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海外登山#11 「高山植物と絶景のタスマニアの楽園」Hartz Mountainの楽しみ方/行き方

最近まで、ジョージアの登山記事を編集していましたが、それがままならなくなってしまいました。
実は、全ての写真が保存されたスマートフォンをBass Straitの海
に落としてしまうという事件が発生。
加えて、その写真のバックアップが手元にない状況です。
皆さんも、海に行くときは、安易にポケットに携帯電話を入れっぱにしないように!!

一方で、現在拠点を置いているタスマニアであれば、
登山やハイキングの写真が十分にあります。

こうした背景からタスマニアの登山/ハイキングの記事に切り替えました。

私はタスマニアが大好きです。
今回の記事はオーストラリアの南東側に位置する離れ島であるタスマニアには、
ハイキングや登山、キャンプやマリンスポーツを求め、毎年多くのアウトドア好きが足を運びます。
ぼーっと景色を眺め、深く息を吸いたくなる、そんな自然がタスマニアにはあります。
今回の記事はタスマニアのハーツマウンテン(Hartz Moutain)についてです。
数えきれないほどの登山道やハイキングスポットがあるタスマニアの中でも、
登山難易度が比較的簡単でありながら、
高山の湿地に咲く花々やその美しさに惹かれて何度も足を運びたくなる山です。

本記事では、
ハーツマウンテンの見どころ
登山の概要や難易度、
装備や注意点、
実際の行程(体験記)やアクセスについて
シェアしていきます。

本記事では
①ハーツマウンテンに挑戦したい方が
 無事に帰って来れるような役立つ情報を提供する
②タスマニアの魅力が伝わる
③これから旅をしたいな思っている人にも少しでも参考になる
ことが目標です。
最後まで読んでいただければ幸いです!!



ハーツマウンテンとその周辺の見どころ

[ハーツ・ピーク(Hartz Peak)]

ハーツマウンテン国立公園(Hartz Mountain National Park)で最も登られている山頂です。標高は1254M。11月下旬から1月下旬まで、高山植物が咲き乱れる夏、7月から8月までの薄い雪化粧の上を一人歩いていく冬といった、様々な季節の移ろいを楽しむことができます。
ハーツ・ピークから見下ろす南西タスマニアの森林、国立公園を貫く稜線とLadies Tarn(小さな湖)、そして夕暮れの淡いオレンジ色を楽しむことができます。

[高山植物と動物たち]

ハーツマウンテンでは、夏を迎えると一斉に咲き出す高山植物を楽しむことができます。また、タスマニアではお馴染みのパディメロンやなどの動物に出会うこともあります。

[プラティパス・ウォーク]

プラティパス(Platypus)

ハーツマウンテン国立公園の起点となる町のジーヴストン(Geeveston)という町では、プラティパスと呼ばれる珍しい動物を自然の中で見ることができる公園があります。プラティパス平たい鳥のクチバシにヒレがついた、平たいイモみたいな愛らしい動物です。オーストラリアでも、清らかなせせらぎが流れる川側に穴を掘って日中を過ごし、日没に川の獲物を求めて活動を開始します。日没の時間に音を立てずに歩けば、プラティパスを発見できるはずです。川底が茶色く、プラティパスと同じ色をしているので、静かに待つ忍耐強さが求められるかも。
ハーツマウンテン登山の前後に是非プラティパス・ウォークがある公園に行ってみては?

[オーロラ(Southern Light)]

私が撮影。タスマニアでは、天気の良い夜に南側を眺めると、たまに見られます。

タスマニアはオースラリア国土の南に位置し、さらにタスマニアの南側に位置するハーツマウンテン国立公園では、南極側(つまり南側)にオーロラが見える可能性があります。タスマニアでは、雲がない日に、よく空を見てみると、赤と緑のカーテンがうっすらと空にかかって見えることがあります。スマートフォンやカメラ越しに見るとより鮮明に写ります。夜登山が好きであれば、360°のパノラマを誇るハーツ・ピークからオーロラが見れたら、さぞ美しいでしょうね!!


