、スペースデブリ捕獲衛星(Servicer)と模擬のスペースデブリ(Client)を一緒に打ち上げる。2つにはドッキングプレート(DP)と呼ばれる、接合機が装着されており、スペースデブリ捕獲衛星はドッキングプレートを使って模擬スペースデブリを切り離したり、捕獲したりする。

(参考:The ELSA-d End-of-life Debris Removal Mission: Preparing for Launch)

現在、ELSA-dは7つのフェーズの中で3番目のフェーズに取り組んでいる、先日実験機に少し問題が発生したが、現在は問題を解消し、フェーズ3の完了に向けて準備中だ。

ELSA-dの成功がこのスペースデブリの問題に対して、大きな進歩を示すため、続報を期待して待ちたい。



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