見出し画像

雨上がりの朝に

 雨上がりの朝に、公園の花壇を覗き込む。花びらについた水玉の形や大きさは花によってまちまちだ。テレビでサッカー観戦をして一喜一憂している時には、こうした光景をじっと眺めて頭を冷やすしかない。

普段あまりテレビは見ないが、サッカーワールドカップだけは別。
中学時代はサッカー部にいた。もう50年以上も前のことになる。メキシコ五輪で日本代表が銅メダルに輝いたことに触発されて、遊び半分で入部したのだが、先輩たちは東京都大会で連続優勝するほどの強豪チームだということを後になって知った。練習は厳しく、怪我も多くて退部を考えたこともあったが、辛うじてふんばってレギュラーになった。
自分たちの世代になって再び東京都大会で優勝した。それまで学校やクラスメイト、保護者たちから応援されたということは一度もなく、いつも淡々と試合に臨んだ。しかしその後には関東大会で優勝し、全国大会まで行くことができた。

年に数回ある大会以外にも、他校からの練習試合の申し込みが多く、毎月頻繁に試合をした。実戦経験を通じてコーチと自分たち自身で学び、それを次にどう生かすかという繰り返しがチームを強くした。勝っても負けても、それは自分たちにとっての結果であり、それが誰か他の人の期待や依存や批判の対象となることはなかった。逆から見れば、人の目を意識しないで済んだことが、冷静な自己分析につながっていた。

ワールドカップで日本代表チームは決勝トーナメント進出を決めたが、まだ見ぬ世界というものを彼らがどう切り開いていくのか楽しみだ。
今やスポーツイベントは商業主義にすっかり飲み込まれ、次回のワールドカップではこれまでの32か国から48か国に拡大される。アジア中東枠を大幅に増やすことによって、収益の増大を目論んでのことのようだ。選手たちの年俸や市場価値は上がる一方で、過密日程による心身の負担も今以上に増える。そうした状況の中で、今後の日本サッカーがどのように展開していくのか、とても興味深い。

あともう少しワールドカップは続く。その熱気に巻き込まれて一喜一憂、気分が乱高下したら頭を冷やすために、また雨上がりの朝に花を見に行こうと思う。


読売新聞オンラインより引用
予選リーグ一位通過を決めたイレブン




サッカーマガジンWebより引用
1968年東京・国立競技場での、日本リーグ(JSL)三菱重工対ヤンマーディーゼルの試合風景。
当時はメキシコ五輪で活躍した釜本、杉山両氏が現役だった。
この試合が始まる前に、前座として中学校同士の試合に出場した。
我チームが得点すると観客席から大歓声が沸き起こり、泣きそうになる位嬉しかった。




雨上がりの朝に

 (写真30枚)


北九州市 県営中央公園にて































岩崎宏美
はじまりはいつも雨


🐭🐮🐯🐰🐲🐍🐴🐑🐵🐔🐶🐗😽🐷🦝🦊🦁🐺🐸🐨🦧🐬