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パーキンソン病のシンイチロウと認知症エイコ。その二人の元に生まれた治療師デヴァヴァニ。決して絵に描いたよう様な幸福な家族とは遥か彼方程遠く、エゴイストなシンイチロウとエイコの間に…
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2020年9月の記事一覧
はじまり:パラダイス警察署
仕事の移動で車を運転していた午後3時頃。スマホが鳴った。登録されていない番号が表示された。誰からだろう? と思いを巡らせ、慌てて車を路肩に一旦駐車して電話に出た。
「ハイ。もしもし??」
「あのー、こちらパラダイス警察署ですが。これはデヴァヴァニさんの携帯番号でよろしいのでしょうか?」
「あ?? は?? は、はい。デヴァヴァニですが。」
警察署から電話が来るようなことを何かしでかしたか、
パラダイス警察署取調室
警察署の入り口を入って直ぐの目の前に、受付のおまわりさんが机の向こうに座っていた。
「すみません。先ほどお電話をいただいて、母がこちらにいると伺って来ました。デヴァヴァニと申します。」
「あー、じゃぁ、まずはここに名前と時間を書いて、これを持ってそこの椅子に座って待っていてね。」
持たされたのはビジター証明の番号がふってあるネームプレート。
名前を書き込んで、椅子に座って待っていると、受付
ナンデ私ヲ産ンダンダ?
シンイチロウとエイコは喧嘩をしては、口も聞かない冷戦を半年とか、1年とか平気でやる。
そんな家に住むのは、心の芯まで正直シンドイ。ずーっと目に見えない張り詰めた糸。今にもプッツンと切れそうな怖さが隅々まで漂い充満して、息苦しい。
喧嘩が始まると、初めは口喧嘩で済むが、そのうちシンイチロウは仕事に託けて朝早くに家を出て、夜中の遅い時間に帰宅して、エイコと顔合わせようとしないで逃げ根性丸出しの弱虫