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Windows用フォントとMac用フォントは違うのか

フォントざっくり解説 ④

フォントに興味はあるけれど細かい事が不安で何となく購入に至ってない方、仕事で入手する必要ができてしまったけどイマイチ選び方に自信がない方のための、ざっくり解説。
厳密すぎる説明で途方に暮れてしまわないよう、選ぶ・買うのに必要な知識を、ほどほどに端折りながら解説します。
※2016年11月時点の情報です。


同じこともあれば違うこともある

Windows用のフォントとMac用のフォント。同じ名前のフォント商品がWindows用・Mac用に分けて売られているのには理由があります。

  • フォントそのものが異なる。(TrueTypeではこのパターンが多い)

  • フォントは共通でもインストールのための仕掛けが異なる。(OpenTypeの場合に多い)

  • 安定性などを理由にWindows用とMac用とで異なるフォント形式を採用している。

以上のように、市販フォントを購入する際は対応OSをよく確認して買うという当たり前のことが大原則となります。
ただし、Mac OS XでWindows用のフォントを使える可能性など、もう少しつっこんで紹介したいこともありますので、興味のある方はこの続きもお読みください。

WindowsとMacのTrueTypeは、まったくの別物 …だった

Mac OS Xが登場する以前のMacとWindowsでは、ハードもソフトもごく限られた範囲でしか互換性が確保されていませんでした。
フォントについても例外ではなく、同じ「TrueTypeフォント」でもWindows用とMac用とではファイルの構造自体が違っていて、「100% 別の物」。互いに、相手OSのフォントはまったく認識できませんでした。

※この図では、技術的な意味における使用可否を解説しています。フォントを含むソフトウェア製品は通常、製品1ライセンスで使用できるパソコンは1台までです。製品をコピーして複数のコンピュータで使用することは著作権の侵害に当たり、損害賠償請求の対象となります。


さらに、主に商業印刷に利用された「OCFフォント」や、その後継といえる「CIDフォント」も、Mac OS 8/9用のみが販売されており、Windowsでは基本的に使用できませんでした。

しかし、その後のMac OS Xの登場により、この「100% 別の物」という状況は少しだけ変化します。

OS X以降ではWindows用TrueTypeも「一応使える」、ただし...

Mac OS 8/9を大きく刷新する形で登場したMac OS Xでは、Windowsとの互換性確保も大幅に向上し、Windows用のTrueTypeフォントもサポートされることになりました。(表中、黄色の箇所)

かつては認識もされなかったWindows用のフォントが、Macでも使えるようになった訳です。
ただしこれはあくまでOSがそのフォント形式をサポートしてるかどうか、の話。以下の通り重要な注意点もありますので、安易に「ウチはMac OS Xだから、Windows用のフォント製品を買っても大丈夫!」などとは思わないようにしてください。

  1. そもそもインストールできない可能性がある

    1. フォント製品の中には、専用のインストーラを使ってフォントをインストールする仕組みの商品が多く存在します。当然ながらWindows用インストーラはMac OS Xでは動作しませんので、そういうタイプの商品の場合、フォントのインストール自体が不可能です。

  2. メーカーのサポートも交換も受けられない

    1. メーカーが認めているOS以外でソフトウェアを使うことは、当然ながらメーカーや販売店のサポート対象外となります。パッケージの開封後 (ダウンロード製品の場合はダウンロード後) 、インストールができないなど不都合が発生しても、メーカーや販売店が交換に応じてくれることは期待できません。
      Windows用と銘打ったフォントをMacで使うことはあくまで自己責任での挑戦となります。

  3. 共用できても、2ライセンスある訳ではない

    1. これまで解説したようにWindows用*.TTFファイルはWindows・Mac OS XどちらのOSでも動作しますが、コピー使用が許されている訳ではありません。それまでWindowsで使っていた市販フォントをMac OS Xにコピーして複数台で使用することは著作権侵害にあたり、法的に損害賠償請求の対象になりますのでご注意ください。
      OSやアプリケーションソフトに付属のフォントも同様です。特に、パソコン購入時に備わっていたソフトウェア (フォント) の場合、「そのソフトウェアを使用できるのはそのパソコンのみ」つまり「他のパソコンへの移し替えは禁止」…と、ライセンスが限定される場合も少なくありません。
      無償のフリーフォントを除き、フォントを使う際には必ず使用する台数分のライセンスを持っている (購入する) 必要がありますので、誤解のないようにしてください。

  4. 機種依存文字など少々のミスマッチは覚悟の上で

    1. ほぼ問題なくフォントを使用できても、OSに固有のいわゆる機種依存文字まではケアされません。そのフォントの仕様や使用するアプリケーションソフト状況にもよりますが、丸囲み数字など一部の記号や拡張文字については文字化けが発生したり、入力ができない場合があります。

WinのフォントをMacで使う

前述の理由から安易に推奨はできませんが、Windows用しか販売されていないTrueTypeフォントをどうしてもMac OS Xで使いたい場合、インストーラの問題にさえひっかからなければ ── つまり、単純なフォントファイルとして提供しているタイプの製品でさえあれば、使用できなくもありません。
欲しい製品のインストールのタイプやライセンスされている台数などの要件を充分に確認の上、自己責任で購入するようにしてください。

Windows版しか販売されていないTrueTypeフォントの例

一方、Mac用のTrueTypeフォントをWindowsで使うことに関してはどうでしょうか。

2016年現在でも、「Mac用TrueTypeフォント」として市販されている製品には、Mac OS 8/9と共通に使える Font Suitcase タイプのものが少なくありません。これらのファイルは、前述のとおりWindows上では全く使えません。わざわざ「Mac用」と銘打って発売されているTrueTypeフォントをWindowsで使える確率は低めと思って良いでしょう。

OpenTypeなら「同じ物」か?

さて、TrueTypeフォントの様々な制約を改善し、WindowsとMacの間の互換性問題の解消も視野に入れて登場したのがOpenTypeと呼ばれる種類のフォントです。
そのような経緯で規格化されたフォントですので、基本的にはMac用のものもWindows用のものも、フォントファイル自体は同じと考えて構いません。

ただし、TrueTypeの場合と同様、インストーラを使用したタイプの製品の場合はMac・Windowsでは別々のものですので、単純な相互利用はできません。

そしてもちろん、フォントファイルが共通でも、1ライセンスしかないものを複数台で使用することは著作権侵害に当たり、損害賠償請求の対象となります。
たとえ同じものだからといって安易にコピーすることのないようにしてください。


【メイン画像使用フォント】
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タイトル:パンダベーカリーDSきりぎりすDSあかり

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