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#051:お手軽ワークサンプリングのやり方

兵庫県神戸市を拠点に活動しております「まじわるデザイン」代表の戸田裕之です。
「ムダをなくしたいだけ」です。

作業研究の効用を以前お伝えしました。

今回は、作業研究のうちのワークサンプリングの具体的なやり方をお伝えします。
ワークサンプリングは、改善のネタを探すために有効であることに加えて、改善前の状況を残しておくことができるのでお勧めです。

まず、どんな仕事でも、大きく考えれば同じような流れで進みます。このパターンを意識することが基本です。

仕事のパターン

その前提のもとで、設備と人を見てみると、それぞれ下図のような状態から構成されています。

設備と人の状態

➀主体作業:一連の仕事のうちの本質的な部分となる作業。「儲けている」=お金を直接的に生んでいる時間。
②付随作業:設備への品物の取付と取外しなど、規則的に繰り返しで発生する作業。
③付帯作業:品物の種類が変わるときの段取替など、不規則に発生する作業。
④余裕:本来であればなくすことができる状態。人であれば、例えば、物を探している時間。設備であれば、人が操作してくれるのを待っている時間。

一連の作業や職場を評価するための指標としては、以下のようなものがあります。
稼働率=余裕以外の時間の比率=(①+②+③)/(①+②+③+④)
主体作業率=主体作業の比率=①/(①+②+③+④)
主体作業率のことを稼働率と呼んだり、切削率(機械加工)、アークタイム率(溶接)と呼んだりします。

ワークサンプリングは、観察者が対象の職場を同じルートで複数回巡回して、その職場の設備と人が上記のどの状態にあるかを記録することで、稼働率や主体作業率を算出しようとするものです。
対象の職場の状態を定量化することが目的で、時間と手間をかけずに実現できることがメリットです。
また、同じ場所を繰り返し見ていると、「こんなことが問題だ」ということが見えてきます。

[実施手順]
➀対象の職場を見て、観測の対象を決める。
②フォームを準備する。(下図ご参照)
③実際に巡回してみて、ルートとそれぞれの対象を観察する位置を決める。
④必要であればフォームを修正する。
⑤1回目の巡回を行う。③で決めた観察位置に到達したときに、観察対象の状態を見て、そのマスに「/」を入れる。4回になったら、「////」のようになるので、5回になったら横線を入れる。
⑥必要な回数巡回して繰り返し。
⑦完了したら数を数えて稼働率等を算出する。

ワークサンプリングのフォーム例

[コツ]
・対象職場の特性、検証したいことを意識してフォームを決める。例えば、「この職場は現場での打合せが多いことが問題」ということであれば、付帯作業の中に「打合せ」の項目を入れておく。
・巡回回数は最低20回。多ければ多いほど精度は上がる。
・見てぱっとどれかの項目に分類する。考えてしまうと先に進まなくなるので、割り切って決める。
・いろいろ気づくことはあるので、フォームにメモをしたり、写真を取ったりして残しておく。

「こんなにお手軽でいいの?」と感じていただけましたか。職場の状態を数字にしてみると、いろいろ気づくことがありますので、お試しください。

写真は、香川県の西部でたまに見かけるうどんタクシーです。おそるべしうどん県。
===誰一人取り残さない===

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