登山の行程と注意点

これ先から下線が引かれている地名は、
クリックするとGoogle Mapに飛ぶようになっています。
是非、参考にしてみてください。
また地名の()内にMapsMe内の名称も記載しておきます。

概要

ハイキング日:2023年12月31日
合計所要時間:4時間
トレイルスタイル:アウトアンドバック
歩行距離: 7.6km
歩行時間: 約3時間半
獲得標高: 407M
歩行開始地点: ハーツマウンテン登山口
往路終点:ハーツ・ピーク
歩行終点:ハーツマウンテン登山口

17:30:登山口出発 
↓800M
17:50:森林限界+高山湿地帯(風が強くなってきます)
↓1.7KM
18:30:上り道スタート
↓1.2KM
19:30:ハーツピーク
↓20分休憩
19:50:ハーツピーク出発
↓3.7KM
21:30:登山口

難易度

体力  :★★☆☆☆
技術  :★★☆☆☆
アクスセス:★★☆☆☆
(★が多ければ多いほど難易度が高くなると考えてください。)
体力/技術はYAMA HACKの基準を参考にしています。)

・体力面
獲得標高が少なく序盤から中盤にかけて平坦な道が続きます。
ただし、後半には上り道が待っているので、侮ることはできません。
もしも体力に自信がない場合は、最初の1時間の高原ハイキングを楽しんで、
戻ってくるだけでも十分に楽しめます。

・技術面
山道は整えられており、迷いづらいです。念の為、MapsMeのようなオフラインマップを持っておいた方がいいです。
また、後半の頂上をチャレンジする際に、ガレ場が続きます。
不安定な足場もあるので確実な足運びが求められます。

・アクセス
主なタスマニアの移動手段は、自家用車かレンタカーです(稀にヒッチハイクをする人もいます)。
タスマニアの南の主要都市、ホバート(Hobart)からジーヴストン(Geeveston)に1時間ほど南下します。そこから舗装されていない山を運転して登山口まで上がっていきます。

・シーズン
季節に応じて様々魅せ方を持つのが、アウトドアの面白いところ!!高山植物が咲き乱れる夏の12月〜2月上旬、観光客が減ってオフシーズンの秋の4月〜5月、雪化粧中の冬の7〜8月、と様々な楽しみ方があります。

注意点

[Parks Pass(国立公園入園許可証)の購入]
タスマニアでは、全ての国立公園(ハーツマウンテンも含まれます)に入る際に、Parks Passを持っている必要があります。タスマニアでは、自然保護、トレイルの維持、それらを支える施設や従業員の維持費が主な目的です。何度か国立公園を管理する人々に出会いましたが、人知れず山や森に入り、トレイルの修繕や保全に尽力しています。有料なのは、少し億劫かもしれませんが、有意義なお金の使い方だと思います。

Parks & Wild ServiceのWebサイトから購入することができます。支払い方法はクレジットカード、もしくはデビッドカードが一般的です。こちらのリンクから購入できます。購入後は、登録番号が記載されたメールが届くきます。個人で購入した場合には、管理員にそれを見せれば大丈夫です(提示を求められた時だけで大丈夫です)。車で購入の場合は、車のフロントガラスから見えるように、登録番号の書いた紙を置いておけば大丈夫です。

1日パス、2ヶ月パス、1年パスがあります。これを持つ限りのナショナルパークに入園することができます。価格は、個人で入園するか、車で入園するかで価格が変わります。
参考までに(2024年5月時点で)、
1日パス(個人):22.35AUD
1日パス(車+8名の同乗者):44.75AUD
2ヶ月パス(個人):44.75AUD
2ヶ月パス(車+8名の同乗者):89.50AUD
1年パス(個人/車+8名の同乗者):95.30AUD

タスマニアには多くの国立公園があります。長期滞在をする場合は、2ヶ月パス、1年パスがおすすめです。

裏技ですが、もしも知り合いが車とそれに紐づいたParks Passを所持していて、それにあなたが同乗して国立公園に入った場合、同乗者とみなされます。そのため、個人的にParks Passを買う必要がありません。旅をしている最中に出会った人と国立公園(ハーツマウンテンも含む)へ行く際には、こうしたメリットがあるかもしれません。

ちなみにParks Passを持たずに入園するとどうなるか?ほとんどの場合は、持っていなくてもバレないそうです。ですが、バレた知人がいて、罰金を払うことになりました。

装備

1.服装
山ぐつ/ウィンドブレイカー/雨具/25Lのバックパック/ヘッドライト
高原で風が吹きさらし状態です。防風に備えて、夏でもウィンドブレイカーを持っておきましょう!!

