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時間への探求:ミヒャエル・エンデ『モモ』

先日の対話会は「死」について見つめる時間でした。

本を読んでいる人も読んでいない人も、それぞれに「死」について関心事を持ち寄って対話をしました。

その中で個人的に気づいたことは、私は自分が無くなることは恐れていないけれど、死の瞬間には恐れを抱いているということ。

痛いとか苦しいとか、そういう気持ちを味わいたくないと強く思っているんだと、改めて認識しました。

その瞬間のことは、自分では選べないものではありますが、恐れているんだということを認識できたことでもしかしたら今後また新たな気づきがあって、「死」を迎えるその瞬間に受け取るものが変わってくるかもしれません。

また引き続き、考えていきたいなぁと思っています。

そして「死」を考える中で、おもしろいことに「時間をどう捉えるのか」というテーマもあがってきました。

4月のテーマ本は『モモ』です。

ミヒャエル・エンデの『モモ』は、日本では特に人気が高く、児童文学ではありますが、大人向きの本でもあるファンタジー小説です。

時間泥棒である「灰色の男たち」によって人々の時間が奪われる街を舞台に、孤独な少女モモが活躍します。

モモは灰色の男たちに対抗して、友情と愛情を通じて人々の心を救い、時間を取り戻す冒険に出ます。

そして、彼女の力強い存在感と、時間との対話によって、町の人々は自分の価値観を再評価し、本当に大切なものを見つける・・・という物語です。

有名な作品ですので、読んだことがあるよ、という方も多くいらっしゃるかもしれません。

今回は、物語がどうであるという話ではなく、

時間をどう捉えているか、いのちや価値をどう捉えているか。

そんなことを対話できたらいいなと思っています。

小説なので、物語を物語として読み進めるのもいいのですが、

ちょっと立ち止まって意味を考えることでより一層物語のおもしろさに気づけるかもしれません。

というのも『エンデの遺言』を読んだときにも思ったのですが、ミヒャエル・エンデは物語を通して何かしらの確定した教えを広めようとしているというよりも

「どう思う?」と読者に問いを投げかけていると感じるのです。

そのひとつが、時間泥棒である「灰色の男たち」の存在です。

次回は「灰色の男たち」について、少し詳しく考えていきたいと思います。

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