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Proとついていたらプロ用・商用?

フォントざっくり解説 ⑨

フォントに興味はあるけれど細かい事が不安で何となく購入に至ってない方、仕事で入手する必要ができてしまったけどイマイチ選び方に自信がない方のための、ざっくり解説。
厳密すぎる説明で途方に暮れてしまわないよう、選ぶ・買うのに必要な知識を、ほどほどに端折りながら解説します。
※2016年1月時点の情報です。


フォント名の一部にProやPROといった表記がつけられていることがしばしばあります。
これらの表記の意味するところがProfessionalなのは想像に難くありませんが、これらはプロ用・商用という意味ではなく、多くの場合は文字数の多さを表します。

基本的には「収録文字がたくさん」の意味

フォント名に「Pro」をつけた製品は昔からあり、ほとんどの場合それらは「他の姉妹品よりも収録文字数が多い」ことを意味しています。

例えば、白舟フォント雲涯フォントDesign筆文字Fontタイポグラフィクス蓮 各ブランドでは、おおむねJIS第2水準漢字 (製品によってはその一部) までを収録した製品にProの名を冠しています。

MSゴシックやヒラギノ角ゴなどOSの標準フォントでは当たり前に収録しているJIS第2水準漢字があるだけでProと名乗っていることになるのでちょっと大げさに思われるかもしれませんが、本文用のフォントとは趣きも用途も全く異なるデザイン書体やデザイン筆文字書体ですので、製品ラインナップとして便利な名称と言えるでしょう。

しかし、最近では、より厳密な意味でProを用いる習慣が広まっています。

最近根付きつつある、Pro = Adobe-Japan1-4以上 という命名

近年では、OpenTypeフォント製品を中心に、より厳密な意味で「Pro」の呼称を使うことが増えています。

ヒラギノフォントモトヤ、タイプバンク、モリサワ、といった大手ブランドでは現在、Adobe-Japan1-4以上の文字を収録した製品にのみ、Proの呼称を用いるようになっています。
これは、JIS第1・第2水準漢字を大きく上回る、商業印刷にも耐えられるレベルの収録文字があることを表しています。製品名のつけかたに統一ルールがある訳ではありませんが、このような命名はフォント業界の習慣となりつつあります。

「収録文字がたくさん」以外の意味を表す例外も

収録文字の多さとは関係なく「PRO」を名乗っている例に、リコー製品があります。

リコー製品はどの製品もJIS第1・第2水準漢字までカバーしているのですが、それとは関係なく「欧文プロポーショナル」を表す目印としてPROの呼称を用いています。
文字数に関係のない意味でPROの呼称を使っている、数少ない例と言えるでしょう。

※同社の製品は歴史が長く、多くのフォントは1バイト英数字 (いわゆる半角英数字) が固定幅でデザインされています (コンピュータの普及の黎明期、ワープロなどの日本語処理がすべて固定幅で行われていたことの名残り)。これをアレンジし、欧文の文字をより自然な可変幅つまりプロポーショナルでデザインし直したものが、同社でいうところのPROフォントという訳です。

プロ向け・商用向けという意味ではありません

PROとついているから商用利用OK! と誤解する方もいらっしゃるかもしれませんが、市販のフォントにそういう例は見当たりません。もし、商用利用できるというのを条件にフォントをお探しなら、製品名ではなく別の手段で確認することになるでしょう。
どのフォント製品にもメーカーごとの使用許諾許書、ライセンス契約書などと呼ばれるものが用意されています。通常、製品パッケージならば外箱やCDケースを開封する前に、ダウンロード製品ならば決済の完了前にそれらを確認することができるようになっていますので、これらを確認するようにしましょう。

※一般に、印刷用途に関しては営利・非営利問わず利用を許可しているメーカーが多いようです。一方、映像媒体や電子書籍での使用に関してはメーカーによって判断が分かれやすいようです。


【メイン画像使用フォント】
ロゴ:パンダベーカリーDSきりぎりす
タイトル:パンダベーカリーDSきりぎりすDSあかり

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