2. 飲食物
水/軽食/お菓子

3. アプリ
オフラインマップ(MapsMeなど)/Windy(おすすめの天気アプリ)


写真で眺める実際の行程

登山開始

登山開始は2023年の年末である12月31日。南半球の12月は日差しが煌々と照りつける真夏です。オーストラリア本土では、暑さが40度を超えることがあります。これとは対照的に幸いタスマニアでは、気温自体が25度を超えることが珍しく、夜はブランケット1枚で気持ちよく寝れるくらいまで気温が下がります。ただし、オゾン層が薄いオーストラリアでは、日差しは凶器です。正午の直射日光に晒されれば1時間もすれば肌が赤くなってしまいます。

日差しを避けつつ、気持ちいい気温まで下がりはじめる17時に出発しました。
加えて、登山日はなんといっても、年末。初日の出ならぬ、「終日の入」をおがむという目標もかねて遅めの出発でした。ちなみに、タスマニアのこの時期の日の入り時間は20時過ぎです。

高山植物たちの森を抜ける

出発から森に入ると、早々に目新しい植物が目につきました。

タスマニアン・ワタラター(Tasmanian Waratah)

タスマニアン・ワタラター(Tasmanian Waratah)この極彩色な花は、タスマニアン・ワタラター(Tasmanian Waratah)と呼ばれる植物です。標高600-1200Mに群生し、初夏から夏の終わりである11月から2月に花を咲かせます。タスマニアでしか見ることができない珍しい花です。

同じ森の中に、南オーストラリアやタスマニアではお馴染みのシルバー・バンクスィア(Silver Banksia)も見つけました。

シルバー・バンクスィア(Silver Banksia)

バッキンガム宮殿ののKing’s Guardの頭の形をしているこの植物に、ミツバチが足繁く通っていました。

高原湿地帯の花々

20分も歩いていると、あっという間に高原に行き着きます。手入れのされた登山道で、広大な風景に集中しながら歩くことができます。年末の18時は、ファミリーとの時間なのか、ほとんど貸切状態でした。
この広大な湿地帯にも、色とりどりの花々が咲いていました。例えば、このマウンテン・ロケット(Mountain Rocket / Bellendena)。

マウンテン・ロケット(Mountain Rocket / Bellendena)

湿潤な地面でも生育ができる、タスマニア限定の高山植物。

写真では撮れませんでしたが、高原湿地帯の四方八方に咲いていて、天空の楽園のようでした。目で見えるけれど、写真では残せない風景が堪能できました。

花々に気を取られながら、トレイルを進んでいくといよいよハーツピークが見えてきます。この時点で、18時を回ったところでしたが、まだまだ青空が広がっていました。

右側がハーツピークです。

頂上

18時半、2.5KMを歩いた所から、整備された道が消え、いよいよ登り道に入っていきます。がれ場だけではなく、短いですが切り立った岩肌を登っていきます。この急斜面を登って仕舞えば、ハーツピークまで後少し!!

