紫陽花の葉の涙。
あの人が言っていた。
「また、あなたに会いたい」と……。
梅雨の時季、あなたと初めて出会った、あの紫陽花がひっそりと咲いている庭。
もう、その紫陽花はないけれど。
今でもあの紫色の紫陽花を思い出すことが出来る。
離れていても、ずっと忘れない。
私が初めて大人の階段を登った、19歳のあの日。
朝露で光っている、紫陽花の葉が印象的だった。
共に朝日を眺めて、笑い合った日。
濡れたシーツの跡……深く交わしたキス。
身体に残る赤い痣……。
全てが愛おしかった。
あなたと別れてから、いろんな方と出会いました。
でも、誰と付き合っても……あなたが一番良かった。
どうしても、あなたを思い出してしまう。
風の噂で、あなたは親の勧めの人と結婚したと聞きました。
私は、あなたを諦めることが出来ません。
もうあなたの居ない庭に来ては、思い出に涙を流す日々……。
いつまでも、好きでいさせて下さい。
ひっそりと咲いていた、紫陽花の花のように。
私の思いもひっそりと、心の片隅に……。
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