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Design Scramble Cast#3 河原 香奈子さん

Design Scramble Cast」は、デザインプロジェクト『Design Scramble』が運営する参加型の音声番組です🌈 🎧 🤝

毎回様々な分野の第一線でご活躍されているクリエイターさんと、そのクリエイターさんと「お話がしたい」と応募してくださった若手クリエイターさんをお迎えして対談の様子をお送りしています。
こちらのマガジンでは、対談の内容を一部抜選してご紹介いたします。全ての内容を知りたい方は、音声番組「Design Scramble Cast」をぜひご視聴ください。

今回ご出演いただいたのは、河原香奈子さん(Takram | リードデジタルプロダクトデザイナー)と、せんこさん(DeNA | デザイナー)です。

河原香奈子(Takram | リードデジタルプロダクトデザイナー)
デジタルプロダクトのUI/UXデザインとブランディングを中心に活動。ITスタートアップ複数社にて新規事業立ち上げからグロース、デザイン領域のリーダー・役員などの経験を積み、2020年よりTakramに参加。主な仕事に、新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響の可視化を行うサイト「V-RESAS」、D2C&Co.のキュレーションサイト「5PM Journal」のUI/UXデザインなどがある。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。
🔗:Twitter

1. Design Scramble Castへの応募のきっかけ

せんこさん(以下、Senko):私は大学でサービスデザインやプロダクトデザインなどを幅広く学んできました。就職活動のタイミングでUIデザインにも興味を持ちはじめ、記事やアプリを通してかなさんの存在を知りました。また、Takramという会社がもともと好きだったこともあって、最近かなさんが入社されたことを知りぜひお話させていただきたいと思いました。

河原香奈子さん(以下、Kana):ありがとうございます。嬉しいです。

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▲ 内閣府が運営する、新型コロナウイルス感染症の地域経済への影響をビッグデータを用いて可視化する地域経済分析サイト「V-RESAS」。Takramは、V-RESASのコンセプト・UI/UX・可視化などのディレクションを担当しています。河原さんはこのサイトのUIデザインをメインデザイナーとして担当しています。(Takramは、内閣府より本プロジェクトの委託を受けた株式会社帝国データバンクからの再委託を受け、プロジェクトに従事しています。) https://v-resas.go.jp/

2. デザインが社会に与えるインパクト

Senko:私がUIデザインに興味を持ち始めたきっかけは、UIデザインが社会やサービスに対して与えるインパクトがすごく大きいなと感じ、自分で作ってみたいと思ったからです。仕事を始めてみて、自分が作ったデザインやサービスに対して身近なところでフィードバックをいただく機会はもちろんあるのですが、かなさんがこれまで手がけられてきたお仕事の中で印象に残っている、大きなインパクトを与えたサービスはありますか。

Kana:たしかに、UIデザインというものはデザインを通してそれを使ってくれている人の生活のなんらかの行動を変えるきっかけになるものなので、インパクトも大きいと思います。同時に、それを作ることへの責任もすごく大きい仕事だといつも思っています。

印象に残っているものだと、以前アプリを1から作ってリリースしたのですが、リリースした直後にものの数分でかなりの回数利用されたという経験があります。そのときに利用のログを見て「あ、本当に使ってくれている人がこんなにいるんだ」、「ちゃんと届いた」と実感したことは大きな経験だったなと思います。

リリースする前は、意図した通りに使ってもらえるかとか、本当にこの文言で言いたいことがわかりやすく伝えられているかな、ということが直前まで吐きそうなくらいにいつも不安になるのですが(笑)、作り手が想定している以上に使ってもらえたということは、ある程度は設計がしっかりできていたのかなと、デザイナーとしてはほっとしました。

その時に、自分が思っている以上にたくさん使われるということに対して、良くも悪くも影響が大きいことだなと感じたので、UIデザインの先に使う人の生活があるということをいつも忘れずに、世の中に対して全力で良いインパクトを出せるようなデザインをしていかなくてはいけないなと思っています。

