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ハゼとエビが共に生きる「素敵な関係」

違う生き物同士が、一緒にくらす関係って素敵だよね〜

ダイビングで人気の魚に、「ネジリンボウ」というハゼの仲間がいる。
白と黒の縞模様をした魚で、砂地に生息する魚だ。

ネジリンボウ

「ネジリンボウ」は砂地に開いた穴に生息している魚だが、その穴には奇妙な同居人がいる。

その同居人は「テッポウエビ」というエビの仲間だ。

1. 「ネジリンボウ」と「テッポウエビ」が一緒に暮らす?

「ネジリンボウ」と「テッポウエビ」は同じ穴で、ペアになって暮らしている。

「ネジリンボウ」は穴の入口付近を泳いでいることが多く、「テッポウエビ」は基本的に穴の中に潜んでいることが多い。

そのため、「ネジリンボウ」と「テッポウエビ」の2匹がそろうのは非常にレアな瞬間だ。

以下は、「テッポウエビ」が穴の外に出てくる様子が映った、貴重な動画だ。

2.はっきりした役割分担のうえに成り立つ関係

「ネジリンボウ」と「テッポウエビ」の関係のように、ハゼとエビが一緒に暮らすことは、よくある関係だ。

これは、ハゼにとっても、エビにとっても、お互いにメリットがあるために成り立つ関係でもある。

一緒に住むことによるメリットは、ハゼとエビが、それぞれ明確な役割分担をもつことによって生まれている。

その役割分担は主に「住み家」と「食べ物」に関する役割分担だ。

2-1. 「住み家」における役割分担

ハゼとエビが一緒に暮らす穴は、ハゼとエビそれぞれの役割分担の上に成り立つ。

それぞれの役割は、ハゼが「見張り担当」、エビが「穴掘り担当」と名付けよう。(勝手に名前つけた笑)

「穴掘り担当」のエビは、その名前のとおり、ひたすら「住み家」である穴を掘り続ける役割だ。せっせと穴を掘りながら、砂を外に書き出す役目だ。

一方で、「見張り担当」のハゼは、作業に集中する「エビ」に天敵の襲来を教える役目を担う。

ハゼは「住み家」である穴の入り口付近を泳ぎ、天敵である肉食魚の襲来をいち早く察知して、エビに教える役目だ。

ハゼの存在によって、エビは「穴掘り」に集中して「住み家」を拡張することができる

2-2. 「食べ物」における役割分担

また、「食べ物」におけるハゼとエビの役割分担も存在する。

ハゼは、海中に浮遊するプランクトンや、エビが「穴掘り」の過程で発見した小生物を主食とする。

一方で、テッポウエビは、ハゼが出す「フン」を食べ物として生きている。

ハゼとエビは「食べ物」においてもお互いに依存する関係を築いているのだ。

<参考文献>
「うみうし通信」No.112


以上のように、「ネジリンボウ」と「テッポウエビ」に代表される、エビとハゼの仲間は、明確な役割分担のうえで、素敵な関係を築いてきた。

合理的でもありしたたかとも言える、この生き残り戦略は、
生き物の複雑な生態系を学ぶ上でも、非常に役立つ事例でもある。



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