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野菜と空間

全国で「野菜バス」が走っていることを知りました。
まだ一部で始まった先鋭的な取り組みだということですが、
とても素敵な仕組みだと思いました。

生産者と消費者だけでなく、飲食店のオーナーやドラッグストア、銀行、民家、いろいろな人が参加してバス停になるために手を挙げる…。そこに野菜を求めて人が集まる。地域でとれた野菜を乗り合いバスが走り、スマホで注文した地域の人たちに届ける、廻す。生産者は売値を少し高く、物流費が下がった分値段は安く、もちろん獲れたての野菜はみずみずしく美味しい。大量生産大量消費の時代にやってきた一括仕入れの大物流の流れを、多品種小規模の流通に軸足を変え、地産地消の商材が全ての参加者にとってメリットになっています。

大きさや熟度が均一なトマトは海外では「プラスチックみたいなトマトだ」と揶揄されるらしい。大小さまざまな個性を許容される国から見れば日本の流通商材の均一性はかえって違和感に映るみたい。この野菜バスでは生産者との距離も近く、その個性を受け入れる風土もあるので、本来はじかれてもおかしくない小さなものや形の悪いものも売り物になるということ。だって美味しさに変わりはないんだから。

これまでできなかった物流の大きな流れを、地域ごとの中規模な対流にし、小規模なつながりで細やかなリクエストもレスポンスも回る。小さな火種がいずれ大きな食の流通を変えていくことになるかもしれません。人が乗るわけじゃないけど、野菜がバス停に集まり、車両に載り込んで運ばれていく。あるいは頼んでおいた野菜がそのバス停で降りる。
"運び・運ばれる野菜だから「野菜バス」”。

「避密のレストラン」は地域においてもこんな動きができればいいなと思います。"空間” が地域に点在して「ドック」へ、食材とモビリティを以って「スカウター」がドックを廻る。美味しい食事空間が地域内で廻る。そんなネットワークが拡がっていくことを期待しています。



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