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デザイン、みる目線とつくる目線。

普段、デザインについてどれくらい気にして生活していますか?
デザイナーがいうのもアレですが、おそらくほぼ気にせず生活していると思います。ファッションなど嗜好物に対して気にする人も、デザイン自体にアンテナを貼っている人ももちろんいるとは思いますが、全体からしたら大した割合ではないでしょう。どのジャンルもそうだと思いますが、みる側とつくる側には向き合う温度差、ギャップがあります。そのギャップの原因は、それぞれの目線に立てていなかったり、つくり手の思い込みによるものが大きいです。
今回は、デザインてとてが考える、デザインに対するみる目線、つくる目線、それぞれの見方・関係性について紹介します。普段何気なく見ているもの、ことの視野が少しでも広げてもらえたらと思います。

みる目線 編

溶け込むデザイン

先述の通り基本デザインを気にして生活している人は一握りだと思います。とくに普段の生活に身近なスーパーなどで日用品や食品を買うのにデザインで選ぶ人はほぼいないでしょう。ただし、全てデザインは何かしら施されています。極端な話、値札だってデザインです。
では、なぜ気にしないのか?
それはデザインが必要な場に溶け込んでいるからです。
その場に溶け込む、馴染むというのもデザインの重要な要素です。普段の生活において人は違和感にとても敏感です。例えば、清涼飲料水のカテゴリーにお酒のようなデザインが紛れたら一目で気がつくでしょう。また、よく海外の製品をみかけると目がとまるのは、商品がその場に対して異物感があるからです。人は普段の生活の中で無意識に様々なものを判別しています。それは、スーパーなどの限定された空間に限らず、街で見る看板、ファッション、web上に流れる情報もそうです。良さそう・悪そう・自然・不自然といった初見の印象も同じように一瞬の判断です。デザインを見る際に、デザインが特別なものでなく、あくまで生活の中の一部だということをまず前提とする必要があります。

デザインはビジュアルだけではない

そんな普段の生活の中でデザイナーとして何をみているのか?
それはデザインのビジュアルのみではなく、デザインの意図です。もちろんビジュアル対しても注視していますが、日々の生活や、ショッピングにしても映画など嗜好の物に対しても制作側の意図を読み解くように意識しています。経験上、数字的に売れているもの、世の中で良いとされているものはよくみてみると、その意図を感じ取り易かったり、そこから制作のプロセスを読み解くことができます。なぜ、そのデザインなのか、ビジュアルのみならずネーミング、コピー、ライティング、ものが作られた背景をできるだけ広い視点で見て考えることが大事です。またそうするのは、目線の入り口としてビジュアルに頼りすぎないようにするためです。ビジュアルのみで良し悪しを判断すると、結局個人の好みに偏りがちです。更に好みのビジュアルでなければ見向きもしなくなると、次第にものを見る視野は狭くなります。興味のあるジャンル以外からも幅広くみて知見を得るためには、最初の印象で毛嫌いしないのも大事なことです。

つくる目線 編

目線をあわせる

デザインする対象がロゴ、ポスター、web、なんであれ、デザインに触れる第三者の目線に合わせる、それがとても重要かつ難しいところです。
そのためにみる目線で培った観察力が役に立ちます。
デザインする上で制作したものが、どの時間、場所、誰に、どうやって触れるのか想像、仮定する必要があります。先に挙げた清涼飲料水の例で言えば、どの購買層に向けて、どの季節に、どういうシチュエーションで、どのジャンルでどう目立てばその売り場に来る人の「欲しい」商品になるか(見えるか)。想定した購買層の目線に合わせると、デザインを制作する上で必要なビジュアルのトーンやあしらいなど、多角的に捉えられデザインに対し最適かどうかの判断がより明確なります。
観察力が上がれば自然と想定・仮定がより細かく解像度も高くなるはずです。それはデザイナーのみならず、ものを作る、ものを伝える上でとても重要なことです。

目線の先をみる

デザインに触れる人の目線に立ったとしても、新鮮さ・見た目の良さ、ビジュアルへの意識が先行して見落としがちなことがあります。それはビジュアルからの「期待」と得られる「体験」のバランスです。基本、デザインからの誘導の場合、「期待」に対し時間やお金など対価を払って「体験」を得ることができます。例えばダイエット機能を謳う清涼飲料水、実際の機能よりも過大に表現したビジュアルに対し、実体験がそれに伴わなければリピートはあり得ません。「体験」が「期待」を下回るからです。機能の焦点を当てた商品ならば分かりやすいですが、味覚や視覚、聴覚など数値化できない五感に関するものは、さらに難しく、それはどれだけターゲットのことが見えているか、どれだけターゲットの共感を得られるかが重要になります。
どうしてもクライアントの意見だけを鵜呑みにしたり、できるだけ要望を最大化しようとすると、この傾向に陥りがちです。
よりよく見せること、伝えることはもちろん大事ですが、それがユーザーにとって適した価値か、バランスを見極める必要があります。


視野を広く保つ(最後に)

デザインを「みる目線」と「つくる目線」、どちらも重要でどちらの立場になっても両方の目線を持つことが重要です。どちらの目線であっても、客観視することにつながりますし、それは視野を広く保つためでもあります。
デザインを意識してみているとき、「つくる目線」だけでは気がつかなった視点を発見する時があります。その発見が、制作者の視野を広げ新しいアプローチ、デザインにつながります。何よりそれが自分の体験からの発見であれば、きっとその視点をデザインに活かす時、それは単にビジュアルの模倣ではなく必ず作り手のオリジナリティを含んだアプローチになるはずです。

また、制作側だけにとどまらず、デザインを依頼する側にとっても、「みる目線」と「つくる目線」を意識することでデザインへの理解と思考を身につけることができます。お互いの役割を分けるのではなく同じ目標に向かって同じ目線で取り組むことで、役割を共有し、お互いを活かしたより良いものづくりにもつながるはずです。

最後までご拝読ありがとうございます!
デザインてとて、でした。

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さいたまのデザイン制作室、デザインてとて です。
デザインを通して、ひと・もの・ことの「て」と「て」をつないでいきます。ロゴやチラシをはじめ、デザインに関するご依頼やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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