理科はパワポが大活躍:学習のデザイン04
前回の算数につづき、今回は理科です。
表題のとおり、Powerpoint(Keynote, Google Slideでもなんでもいいです)を使って、理科が難しいと感じてしまう壁を取り払いましょう。
1. 比較がカギ
理科は他の科目と比べて、対照実験などで性質の違いを知る学習内容が多めです。理科を分類すると4科目に分かれます。
・化学(水溶液など)
・物理(ばねやてこなど)
・生物(植物など)
・地学(天体など)
2つの条件を変えて実験をする化学は、割とイメージしやすいと思います。ですが、それ以外でも例えば生物では、単子葉類と双子葉類なども、お互いを見比べることで覚えています。比較で違いを理解することが理科の学習のコツです。
それぞれの比較方法は後で紹介します。まずは、比較をどうやって子どもに伝えるか、デザインで工夫できることを考えてみましょう。ここで、パワポの登場です。
2. 同じものをコピペして並べる
たとえば計算が求められる問題には、まず基本的な公式があります。それをもとに応用に発展して、難しい問題が出てきます。
多くの子どもは、難しい問題に直面すると、その時点で「難しい」「何を聞かれてるかわからない」と軽い混乱に陥ってしまいます。ですが、ほとんどの問題はどれも、基本→応用のながれでつくられています。ここで大事なことは「基本に立ち戻れること」です。
そこでパワポを使います。左には基本的な問題や解き方を、右側は左をもとにした発展の問題がそれぞれ書かれています。
まず、左に最も基本的な問題と解き方を示します。
次に、基本から1つ発展した応用問題に進みます。ここで大事なのは「この前にやった基本的な問題を残して、隣にならべておくこと」です。左をそのままにして(コピペする)、右に新しい問題を載せましょう。
そこから、だんだんと応用した問題に発展していきます。
複雑になると一瞬戸惑いますが、基本に立ち返れば一歩ずつ考えていくことができます。わからなかったら1つ前のページに戻りましょう。
このように比較します。前の問題に対して何が違っているのかの差分がわかると、違うところに着目して計算式も変えて、問題を解いていきます。違わないところは同じよう計算にすればよいので、混乱を回避できます。
3. いつでも左右で対比
化学に多い計算問題はわりとわかりやすいですが、他の問題でも、この比較で理解するデザイン案は有効です。試しに書いてみましょう。
物理:グラフを用いた比較もできる
生物:暗記ものでも比較することで特徴を理解する
地学:基本を常に見せて、解き方のステップを理解する
いつでも左を見ることで、基本に立ち戻って考えることができるようになります。手書きだと大変ですが、デジタルツールを使えば、同じ内容を同じ構図で楽に見せられます。
4. 黒板とデジタルツールのメリデメ
僕は、先生がみんなの前で書く黒板や、生徒が自分で書いて覚えるためのノートは、今でもとても有効な学習方法だと思っています。
なので、すべて盲目的にデジタルツールに置き換えることは反対です。先生がただ用意したパワポの資料を淡々と説明するだけの授業は、一方的かつ予定調和的でつまらないです。現に大学の授業や会社の研修でこのような形式は、居眠りする人が続出です。
あくまで、デジタルツールは手段です。それでもデジタルを活用するメリットはあります。今回の場合でいえば、
・容易にコピペができる
・書き方が統一されてるので比較しやすい
・一枚に納めなくてもいい(ページを行き来できる)
などがあげられます。一方で、パワポを使ったとしても、解き方は手で書いていったり、細かく質問をするなど、インタラクティブなやりとりの仕掛けは大切にしましょう。
繰り返しになりますが、理科は「比較」がカギです。比較を伝えるためにデジタルツールのよい面を活かしていきましょう。
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これまで紹介した算数と理科は、理系というカテゴリでしたが、次は文系で考えられる学習方法を考えてみたいと思います。
デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。