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効率よく吸収!映画で英語を勉強する方法:5ステップ

海外の映画やドラマは、生きた英語や英会話の宝庫。映画で英語を学ぶのなら、より英語の吸収率が高い方法で取り組むのが効率的ですよね。

5つのステップで、一本の映画をあますところなく最大限に活用できる効果的な学習方法を解説します。吸収力が大幅にアップしますよ。
まずは映画でどのようなことが身につくか、ざっと7つのメリットご紹介します。

1. 発音(話者の口元をみれる)
2. 抑揚(強勢やアクセントがきける)
3. リズム感(会話のリズムを体感)
4. 慣用表現(的確な使い方がわかる)
5. 間投詞(自然に覚えられる)
6. ジェスチャー(会話とセットで身につく)
7. 文化的感覚(英語の要素として大事)

映画で身につく「7つのメリット」の内容については、下記の記事でくわしく説明していますのでご参考になさってください。

映画のセリフからは、慣用句であったり、発音であったり、ダイレクトに学習できることがたくさんあります。くり返し観ることで、ビジュアルのイメージとともにセリフの英語が脳裏に染みつきます。また、セリフ以外にも、ジェスチャーや文化など、コミュニケーションの重要な一部を体感することもできます。

さて、映画を使った英語学習は、ステキな映画を楽しめて英語も学習できる一石二鳥の学習方法でGood Newsなのですが、ただ観ているだけではしっかりとは身につきません。英語を学習する目的で映画やドラマを観るなら、よりよい学習方法と学習姿勢で観ないと時間がもったいないです。

映画につぎ込む2時間をもっとも有益な英語習得の時間にするため、次の5つのステップを試しましょう。

Step1. くり返し観る覚悟で映画を選ぶ
Step2. 台本やセリフ集を手に入れる
Step3. 映画をしっかり観る(エンジョイモード)
Step4. 映画をくり返し観る(スタディモード)
Step5. なり切りでセリフ練習にトライ

それでは、詳しく解説します。

Step 1:くり返し観る覚悟で映画を選ぶ

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映画は、くり返し観ることでそのセリフが脳裏に染みつきます。何度も観ることを想定し、自身の学習につかう映画を選びましょう。
選び方を解説します。

■観たことがある好きな作品を選ぶ■

観たことのがある作品の方が安心です。

学習教材にするので、あまりに言葉づかいの汚いものや、血しぶきがばんばん飛び散ったり、過度にセクシー露出の多いものは当然ながらあまり適しません。(そういう英語を学びたいならOKですが・笑)

普通の英会話を学習するためと想定するなら、ストーリーの設定が「現代」であり、あなたや私のような普通の生活をする普通の人の物語が好ましいです。

何より楽しんで観ることが一番大切なので、自分が興味を持てる映画を選ぶのが一番です。

■学びたい言語の作品を選ぶ■

英語かと思ったらフランス語の作品だった……というのではお話になりません。言語は必ず情報公開されていますので確認しましょう。

逆に、ヨーロッパやアジアなど、英米以外の映画でも、セリフが英語というものもあります。

また、英語でも、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど、国や地域によって発音やイントネーションが違ってきます。ボキャブラリーも違います。同じものを指しても形容詞のチョイスやモノの呼び名が違う場合あります。

いろいろな種類の英語に触れるのはよいことですが、できれば最初は、最も学びたいと思っている国や地域の英語を選びましょう。

余談ですが、過去にアメリカの映画だと思って観たら、アイルランドのダブリンが舞台の映画だったことがあります。なまりがきつく、セリフを半分も聴き取れませんでした。その話をアメリカ人の友人にすると、彼女もやはりよく聞き取れず英語字幕で観たのだと言っていました。

映画自体はとても面白く、その後も数回観ました。すると意外とだんだん聞き取れるようになってきました。そういうのもまた面白いです。

(ちなみに「The Commitments」という音楽の映画です)

■好きな俳優が出演している映画を選ぶ■

映画を使った英語学習は、「英語を話す」というアウトプット(話す)を最終目的とします。登場人物になり切ったアウトプットの練習をするわけです。

なので、学習しているセリフを話している人が、好きな俳優さんや女優さんだと単純にモチベーションがあがりやすいです。

ハリソン・フォードの声が好きなら彼の主演作を、ブラッド・ピットのファンなら彼の映画を、ナタリー・ポートマンに憧れているなら彼女の作品を選び、それぞれハリソンやブラッド、ナタリーになりきってセリフの練習をしてみましょう。