上から見たらガレ場の上り道

トレイル自体はわかりやすいですが、念のためここからはMapsMeのオフラインを見ながら進みました。夕暮れ時が近づいてきていることもあり、いつも見えるはずのトレイルが見えない、ということがありますから。
19:30におまちかねのハーツピークに辿り着きました。東西南北全てを見渡す頂で、上を見上げて、風が過ぎる雲が深い青の空を過ぎていくの見ながら、夕暮れを待ちました。眼下では、岩岩しい山肌の向こうに、南西に貫く山脈と雨林と空の鏡となったLadies Tarnが一緒に風に吹かれていました。

私のような北半球出身ではなかなか味わえない、山頂で年末のひと時を過ごすこと。本当に貴重な経験だと思います。フリースを着ていましたが、南のアンタークティカから吹く風は夏なのに寒い。加えて、雲が積もり始めてきました。

寒くなってきたし、夕陽が沈み終わる前に帰ることに決意(ダウンを持ってくればよかったと少し後悔)。

幸い帰路の高原湿地帯で、ブルーアワー(日が暮れた後に空が感慨深い色彩を魅せる時間)が来ました。

トレイルの先には、夕暮れ独特の深い青の層、オレンジの層、その間に溶け合った層の色が広がっていました。そして、今年の思い出に浸ることができる静かな時間が流れていました。

大いなる空の広さと興味深い花々のおかげで、景色に飽きずに、疲れることなく上ることができました。


アクセス(行き方/帰り方)

タスマニアでは、自家用車かレンタカーが基本です。
タスマニア到着時にレンタカーを借りることができます。長期滞在者(観光ビザ、ワーキングホリデービザ、永住権所持者)の場合には、自家用車を買ってしまうのもおすすめです。私自身は、1年ぐらいタスマニアに滞在しようかと考えていたので、タスマニア到着後、中古の車を一台買ってしまいました。レンタカーや自家用車購入についての記事も今後書いていきます。
また、公共交通機関とヒッチハイクを交えれば、行くことができると思います。そのため、[自家用車/レンタカー]と[公共交通機関+ヒッチハイク]の2パターンを紹介します。

[車パターン:ホバート(Hobart)→登山口]

手段:自家用車/レンタカー
価格:20-25AUD (2000-2500円程度)
所要時間:1時間20分程度
出発場所:ホバート(Hobart)
到着場所:ハーツマウンテン登山口(Hartz Mountain Day Visitor Centre)

ホバートからヒュオンビル(Huon Ville)→ジーヴストン(Geeveston)に向かって南に運転していきます。ジーヴストンからC632道路を通って森の中に入っていき、27KMほどで到着します。帰りも、同じ経路でホバートに戻れます。また、さらに冒険が続けるられるなら、前掲のプラティパスウォークやアダムソンズ・ピーク登山、ミステリー・クリーク・ケイヴ・ハイキングがおすすめです。

[車なしパターン:ホバート(Hobart)→ジーヴストン(Geeveston)]

手段:バス+ヒッチハイク
価格:11.40AUD (1100円程度)
所要時間:1時間20分程度
出発時間:朝7時から1時間1本の頻度
出発場所:Hobart Interchange Elizabeth St Stop A3
到着場所:Geeveston Bus Station 

Tassielinkというバス会社を使えば、ジーヴストンまでたどり着くができます。予約はこの電話番号(1300300520)からできます。オンラインで「予約の申請」ができますが、結局オペレーターと電話することになります。私もこのバスサービスを使ったことがあります。伝えることは、行き先と出発時間です。クレジットカードの番号を聞かれるので、番号を口頭で伝えます。後は、バス乗車の際に、自身の携帯番号を伝えればOK。それにしても、時代遅れな予約方法ですね笑。
通るバス停は同じなので、同じ予約の流れでホバートに戻ることができます。

[ジーヴストン(Geeveston)→登山口]

手段:バス+ヒッチハイク
価格:0AUD
所要時間:20分程度
出発時間:7時から10時がおすすめ
出発場所:ここらへん?
到着場所:ハーツマウンテン登山口(Hartz Mountain Day Visitor Centre)

人気な山なので、夏なら必ず登山客が来るはずです。朝にヒッチハイクをし始めるのがおすすめです。朝には登山口駐車場が埋まってしまうのを見たことがあります。ちなみに、歩いて登山口に行く場合には、道すがらにあるこのキャンプ場がおすすめです。無料かつ、テント設営もOKです。


この度も本記事を読んでいただきありがとうございました。
しばらくの間は、タスマニアの山や生活/旅に役立ちそうな記事を書いていきますね。

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