見出し画像

【特集】もうすでにあるテーマの曲を作る意味がない

今年で結成一年目を迎える全員近大生の音楽バンドUncurtain(アンカーテン)。去年までは音楽を「聴く人」だった彼らが「作る人」になって感じた心の変化、そして作詞作曲にかける想いを取材。時に残酷な現実に向き合い、果敢に曲にする音楽バンドの表現と覚悟に迫る。

Uncurtain
大阪を拠点に活動するバンドUncurtainはジャンルをクロスオーバーさせながらもpopsのサウンドにまとめあげる作曲スタイルをとる。あらゆる多様性を持つ人や文化、情報に目を向けた作詞にも重きを置いている。

今日はよろしくお願いします!
早速ですが、Uncurtainはどういうバンドですか?

Chase Riki (Vo)

Chase Riki (以下Riki) : 僕たちの目指すものはUncurtainっていうバンド名にも含まれてるんですけど、「見えない壁」が世界には存在していて。色々な人種、性別とか。そういう壁のせいで戦争とか紛争とかが起こっていて。

その壁を僕らの音楽を聴く時だけでも取っ払える存在になりたいなっていう思いがUncurtainにこめられています。

Uncurtainの作る歌詞は「歪んだ母性」や「夢以外いらない」といった グレーなテーマが多いように感じます。 作曲にあたって気をつけていることはなんですか?

Riki: もうすでに存在してるようなテーマの曲は出す意味がない って思う。

 テーマ選びだけでもホンマに悩む時は1ヶ月2ヶ月悩みます。よくあるテーマを聞きたいなら、メジャーバンドとかアイドルの方が俺らよりいい音やし、100倍金かかってるし。

 誰も聴いたことのないテーマ、僕らが少なくとも思いつかへんテーマなら、まだ聴く人は居るんちゃうんかなって。他が歌わないテーマなら僕らの曲に寄り添ってくれる人、Uncurtainを頼りにしてくれる人が出てくるんじゃないかなって思って作ってます。

バンド目線で、Uncurtainらしさの伝わる音楽の聴き方あれば教えてほしいです。

Riki: 何も考えずに脳死で聴くのも楽しいだろうけど、結構いろんなところこだわってるから…。歌詞の言葉一つの歌い方とかもこだわって作ってる。もちろん歌詞の意味にも。あとGakuが作る音にもいろんな色が詰まっているし。とにかく細部まで聴いてみるのも面白いかもしれない。

Uncurtainが最初に作った曲『カタバミ』について教えてほしいです。

Riki: カタバミはUncurtainが結成する前からあったんですよ。

カタバミを形にするためにUncurtainができたみたいな。きっかけはBlack Lives Matterの事件。あの事件を報道する日本の姿勢?少し他人事なところに少し違和感があって。日本にも国籍差別ってあるし、自分もその被害を受けたし。ただその事件の2年後、黒人がアジア人を差別し始めたんです。行く当てのない怒りをアジア人に向け始めて。

カタバミに"最後に手を取り合ったのは、雨が降った後だった"っていう歌詞があるんですけど、「アホなことしたなぁ、これから仲良くやりましょう」みたいな「平和」って何千何万人が死んでから話し合われる。これが悲しいなぁって思ったんです。

この気持ちを歌ってる人達って思い返したらいなくて。じゃあ作ってみよっかなと思ってGakuとデモ音源を作ってバンドでやったって感じです。

作曲するにあたって、トラックメーカー(リズム、メロディーと作る人)として影響受けてることとかありますか?

Gaku Takegawa (Gt)

Gaku Takegawa (以下Gaku): 視覚文化とかかな。モダンモダニズム系のアーティスト。建築とか。一番影響受けたのは、ジェームズタレルです。

基本的にはそういう抽象的な「何か」に自分が実際に行って、形やそのスケール感を写真に収める中で、「こういう景色からはこういう音がするな」とか、逆に「この音からこういう景色がするんだろうな」みたいな。視覚と音をリンクさせてますね。偉大な作家じゃなくても、フォトショップで素人が作ったコラージュアートをかっこいいなって思ったり。