俳優さんや女優さんの表情や口調は印象に残りやすいので、なりきることで、発音だけでなくイントネーションや感情の込めた表現など、英語のアウトプットの質も驚くほど高くなります。

■できるだけメジャー作品を選ぶ■

そしてできるだけ知名度のあるメジャーな映画がよいです。

理由は次のパートで詳しく説明しますが、メジャーで知名度のある作品は、要するに学習に使える台本(スクリプト)や映像などの資料が集めやすいからです。

また、きちんと検閲を通っていて、言語レベル(汚い言葉の有無)や描写レベル(暴力、性描写)のレベルが公開されているので、教材として採用すべきかの判断がしやすいという面もあります。

さて、勉強する映画を選んだら、次は学習の準備です。推奨する学習材料は以下です。

・映画のメディア(ダウンロードコンテンツ、DVDなど)
・スクリプト(台本)
・Quotes集(セリフ集)
・ノートやその代わりになるメモアプリやファイル(適宜)
・筆記用具、ラインマーカー、付箋など(適宜)
・その他、販売されている教材など(適宜)

スクリプト(台本)とQuotes集?…っと思われた方、次のセクションで手に入れ方を説明します。

Step 2:台本やセリフ集を手に入れる

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映画の脚本や台本なんて、その映画の出演者でない限りなかなか手に入らないと思いがちですが、実はそんなことはありません。インターネットで検索すると意外と普通にでてきます。

ただし、マイナーな映画は、やはりネット上にアップされていない可能性が確実に高いです。前の章でメジャーな映画をおすすめしたのは、一つこういった理由からです。

具体的な台本の検索手順は、実在の映画「プラダを着た悪魔」という作品で、実際に台本探しをしながら説明します。

■英語の原題を知る■

念のため、「プラダを着た悪魔」という日本語タイトルのまま「台本」というキーワードを加えてインターネット検索してみました。ざっと見た限りでは、映画全編を掲載しているネット情報は書籍以外では出てきませんでした。

ものすごくメジャーな映画であれば、もしかしたら、日本語で検索しても見つかるかもしれませんが、英語のタイトルで検索したほうが見つかる確率は高く、数も多くて格段に早いです。

そこで、英語検索するために「プラダを着た悪魔」の原題を調べます。単に、「プラダを着た悪魔 原題」で検索してみるとすぐにわかります。
「The Devil Wears Prada」というタイトルです。邦題はほぼ和訳まんまですね(笑)

■台本を検索してみる■

今度は台本の検索です。台本や脚本は、英語では「script」「screenplay」「transcript」などです。原題といずれかの単語を入れて検索してみましょう。

「The Devil Wears Prada script」で検索するとたくさん出てきます。開いてみて自分が見やすいものを参照するとよいでしょう。

理想的なのは、セリフの話者(役名)が、きちんとセリフの前についているもので、最初から最後まで、全てのセリフが掲載されているものです。加えて、シーン説明(柱書き)がついていると、探したいシーンの手掛かりになるので便利です。

中には、映画ファンが自分でセリフを聞き取って起こしてウェブサイトにアップしているものなどもあり、100%正しいかはわからないものもあります。信頼できるかどうかは自己判断するしかありません。完成度の程度よりますが、そういったものでも学習の参考にはなるものはたくさんあります。
最近では、やはりメジャーな映画だけですが、書籍としてスクリプトが出版されているケースも多いです。

書籍は読み物として楽しめますし、何しろデータが信頼できます。参考資料としても読みやすいので、選定した映画を徹底的に学習するつもりなら、購入してもまったく損はないと思います。

私も、出版されたセリフ本を何冊か購入して持っていますが、何年経過しても見返す機会はあり、そのたびに役立つので、購入してよかったと思っています。

ちなみに、「プラダを着た悪魔」はスクリーンプレイ集はもちろん、驚くほどたくさんの学習教材が出版されています。

■quotes(セリフ集)をチェックする■

脚本や台本は、約二時間分セリフがすべて含まれているため、膨大な量になります。効率よく学習するためには、台本のほかに、Quotesと呼ばれるセリフ集があると役に立ちます。

Quotesというのは、いわゆる名言としてよく引用される言葉のことです。要するに、映画の場合、Movie Quatesは、特に印象に残るシーンのセリフなどのことです。