Senko:ありがとうございます。「出したサービスに対して、良くも悪くも大きい反応が返ってくる」とおっしゃっていましたが、大きい反応が返ってくるのは羨ましいなと思いました。私も新規サービスをやっていて、リリースしてみて最初はあまりリアクションが無かったんです。大きいインパクトを実感することによって、より責任感や作り込みを頑張ろうというモチベーションにも繋がるのかなと聴いていて思いました。

Kana:そうですね。ただ、SNS等に書いてもらう感想は業界の人が多かったりもするから、きっとせんこちゃんが作っているものも(見えないところで)しっかり使ってくれている人もいると思います。そういう人に会いにいける機会があったりすると、色々と感じ取れることがありそうだなと思いました。数だけではなく、1人でも熱心に使ってくれている人がいると嬉しいじゃないですか。

Senko:ありがとうございます。

3. デザイナーをやめられないな、と思う瞬間

Senko:デザイナーをやっていて、良いものをつくるのが大変でしんどいなと思う時もあると思うのですが、そういう困難な状況でもデザイナーをやり続けられるような「これだからやめられないんだ」というモチベーションなどがあればお聞きしたいです。

Kana:そうですね、2個あるなと思っています。1つは先ほど話していたことで、作ったものをリリースしてちゃんとユーザーさんに届いたとき。その瞬間のために仕事をしているなと思います。

Senko:私も初めてアプリをリリースしたときに、ユーザーさんからのリアクションが見られて、その時が一番嬉しかったなと印象に残っています。その瞬間っていっぱい味わえるものではないと思いますし、サービスを作っていてそこに至るまでにすごく時間がかかると思うのですが、やっぱりその瞬間を何度も届けたいなと思います。

Kana:そうですよね。すごくわかります。もう1つはちょっとネガティブ系なのですが、昔から「仕事で感じた悔しさは仕事でしか解消できない」と思っています。すごくストイックな感じになっちゃうんですけど、自分の仕事に完全に満足できたと思うことって今までに一度もないんですよね。だから多分、これはもう一生やめられないループに入っちゃってるなって思います。

Senko:かなさんでさえ「やったぞ!」感はないんですね。

Kana:全然ないですね。だからもう、永遠に自分の中に課題があってそれを解決するために行動していく、それ自体がデザイナーっぽいなって自分でも客観的に思い始めたところがあります。

Senko:それはもう「何年目」とかに関わらずですか?私もそうなっていたいなと思います。

Kana:関わらずですね。なっちゃうと思います。ものを作るひとの宿命かなと思います。

4. 求められるデザイナーになるために意識していること

Senko:求められるデザイナーになりたいと思っています。かなさんはこれまで色んなサービスに携わられて、色んな方と開発をされてきたと思うのですが、「かなさんにお願いしたいです!」と思ってもらえるように日頃意識していることがあれば、教えていただきたいです。

Kana:かなさんにお願いしたいと思っていただいているかはちょっとわからないですが...
マインドセットのお話になってしまうのですが、よく「当事者意識」と言われることに近いのかもしれないです。自分が関わらせてもらうプロダクトやチームを愛するということを大事にしています。そのチームやプロダクトのためにデザイナーとしてできることはなんでもやるっていうことに尽きるのかなと思っています。
インハウスの時ももちろんそうだったし、最近はクライアントワークですが、その時の感覚を自分の中で絶やさないようにしようとはいつも思っています。

せっかく関わらせてもらうんだったら、そのものを愛してお仕事させてもらったほうが楽しいですし、お互いにハッピーな感じがするので大事にしています。

以前お仕事をさせていただいたクライアントさんからも「自分たちのプロダクトを好きになって仕事をしてくれている感じがして嬉しいです」と言ってもらえたこともあるので、そういう気持ちは伝わるのかなと思っています。
クライアントさんとあまり垣根を作らず、ワンチームで一緒に愛せるプロダクトを作っていけるとすごくいいなあという風に思っています。

Kana:せんこちゃんはどうですか?

