アドラー心理学と反出生主義から、学歴至上主義を批判する
突然ですが、「こどもを〇〇大学に入れた方法」「こども全員〇〇大の母の子育て」という本を見ると、ああ毒々しいなぁと感じます。
それに、こういうタイトルを付けて読者を釣ろうとしている戦略はとても品がないと思いませんか?そのため、私はいくら紹介されても読む気になれません。
品がないだけならまだしも、
以下の点はこどもの福祉と尊厳を考えると許容されるべきではないでしょう。
・こどもを合格した大学で評価
(大学よりも、こどもがその人なりの仕方で健全に豊かに発達していることが大切です。きっとタイトルを考えた人は、他者評価に依存する生き方をこどもに知らず知らずのうちに押し付けています。)
・こどもを親の所有物のように扱う発想
(「親が、こどもを、〇〇した」という物言いは、極端なことをいえば、出産した時点が最後であるべきです。親がこどもを抱っこをするのも、親がこどもに食事を与えるのも、こどもが必要としているから親とこどもの間に起こる行為であり、「親とこどもが協働して☆☆を行なっている」と表現されるのがより正確であると私は考えています。日本語に☆☆に該当する適切な名詞がないせいで動詞で表現するしかないのは歯痒いですね。)
こういう点を、こどもにとって「毒々しい」と思ってしまいます。こだわりが強すぎてすみません。上記のような本も、どの時代にも何冊もあるところをみると一定の需要があるのは承知しています。
親も色々なしがらみの中で生きていると思います。祖父母世代から、せめて〇〇大学に入れろと言われたり、仕事仲間やママ友の視線が気になったり、苦労は尽きないと思います。こどもを良い大学に入れなければ、と子育て本にすがる気持ちもわからないではないですが、それは親が乗り越えるべき課題であり、こどもに押し付けていい課題ではありません。アドラー心理学でいう「課題の分離」ですね。
私の考え方は岸見一郎先生の著書で紹介されているアドラー心理学から構成されている部分が大きいです。詳しく理解したい方には『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』『愛とためらいの哲学』を、期間を空けて2回以上読むことをおすすめします。1回目を読み終えたら、その本に書いてあったことを思い出しながら生活してみてください。それくらい理解するのに時間がかかります。どんなことでもいいので、自分や家族に変化があったときに、2回目を読んでみてください。ライフステージが変わって腑に落ちる感覚が得られることがあります。
岸見一郎先生はそのほかにも多数出版されています。
また、私の考え方の一部は反出生主義から構成されています。ざっくりいうと、「頼んでもいないのに、苦痛だらけのこのワールドに産んでくれるな」という発想です。それを知ったうえで私はこどもを産みました。どうしても母になりたい私のために、こどもに生まれてもらったと言えるでしょう。そのため、こどもの苦痛を最小限にしたいと思うので、テストや受験のためだけの勉強を押し付けたくないし、学歴至上主義から守りたいのです。こども自身がやりたいことで人生の時間を埋め尽くしてほしいです。「産んでもらってラッキー」とこどもに思ってもらえるように全力で環境を整えています。
ちなみに、反出生主義者には、ショーペンハウアー、シオラン、ベネター等がいます。反出生主義に正面から向き合うと非常に難しい文章を読むことになるので、入口として川上未映子先生の『夏物語』という小説をおすすめします。反出生主義者が登場します。近年増えている非配偶者間人工授精(AID)を切り口に生命倫理を考えさせられる、とても価値ある小説です。思考するし、感情を揺さぶられるので良い意味で疲れます。いつか映画化されてたくさんの人に知ってほしい作品です。
※ 『夏物語』は、性の描写がしんどい人にはしんどいシーンが一部あります。性的トラウマがある人にはあまりおすすめしません。
川上未映子先生の他の作品も、どれも素敵です。とくに好きなのは、『乳と卵』『ヘヴン』『すべて真夜中の恋人たち』です。
つい好きな本語りに移行してしまいましたが、たくさんのこどもたちが健全に発達することを祈ります。