名画「カサブランカ」のセリフ「君の瞳に乾杯!(Here’s to looking at you!)」や「スター・ウォーズ」の「フォースとともにあらんことを(May the force be with you )」などが特に有名なMovie quotesですね。
こちらも、映画の原題と「Quotes」で検索するとたくさん出てくると思います。

■Imdbのセリフ集をチェックしてみる■

こういったストレートな検索方法のほかに、とっておきの情報を一つご紹介しておきます。間違いなく目的の映画のQuotes(セリフ集)を手に入れる方法があります。「Imdb」というウェブサイトを利用する方法です。
ご存じの方も多いと思いますが、Imdbというのは、Internet Movie Data Baseというサイトで、信じられないほど膨大な映画データが詰まっています。

(一度入ると楽しくて我を忘れてしまうことから、筆者は映画のディズニーランドと呼んでいます)

この世に存在する映画すべてを網羅しているといっても過言ではないほどの情報量を誇り、映画の配給に関する基本情報から、あらすじ、予告動画、スチール写真、配役、スタッフ、セリフ集、受賞歴、雑学情報、評価、口コミなどなど、ありとあらゆる情報が参照できます。ハリウッド作品のみならず、日本をふくめて世界中の映画がでてくるので面白いです。

ちなみにImdbで「となりのトトロ」のトップページを見るとこんな感じです。

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Imdbではセリフの情報は、各映画のページの「Quotes」というセクションで観ることができます。ここには、各映画の印象的なセリフがシーンごとに抜粋して掲載されているので、非常に見やすく、勉強への資料にしやすいです。

Imdbで前述の「プラダを着た悪魔」のQuotesのページを見てみましょう。

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一番上は、Miranda PriestlyとAndy Sachsという登場人物の掛け合いのセリフが確認できます。

(三つ目のMirandaのセリフ、長いですね!映画の重要なテーマが垣間見れる印象深いセリフです。俳優さん(メリル・ストリープ)はこんなに長いセリフをモノともしないんだなと感心しますね)

トップのところに”Showing all 79 items”と書かれているので、この下に70以上のQuatesが掲載されているということです。

Imdbの場合、セリフの掲載順は発生順ではなく、ランダムで順不同です。最初の方のセリフが下の方に出てきたり色々ですので、そこは注意が必要です。

一度こういったページを確認していてから映画を観ると、あっここだ!と思うことがあったりして、楽しいですよ。

Step 3:映画を観る(1回目:字幕あり)

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さて、台本やQuotes集をGetしたら、いよいよ映画を観ましょう。

台本は見たことのある映画なら読んでおいてもいいですが、初めての場合は、特に読んでおく必要はありません。しかし、見ながら、後でセリフのチェックができるように、気に入ったシーンの「あたりをつけておく」といいかもしれません。「あたりをつける」というのは、大体どのあたりでお気に入りのシーンが出てきたかというメモです。

最初の方なのか、後の方なのか、気に入ったシーンをチェックしておくと、後で台本からそのシーンを見つけやすくなります。

開始後何分、誰のセリフとかを、メモっておくといいかもしれませんが、気になって映画に集中できないといけないので、1回目は、どちらかというと映画に100%集中する方向で、ただただ内容を楽しんで鑑賞すればいいと思います。

Step 4:映画を繰り返し観る

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一度映画を観終わったら、ここからが勉強です。すぐでも時間を空けてもいいので、もう一度最初から映画を観ます。

字幕は付いたままで大丈夫です。

もし、一回目の鑑賞の時点で登場人物の名前などがこんがらがっているようなら、2度目を観る前に映画の公式サイトやImdbの作品ページなどで確認しクリアにしておきましょう。

勉強のやり方は無限にあります。決まりがあるわけではないので、要は一番自分が楽しく有意義だと思える方法をとればいいのです。

いくつか、例として学習方法をご紹介します。

■字幕と台本を確認しながら観る■

画面の字幕と台本を確認しながら見る方法です。

台本とノート、メモったりやハイライトができる筆記用具を準備します。

映画は、気になったセリフのところでいつでもストップ(一時停止)ができる体制で、台本と画面の字幕を並行して確認しながら観ます。集中して観ながらも、ちゃんとセリフを「聴く」ことも忘れないで下さい。