Senko:今作っているサービスは、認知症に備えるための生活習慣を改善するようなサービスです。ターゲットとしては4~50代などを想定しているので自分はターゲットではないのですが、毎日自分でも使っていく中で改善点が見えてきたり、本を読んだりと認知症に対して興味を持つことで見えてくることがあるので、(興味を持つことは)大事だなと思います。

Kana:それだけ愛情を持ってやってくれている人だったら、信頼できるなあという風に思ってもらえるんじゃないかなと思います。

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▲せんこさんの携わっている、認知症予防に向け生活者の行動変容を支援するアプリ「Easiit」

5. サービスの可能性を最大限に引き出すための工夫

Senko:かなさんがこれまで作られてきたアプリを見ていると「デザインでできることは全部やろう!」という気持ちがデザインから伝わってくるように思います。
日頃ビジネスの方や企画の方の思い描いているイメージを見えるカタチにして、「サービスの成功確度をあげたい」、「そういうデザイナーでいたい」と思ってはいるものの、実際のスキルとしては機能を満たしただけのデザインで終わってしまっているのではないかという課題感があります。そこから一歩踏み出してプロダクトをより魅力的にする提案をできるのがかなさんなのかなと思っているのですが、そのためにどういう行動をされていますか。

Kana:必要とされているものをまずちゃんと作れる、というのが第一歩なのでそれができているというのは素直にすごいなと思います。それができていたら、あとは勝手にやっちゃうだけだなと思うんですよね。

Senko:えっ、勝手に...?わからない...

一同:笑

Kana:機能を満たす、という要件があったとしてそれを分解すると色んな満たし方があると思うんです。自分の場合は1回「守りの案」を作って、それを持っていた上でこれをさらにおもしろくするとしたらどういうものがあるかなというのを考えています。
もちろん、開発していく上で色んな制約とかもあるからその通りにできないことの方が多いんですけど、いつもの仕事をする中でもただ必要とされているものを言われて作るだけだとちょっとつまらなくなってきちゃったりもするので、頭の体操も兼ねて「もうちょっと何かできないかな」と普段から考えるようにしています。
勝手にやっているだけなので、実際にそのデザイン案は使われなくてもいいや、と思ってるんですよ。そういうのをやっている中でちょっとでもおもしろい案ができて、たまに当たればラッキーみたいな感じなので、いちいちへこまないでいいんですよ。

サービスの持っている可能性を可視化できる、というのがデザイナーの大きな強みだと思っています。可能性なのでやってもやらなくてもいいじゃないですか。実現できてもできなくてもいいんだけど、案をチームに見せることはできるんですよね。しかも開発もせずに、画面を作ることは勝手にできることなので、案をいくつか作ってチームに共有するということをぜひ、せんこちゃんもやってみてもらえるといいのではと思います。

Senko:これはもう、明日からやってみます。へこまない、っていうのがめちゃめちゃ大事だなと思いました。毎回へこんでいるので。それでちょっと出すのが怖くなっている部分もあるので、それはよくないなと思いました。

Kana:わかります。色々持っていけば「あくまで案の一個」ということで自分も守れると思います。

Senko:ありがとうございます。

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かなさん、せんこさんありがとうございました!
Design Scramble Cast」ではその他に以下のようなお話をしています。
興味のある方はぜひこちらから聴いてみてください。

💭 仕事のスタンスについて
-  デザイナーとしてやること・やらないこと

💭 キャリアについて
-  今に繋がっている挑戦と失敗

- 環境を変えるタイミング


📮 Design Scramble Castへの参加者を募集しています

「Design Scramble Cast」では毎月1つ、対談を配信予定です。
また、憧れのクリエイターさんと「お話ししてみたい」「相談してみたいことがある」という若手クリエイターの方も募集しています!
参加希望の方は、Googleフォームからぜひエントリーしてください。

それではまた、お会いしましょう👋🌈

Design Scramble Cast 公式サイト:https://designscramblecast.jp/

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