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体験から道具をデザイン:朝の体験

体験から道具をデザインする

家電メーカーでは、「コーヒーメーカー」、「めざまし」、「液晶TV」、などある機能というして道具をデザインしていますが、体験という視点から道具をデザインしたらどうなるか? そんな実験をしてみたいと思いますした。

千葉工業大学の「工作センター」は小さな工場のような感じで最新の設備が充実していて、自動車を作ったり、ロボットを作ったりすることができるのです。その施設を活用して、プロトタイプを作ってみたいと思っていました。

気持ちのよい朝の体験のためのシナリオ

まずは、気持ちのよい朝の体験のための簡単なシナリオを書いてみました。
「木村和彦、 28歳、自然が好きなIT会社の新宿営業所の一人暮らしの営業マン。朝は, smart morning からの気持ちのよい音と映像がこもれ日のように漏れてくる。ダイヤルを回すと、コーヒーと目玉焼きも同時にできる。ダイヤルを回すと、自宅と会社の天気予報が聞こえてきた。ダイヤルを回すと、会社までの交通情報が聞こえてきた。smart morningはレンタルなのでメンテナンスもらくらくだ。」

最初のシナリオ

最初のシナリオから、デザインコンセプトを検討して、詳細のシナリオとプロトタイプの設計をしました。その設計図を使って工作センターのワイヤー放電加工機を使って、アルミの金属のかたまりから部品を切り出しました。四角いアルミのかたまりから、できるだけ無駄な出ないような設計にしました。

作っていない時の状態


朝の体験の状態


本体から、コーヒーカップと目玉焼きの皿がでてくる

AXIS誌に掲載

Smile Experience for Single Personとして、AXIS誌の2007年12月号「21世紀のIDインタラクションデザイン塾考」に掲載されました。ここには詳細のシナリオも記載しました。

2007年12月号AXIS誌

例えば、独身生活のワンルームや出張先のビジネスホテルでの朝のシーン。昨夜設定した時刻に、自分の好きな色の明るい光と鳥の声で目覚める。

音を止めるために本体上部のチャンネルを回す(感性目覚まし機能)。チャンネルで天気アイコンを選択すると、今日は清々しい晴れになることが光と天気予報の音声の調子によってわかる(感性天気予報機能)。水と卵を入れてチャンネルを押した後、光と音の変化で沸騰するのを感じ取れる(感性湯沸かし機能)。中からマグカップとミニフライパンを引き出すと、淹れ立てのコーヒーと熱々の目玉焼きができている。慌てたような色で光が瞬いたのでチャンネルを押すと、友人から届いた急用のメールを読み上げてくれた(感性メール機能)。チャンネルを切り替えると朝食が楽しくなる、自分が好きな音楽と光が流れ出す(感性ミュージック機能)。その途中、光がフラッシュしたので何かと耳を澄ますと、電車遅延を知らせる声が飛び込んできた(ウェブニュース機能)----。

ひとりでいる人が、他者とコミュニケーションを取らずとも、ほがらかな気持ちや心地よい体験(スマイル・エクスペリエンス)が得られるインタラクションとして、主に光と音によるユーザーと人工物の関わりと人工物(プロダクト)を提案しました。

この作品は、日本インダスリアルデザイナー協会環境委員会主催の「エコデザイン展」に出展することができました。また2023年に武蔵野美術大学で開催した「The Smile Experience 山﨑和彦の体験デザインの軌跡」の展覧会に出展しました。また、「うれしい体験のデザイン UXで笑顔を生み出す38のヒント」という書籍にも掲載されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4910984003?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_DJNK2KJ05FDKPHHJK4CN


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