結局音楽っていうのは、「何かがあって」生まれたドレミファソラシドが綺麗に聞こえてしまったから音楽が成立しているわけで。だからこそ、そういう「何かがあった」っていうのをすごく他の五感を使って探す。匂いもそうだし。なので視覚嗅覚とか、五感全部に影響受けています。

Tomoki Okamura(以下Tomoki):がくくんは元々作ってるのは知ってたけど、こうやって本気で作るようになってからコードとか、音楽理論とかの細かい技術めっちゃ使ってて。それを目の前で見たら、この人は天才だなと思ってます。

Taishinさんはサークルの音楽活動もやりながら、デビューを目指す音楽活動もやられてるわけですが、二つの音楽活動をどうかんがえていますか?

Taishin Sanada (Dr)

Taishin Sanada(以下Taishin): サークルはサークルなりにいいところある。

でも何かやっぱりサークルで音楽している人と外でライブとかしてる人というのは全然違うし、レベルもかける思いも。

サークルはサークルでめっちゃうまい人とかはおるけどやっぱり何か技術だけで、アウトプットできるというのは、こういうちゃんとライブハウスで自分たちの曲を作ってやる人としか出来ないことなんやなぁって。

 でもサークルでコピーして培ったフレーズとかは、そういう技術を自分たちの曲でも活かすこととかできるから、両方やってて全然良かったなとは思います。

もし音楽を本気でやるか悩まれてる人がいたとしたら、何と声かけてあげますか

Taishin: 実際に言うっていうのは、それなりにしんどいよって言ってます。

Tomoki: 僕は「いいメンバーを集められるならやってもいいと思う」って言ってます。音楽で食っていきたいだけなら、スタジオミュージシャンとかいろいろあるけど、ホンマにバンドで音楽するんやったらメンバーがすべて。

Riki: ほんまにバンドで音楽するんは難しい。捨てるもんも多いし。親も「応援してくる」ってずっと言ってくれてるけど、400万か…売れたら真っ先に返さなきゃなって思う。自分のために使うよりも、自分で車を買うよりも先に返さなきゃいけない金だなと思ってる。

新曲となる2曲は両方ラブソング。 2曲に込めた想いを聞かせてください

Tomoki Okamura (Ba)

Riki:恋愛の曲を作ろうと思ったのは、みんながよく聞いているテーマを作ってみようってのがきっかけで。 でも普通にやったら面白くないから、恋愛をメタルとバラードの2つで表現したらUncurtainのラブソングが作れるんじゃないかなって思って作りました。

一曲目 『Beelzebub (ベルゼブブ)』について教えてください

Riki:単純に蝿の王ってだけで選んだんじゃなくて、キリスト聖書のなかでベルゼブブがどういう立場なのかを調べて辿り着いたのが、「人の不幸を食べて生きている」っていうやつ。

人の不幸を望んでる、人の心を弄んで楽しんでる… やべぇ女や!ってなって笑 悪い女(ベルゼブブ)に振り回される被害者側の話を書きました。なので歌い出しは「Feels so damn(最悪や!)」から始まります

二曲目『you and my mind』 について教えてください

Riki: 失恋って失恋した人しかわかんないじゃないですか。実った恋って実った人しかわからないじゃないですか。そうじゃなくて、実るほうも失恋も、どっちもが通る「気持ちを伝えていいのかな」「相手はどう思ってるんやろ」みたいな恋愛の前の段階を言葉にしてメロディーにして表したいなと思って作った曲ですね。

Tomoki: 独特というか、なんか普通のラブソングとはちょっと何かちょっとちゃうな。

Taishin: なんかメロディーとかもなんかちゃうな。

Gaku: 音的にもすごい面白い。

Riki: 今ある邦ロックとは真逆やな。

最後に、Uncurtainが目指すのはどこですか?

Tomoki: 武道館。せっかくこうやってバンドを組んだなぁ。ライブの最後にやる曲で『Nothing more』って曲があるんですけど、小さいライブハウスでお客さんにスマホライト振ってもらう演出やってて。それがめっちゃきれいなんですよ。これを武道館で見てみたいっすね。

Riki: それ見れたら死んでもいいな笑

(Photo: 愛 (IG @p__shima) さん


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?