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新メンバーのご紹介

はじめまして。ACTANTの堀澤里奈(ほりさわりな)です。今年1月からACTANTに参加し、バックオフィス業務や編集・リサーチのサポート、ACTANT FORESTでのリサーチ・ライティング業務などにあたっています。私は、日本とイギリスの大学で人類学と国際関係学を勉強した後、メディア業界勤務を経てACTANTに参加しました。デザインとは少し(結構?)遠いバックグラウンドですが、簡単な自己紹介とサービスデザインに関心を持った経緯などをお話できればと思います。

東京の下町・谷根千

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生まれは東京都の文京区。「谷根千(やねせん)」と呼ばれる下町です。谷根千は谷中・根津・千駄木の3地域の頭文字をとって呼ばれるエリア。文京区と台東区・荒川区のはざま、駄菓子屋や昔ながらの商店街、猫だらけの公園など、「ALWAYS 三丁目の夕日」さながらの風景が残るザ下町な地域で育ちました。

谷根千は森鴎外や夏目漱石など、文豪たちが集ったゆかりの町でもあります。住んでいた家の目の前は「森鴎外記念図書館」という森鴎外がかつて暮らしていた邸宅を改装した図書館でした。共働きだった両親の帰りを待つ間、学童保育から定員割れであぶれたわたしは(兄は入れたがなぜかわたしははじかれてしまった)、放課後はランドセルを玄関に放り投げ、親の帰りを待つ間よくその図書館で過ごしていました。

子供時代の自分にとって図書館は多様な世界と接続される場所でした。東京の下町の小さな児童書コーナーから、いろんな国の出来事を知ることができました。「世界がもし100人の村だったら」という絵本を読んで、日本の生活は当たり前ではないのだと衝撃を受け、世の中には自分の知らない世界がたくさんあるのだと。東京の下町の小さな図書館から、異文化や世界への旅の鐘形を抱くようになっていたと思います。

人類学との出会い

図書館から世界への憧れを抱くうちに、将来は海外で勉強したいな働いてみたいなという思いや、もっと色々な国の暮らしや文化について知りたいなという思いが強まっていきました。そんな中、高校の現代文の授業で文化人類学という学問に出会い、異文化を学ぶこと、「他者」の視点から世界を見ることの面白さに惹かれ、人類学が学べ海外留学も盛んな国際基督教大学(ICU)に進学しました。

同校唯一の学部学科、教養学部リベラル・アーツ学科という名のもと、国際関係学・人類学・政治学・開発学、、、興味の赴くままに色々な授業をとっていました。

その中でも、人類学の授業で、人類学者レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」という本に出逢いました。この世にあるのは優劣ではなく、差異だけである。裕福(に見える)西洋の国も、未開(と私たちが呼んでいる)ジャングルの中の民族も、社会構造のレベルではなんら優劣はなく、物質社会の中で富と思うものも、違う文化の世界線では落ちている小枝と変わりないのかもしれない……。悲しいのはどちらか。

難解な文章のオンパレードで100%の理解ができていたわけではないですが、自分の見ている世界線がひっくりかえされたような衝撃を受けたことを覚えています。

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Photo by Hanako Fujisawa

もっと人類学を学びたいと思い、1年間、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)という名前からしてとてもニッチな大学に留学しました。人類学と国際関係学という一見繋がらなそうな学問を横断しながら、お隣にある大英博物館に行ってフィールドワークをしたり。エクストリームな内容をやりつつ、学問の楽しさ、人類学的視座の面白さを体感してきました。人類学が楽しいと思いつつも、この視座を実践していくには何ができるだろうか、と考えつつも明確な答えの見つからぬまま、長いようで短い1年の留学生活は終わりを迎えました。

学業の傍では、ネパールやパレスチナの服飾を扱うサステナビリティファッションブランドでインターンをしたり、社会起業家支援を行うNPOにてウェブメディアの立ち上げに関わったり、興味の赴くままに忙しなく動き回る学生生活でした。(あと、バイト戦士してました。。)

編集とデザイン

卒業後は、人類学が生かせる仕事はなんぞやと思い、また兼ねてからの活字好きも高じて、メディア業界で編集と取材記者を経験しました。学生時代から色々なことにばたばたと手を出してきたようで、軸にあったのはファッションでもウェブメディアでも紙面に書いた記事でも、なにがしかのメディア(媒介)を通して人や物事の関係性を編みかえることにあったと思います。

布からできた服というメディア(媒体)に、サステナビリティという概念だったり、遠い国の伝統文化の美しさという「意味」を載せて伝えることであったり。文章を通して人々の価値観をリフレームすることであったり。 

人と人、人ともの、ものとこと、さまざまな事象に重ねられた「意味」をゆらがせ、その意味の網目をほどいたり、編みかえたりすることが楽しかったのだと思います。それは、小さい頃に本というメディアを通して世界の見方を組み替えられた原体験や、高校生の時に出会った人類学という学問を通して、他者の視点から世界を見ることとも通じていました。

そんなことを考えているうちに、気づけば、サービスデザインとACTANTに出会っていました。情報を集めて意味を編む編集という行為は、ふとしたことで人々の視点を変えるデザインの営みとも似ているように思います。サービスデザインという行為を通して、そんなふうに人の価値観やものの意味を編み替えることで、人にとっても自然にとっても、少し息のしやすい、心地よいデザインをつくることに携わっていければと思います。

まだまだデザインという領域には足を踏み入れたばかりで、勉強の日々ですが、学び多く楽しく過ごしています。メディアでのバックグラウンドも活かしつつ、新しいこともどんどん吸収していきたいなと思います。

これからどうぞよろしくお願いいたします!