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『Afterコロナの世界』 3つの潮流

2020.7.20に『コロナ後の世界』(大野和基編)が出版されました。カリフォルニア大学、MIT、ロンドンビジネススクール、ハーバード大学、ニューヨーク大学など名だたる大学の教授陣を、著者がインタビューしまとめたものです。計6名がそれぞれの分野から世界の行く末について語っていますが、大筋では似通った意見が多く、確からしい未来をイメージするのにはうってつけでした。少しでも読者の未来予測に貢献できれば幸いです。

AIの存在感が増す

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AI(Artificial Intelligence)については6名中3名の方が触れています。最終的に人間の知能を超えるAGIが開発されることになるそうですが、それはまだ先。 21世紀中は「環境・エネルギー分野」「ヘルスケア分野」において発展すると予測されています。懸念点としては兵器への応用や、職の代替です。例えば現在もっとも可能性の高い完全自動運転。これによって失われる職種はトラック運転手やタクシー運転手です。自動運転による目的地への爆破テロなどの危険性もあります。AI技術によって描ける未来を予測して倫理的に「安全に」運用していくことが求められます。

GAFAとBATもさらに巨大に

GAFA(Google Amazon Facebook Apple)の存在もますます大きくなっています。デジタルマーケティングの60%をコントロールしていると言われていましたが、コロナに直面し80%に達したとの推測もあります。GAFAはインターネットのインフラを牛耳っており、例えばNetflixを見るのにもfire stick(Amazon)が必要なように、youtuberがyoutube(Google)なしでは成り立たないように、全ての企業・個人はこれらプラットフォームの手数料を払わなければもはや活動できません。また、これら4社も互いに領域を食い合い始めています。検索はもはや検索エンジンだけでなくAmazon内で調べることも多いですし、そもそもアプリで完結するコミュニケーションも多いです。Facebookもe-コマースに取り出していたり。

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中国ではBAT(Baidu=中国のGoogle、Alibaba=中国のAmazon、Tensent=中国のFacebook)という3つの巨大企業があります。アメリカと中国はGreat Firewallで分断されていますが、今後この両者が巨大マーケットであるインド・アフリカでぶつかります。
 これら大企業がサービス価値の見返りとしてお金を儲けるのは悪いことではありませんが、一方で、中小企業が淘汰され貧富の差が拡大したり、SNSによる10代の鬱患者が増加していたりなど、負の側面も多く存在しています。(スティーブ・ジョブスは自分の子供にiPadなどのデジタルデバイスを使わせなかったと言います。)最近だと2021.6.1からgoogleフォトが有料化しました。もっと安心して使って欲しいなどと聞こえよく有料化しましたが、フリーで顧客を抱え込んでから有料化する算段だったのでしょう。Amazonプライムの年会費が日本では5,000円程度ですがアメリカでは1.3万円します。一度日本でも値上がりしましたが、今後解約率が上昇しない限りで最終的にアメリカに近い年会費まで上がると思います。
我々の生活にも密着した存在であるGAFAも、企業である以上稼がなければならないということを頭に入れておくべきでしょう。

人生100年時代へ

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2007年生まれの人の平均寿命が103歳になると予想されています。欧米でも問題化する高齢化においては、ますます健康寿命の長寿化、現役高齢者の増加が望まれています。60歳はもう引退でしょうか?僕たちは高齢者へのステレオタイプを改めなければならないでしょう。80歳から執筆し27冊の著書を出版した方がいらっしゃるそうです。サラリーマン的な働き方ではなく、好きなことや得意なことで仕事を続けながら健康的に生きる高齢者が多いほど、世界の未来は明るくなります。
70歳の大工の知り合いと話すと、毎回木に関する圧倒的な知識に学びがあります。家を作る仕事がなくても木工雑貨の製作を生き生きとしていらっしゃいます。考え方次第で今までの人生経験を価値にできることはいくらでもあると思います。

まとめ

 AI ,GADA,高齢化という大きな3つの潮流に触れました。全ての事象には正と負の両面があります。例えばメディアでは新規感染者数ばかりが取り上げられます。負の情報は視聴率が高いからです。回復者数についてはほとんど報じられません。視聴率が高いのは視聴者が求めているからであってそれが全てだ、というのは間違いです。メディアは世論を形成し、世論は個々人の心にじんわり染み込みます。鬱憤とした空気を醸成するのも、晴らすのにもメディアが果たす役割が大きいことを、もっと自覚するべきでしょう。
 教授陣6名はパンデミックの打撃を痛感しながらも、家族との時間を改めて大切にしたり、自分のキャリアを見直すいい機会と捉えていますし、負の側面を意識しながらもポジティブに生きていくきっかけを見つけられるといいですね。

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