マガジンのカバー画像

古代エジプトの数学を学ぶ

12
古代エジプトにはピラミッドをはじめ多くの巨石建造物や彫像が残されています。また世界最古の文字の一つである神聖文字(ヒエログリフ)があり、高い文明を誇っていたことがわかります。最近…
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

古代エジプトの数学書「リンド・パピルス」の問題を解く 〜リンド・パピルスの新解釈〜

「リンド・パピルス」79番目の問題【完全数のお話】では、ネズミ算のお話をご紹介しましたが、古代エジプトにも似たようなお話があります。今回はリンド・パピルスと呼ばれる数学書に書かれている問題について考えましょう。リンド・パピルスは古代エジプトのアーメスという書記官が書いた数学書で、「アーメス•パピルス」と呼ばれることもあります。リンド・パピルスには数学の例題と解答が収められています。 その中の一問、79番目の問題には、次のような表だけが載っています。 スペルトとヘカトは小麦の

古代エジプトのかけ算 〜エジプト算法:2倍法〜

 前回のお話では「農夫のかけ算」の計算方法をご紹介しました。今日は歴史をさかのぼって、古代エジプトではどのような方法でかけ算をしていたのかを見てみましょう。 古代エジプト人のかけ算の方法は、「農夫のかけ算」と原理は同じなのですがやり方が少し異なります。n×m のかけ算を、前回と同じ42×123を使って、つまりn=42、 m=123として説明しましょう。エジプト式かけ算では以下のような表を使って計算をします(表1)。  4つの列があります。最初の欄はㇾ印を記入する欄で、これを

農夫のかけ算ってどんな計算? 〜エジプト算法:2倍法〜

 古代エジプトにはピラミッドをはじめ多くの巨石建造物や彫像が残されています。また世界最古の文字の一つである神聖文字(ヒエログリフ)があり、高い文明を誇っていたことがわかります。しかしこれまでは、古代エジプトに高度な数学が発達していたという認識はありませんでした。むしろ、エジプト数学はとても初歩的なもので、原始的でさえあると思われていました。最近になって、エジプト数学が見直されるようになり、ギリシアやローマの数学、ひいてはヨーロッパの数学に少なからぬ影響を及ぼしているのではない