聞えてきた映画のセリフからでも、字幕でも、読んでいる台本からでもよいので、気になったセリフをチェックしていきます。

特に気に入っているかっこいいシーン、泣けるシーンなどのセリフ、こんな風に言ってみたいなと思うセリフに注目してどんどんチェックしましょう

台本上で鉛筆などで囲んだり、マーカーでハイライトしたり、付箋を貼りつけたり、やりやすいチェック方法を工夫してください。

そして、そのままチェックしながらノンストップで最後まで観てもいいですし、気になることろで止めながら観てもどちらでもいいです。

■チェックしたセリフを確認する■

2回目の鑑賞が済んだら、チェックしたセリフを確認します。字幕と実際のセリフを比較し、解らない表現や単語を確認していきます。

台本を追いながら何度も観ようと思うのであれば、台本に直接解説や訳を書き加えてもいいですが、可能な限り専用のノートやメモ帳を一冊作って、セリフを書き写し、調べた単語や表現の情報を追記してまとめるようにしましょう。

そのほうが、個々の単語やフレーズの学習という意味では、復習しやすく頭に入ります。

これを何度も繰り返すことで、最初は聞えなかった英語がどんどん聞こえてくるようになります。

また、セリフを実際に行ってみるのも重要な勉強です。映画の流れに合わせて、セリフをどんどん声も出していきましょう。

■Quotes集のセリフを重点的に見る■

もし、お気に入りの映画の台本がどうしても手に入らない場合、または、かいつまんで一部分だけ集中的にセリフ学習したい場合など、Quotes集のみでも同じように学習可能です。

しかし、映画は本当に英語の宝庫。Quotes集に掲載されているいわゆる「いいセリフ」だけでなく、日常会話、慣用的な言い回しなど学習に適する英語がいっぱいです。

台本がない場合でも、Quotes集以外のセリフにもしっかり耳を傾けて、聞き取って書く練習などを取り入れましょう。

■字幕なしで観てみる■

さて、ある程度自信がついたら、字幕なし、もしくは字幕を見ないで鑑賞してみましょう。

何度も観ていると、ストーリーや登場人物の心の動きなどもわかっているので、セリフに集中して、どうしても聞き取れない英語をピックアップして学習するとどんどんレベルアップします。

完璧でなくても、次のセリフがわかるようになれば、もうかなり映画内のえいごをとらえてきている証拠です。

Step 5:なり切りでセリフ練習にトライ

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いよいよ実際に気分が声に出してセリフを言ってみる、アウトプットの練習をしましょう。

練習したいセリフを選び、各単語の発音をチェックします。

そして俳優さんが実際にそのセリフを言っているシーンを繰り返し観ながら後について「真似」をしましょう。

発音、イントネーション、リズム、表情、ジェスチャーなどすべて真似をしてなりきることが大切です。

映像を見ながらの練習をたっぷりすると、次は映像無しでセリフの文字情報だけで練習します。先ほどまで画像を見ながら練習したイントネーションやリズムを再現しながら練習しましょう。

最終的には、何も見ないで、その俳優さんや女優さんが映画の中で話している通りの空気感でそのセリフを再現できるようになります。

そうなると楽しいですよ。

次に映画を観るとき、その場面できっと俳優さんと同時にそのセリフが口をついて出てくると思います。


まとめ

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映画を英語学習に取り入れる際、学習効率を最大限にするための5つのステップは、

Step1. くり返し観る覚悟で映画を選ぶ
Step2. 台本やセリフ集を手に入れる
Step3. 映画をしっかり観る(エンジョイモード)
Step4. 映画をくり返し観る(スタディモード)
Step5. なり切りでセリフ練習にトライ

おまけ情報

台本だけでなく、メジャーな映画作品については、英語学習用の教材が数多く出版されています。

下のイメージは「プラダを着た悪魔」のスクリーンプレイ版(台本)です。台詞すべてが対訳付きで掲載されています。

他にもタッチペンで音声が出る学習教材などもありました。すごいですね!

気に入った映画があってとことん勉強したいと思ったら、こういった教材も購入する価値はあると思います。

何でも好きなことを学習に生かすとぐんと成長しますから、Enjoy studying English!



英語を習得したい、上手くなりたいというのは多くの人の普遍的な希望ですよね。こうすればいいよと言葉で表現することのむつかしさをかみしめています。楽しくて自然に英語が身に付いていくような、そんなコンテンツの発信を目指しています。