#026:自分の「声」で書く技術
兵庫県神戸市を拠点に活動しております「まじわるデザイン」代表の戸田裕之です。
「ムダをなくしたいだけ」です。
今回は、おもしろい本を読んだのでその紹介です。
ピーター・エルボウさん、「自分の「声」で書く技術」
私は、文章を書くときは、書くことをしっかり固めてから書くのではなく、思いついたことを書き散らしていればそのうちなんとかなるという書き方をします。
このやり方は特殊で効率悪いのだろうと考えていましたが、それでかまわないということをこの本に教えてもらいました。とてもうれしい。
書くことが苦手という方は多いですが、そういう方にお勧めです。
なお、この本は1973年初版で、英語圏では定評ある作文の教科書になっているそうです。和訳が発行されたのは2024年ですから、50年遅れ。英語と日本語の違いはないはずなのに・・・
なお、小さな本ではありますが、著者の思いがこもっていて読むのはけっこう大変です。
わかりやすい監訳者まえがきと解説がついているので、そこをじっくり読んでから本文を読むと良いです。
また、本文も、大切なことが繰り返し言い方を変えて登場しますので、まずはざっと目を通して、気になったところをじっくり読むという読み方でいかがでしょう。なお、そういう読み方に便利なように、見開きの右側の上の余白(この本は横書きです)に、大切なひとことが書いてあります。こういうおしゃれなやり方は初めて見ました。
著者は、文書を書くために下記の方法を提唱しています。常に全部やる必要はなく、普通に文書を書くならライティングのプロセスだけ意識すれば良いです。
(フリーライティングによる練習)
(ライティングのプロセス)
・グローイング
・クッキング
(ティーチャーレス・ライティング・クラスによる能力向上)
それぞれの内容のさわりを、引用で紹介します。
(フリーライティング)
・「いちばん効果的なライティング上達法は、フリーライティングを定期的に行うことだ。週に最低3回はおこなおう。(中略)10分間ひたすら書く。決して手を止めないようにしよう。あわてなくていいが、どんどん先へ進もう。」
(ライティングのプロセス)
・「ライティングを個別のバラバラな作業としてではなく、全体で捉えそう。1本の作品内のすべての部分が相互に依存する関係にある。すべての部分を書き終えるまでは、どの部分も完成しない。自分が書くものが4つのセクションで構成されると考えている場合、(中略)4つのパートを全部手早く軽く下書きしよう。それから各パートに手を加え、そのセクションが行きたがる方向に任せて発展させよう。そうやってすべてのパートを改善し続けよう。」
・「グローイングとは、言葉に各段階を通過させ、進化させること。この段階で私が最も重要だと考えるのは、大量に書くことだ。」
・「クッキングとは、素材に相互作用させること。私にとっていちばん大事な相互作用は、書き出すことと要約すること(言葉を軸に取り組む作業と、意味を軸に取り組む作業)の相互作用だ。なかなか書けないなら、この2つのプロセスの相互作用を増やしてみよう。書いてばかり、あるいはじっと考えてばかりは避けよう。(中略)少なくとも10分間は書くことに打ち込み、それから完全に手を止めて、書いたものが何を意味するのか、あるいは何を意味しようとしているのかを考えるのだ。」
(ティーチャーレス・ライティング・クラス)
・「それはあなたを暗闇と沈黙から連れ出す試みである。1クラスは7-12人。週に最低1度は集まる。全員が他の人の作品を読む。全員が書き手一人ひとりに、その人の言葉を自分がどう体験したかを伝える。目的は、書き手が自分の言葉を7人以上の人を通して見て体験できる状態に、できるだけ近づけること。ただそれだけだ。」
なお、ティーチャーレス・ライティング・クラスの理論や進め方は、「書く」ということにとどまらず、私の専門分野であるチームづくりにも参考になりました。
注記
英治出版の読者モニタープログラムにより無料で書籍を受け取りました。このサイトにレビューを書くよう求められてはおらず、上記はあくまでも個人としての見解です。
写真は、香川県東かがわ市にある白鳥神社(しろとりじんじゃ)さまです。日本武尊さまがお亡くなりになったあと白鳥になって当地に舞い降りたとの言い伝えがあります。境内のすぐ裏がきれいな海岸でいかにもという様子でした。
===誰一人取り残さない===
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