展望: 2024 J2 第31節 清水 vs 山口
さて、本日再び大一番、ホームの山口戦です。アウェイでは0-2で完敗している上位相手の対決、厳しい試合になると思いますが、必ず勝たなければいけない試合になります。山口戦の展望に入る前に、少しだけ長崎戦を振り返りたいと思います。
前節ホーム長崎戦は手痛い引き分け
前節のホーム長崎戦は、前半に先制を許し、後半頭に追いついたものの、逆転できず引き分けという結果になりました。その後のSNSの書き込みを観る限りは、強豪長崎相手に、先制された後に追いついての引き分けは良し、という声、そしてJ1昇格に向けて、長崎と勝ち点差を詰められなかったので狙い通り、とする意見が多かったように思います。
恐らく少数派だと思いますが、私は、負けなかった安堵感よりも、勝てなかった悔しさの方が遥かに上回っています。
まずチームとしての目標は、(自分の理解は)J2優勝であること。J2優勝を目指すのであれば、競うべき相手は首位の横浜FCであり、その横浜FCに勝ち点差2をつけられて、試合数は1試合少ないながらも、勝ち点差4に広げられてしまったことは、J2優勝目標に対してはネガティブな結果です。
J2優勝とJ1昇格というWスタンダードを掲げてしまっては、今後チームとしての判断に迷いが生じると思います。チームでは既に話し合っていることかもしれませんが、私はどちらかクリアにすべきだと思います。
秋葉監督は、後半86分の北川→蓮川、北爪→吉田の交代について、守備を固めるための交代ではないと強調していますが、ゴール期待値のデータを見る限り、北川を下げて、「FWなし」の状態で戦ったATも含めた残り10分に関しては、ほぼチャンスを作ることはできていません。
横浜FCや長崎は、これまでATの劇的なゴールで負け試合を引き分け、引き分け試合を勝ちにもっていった試合が何度もあることを考えれば、タンキを投入してパワープレーに出るなど、最後まで攻め続けて欲しかった。
とはいえ、異なる意見も理解・尊重していますし、これでチームや秋葉監督をサポートする気持ちが変わるわけでもありません。試合後の選手のインタビューを聞く限りは同じ想いを感じたので、この勝ち点1がJ2優勝に繋がったと後で言えるように、この後の試合を勝ち続けるしかないと思います。
山口とのこれまでの対戦成績
さて気持ちを切り替えて山口戦の展望を書きます。前回対戦は、私も初めて山口の維新みらいふスタジアムにて現地参戦をしましたが、0-2という悔しい敗戦になりました。悔しすぎて山口県の記憶はほとんどないんですよね、、、。
この試合、レノファ山口はチーム戦術が完璧でした。左サイドで河野・新保を中心に数的優位を作り、前半何度もチャンスを作って2点を先制。その後もコンパクトなサッカーで、清水の攻撃を封じ、そのまま完封。私はこれまでそこまで知らなかったのですが、今季FC大阪から43歳という若さでレノファ山口に就任した志垣監督は相当な戦術家だなと思いました。
こちらがアウェイ山口戦の観戦記になります。この試合における山口の戦い方、清水の課題などまとめていますので是非ご覧ください。
この試合が山口にとっては清水に対する初勝利。通算成績は清水の3勝1分1敗となっていますが、新生山口に対してこの成績は参考にならないでしょう。
山口のこれまでの戦績は?
これまで山口は14勝5分11敗で、勝ち点47の6位。プレーオフ圏内につけています。
昨季20位でギリギリ降格を逃れた山口からすると大躍進です。この9ヵ月で志垣監督がチームを強くしていますね。当初の目標は一桁順位でしたが、現状を考えてPO圏内そしてJ1昇格に目標を上方修正しているでしょう。だとすると山口も、7位の千葉・8位のいわきとは勝ち点差1ということもあり、PO圏内死守のために、清水アウェイでも勝つこと、最低でも引き分けて勝ち点を持ち帰ることを命題にしていると思います。
さてその山口ですが、中断明け以降も連勝して、藤枝には敗れたものの長崎には勝利して良い流れだったのですが、前々節の岡山、前節の徳島とは、ホームで連敗しています。両試合とも守備の要であるヘナン選手が欠場。また岡山戦は吉岡選手、徳島戦は新保選手が欠場していますのでその影響もあるのかもしれません。
山口の直近6試合のスタメンです。
勝利をしている大分、栃木、長崎戦はほぼ同じメンバーですので、やはりけが人などがなければ、栃木戦のメンバーがベストなのだと思います。
後程予想スタメンでも触れますが、新保選手は怪我で欠場という話もあります。彼が出るか出ないかで山口の右サイドの脅威は大きく変わりますのでここは注目になりますね。
次にスタッツを見ていきましょう。
攻守にバランスの良い成績になっています。特にリーグ3位の攻撃回数、リーグ2位の被シュート数・被チャンス構築率は素晴らしいですね。攻撃の主導権を握りつつ、攻撃される回数は多いもののブロックを組むなどしてチャンスを作らせていないことがわかります。
その他のスタッツにおいても、直接FKが1位、クロスが6位など特徴が出ています。セットプレー・クロスの攻撃は山口の得点の半分以上を占めていますので注意が必要ですね。
逆にボール保持率は48.6%と、攻撃回数が多いにも関わらず50%を下回っています。ボールの保持にはこだわらずに速い攻撃を志向していることがわかりますね。
山口のシステム・戦術は?
前節は表記上は3-5-2でしたが、基本システムは前回対戦時と同様の可変システムでの4-4-2です。
より具体的には攻撃時は左SBが上がり、3-4-3のようなポジションを取ります。ビルドアップは足元の技術の高いヘナンを中心に3枚で行いますが、相手が前線のプレスに来る場合は、敵陣のCKめがけて長いボールを出して、陣地回復を徹底しています。前線のエース河野は自由を与えられており、最前線にもバイタルにもポジションを取り、どちらかのサイドで数的優位を作って、SBを裏に走らせて、最前線の背の高い2トップに合わせていくような、シンプルでコンパクトなサッカーですね。
守備時は同サイド圧縮にて前線からのプレスをするケースもありますが、嵌らないと判断した瞬間には、4-4-2で綺麗な3ラインのブロックを組みます。ボール保持にはこだわらないので無理に奪いにはこずに、最後のところでしっかりと押さえるような守備ですね。
山口の予想スタメン・注目選手は?
ヘナン選手や新保選手の怪我・コンディションの状態はわかりませんが、欠場情報にある新保選手が出場できないとすると以下のようなメンバーになるでしょうか。
注目選手は3名。
まずは絶対的若きエースの河野選手。アウェイ対戦時に2失点目の起点となったターンは敵ながら素晴らしかったですね。視野が広く、センスの良いタイプで、チャンスメイクとフィニッシュの両方ができる選手です。現在8得点でチームトップです。21歳で将来も楽しみな選手です。
続いてが、7月に名古屋から期限付き移籍で獲得した酒井宣福選手。
名字と顔で勘の良い人は分かったと思いますが、あの酒井高徳選手の弟です。勝負の長崎戦で移籍後初ゴールを既に取っていますので注意が必要です。
最後に上げたいのは前回対戦時素晴らしいパフォーマンスで山口勝利の立役者になった16番吉岡選手。
本人は長崎出身でV・ファーレン長崎のサポーターだったらしいので、清水戦は燃えているはず!?左利きのサイドアタック、豊富な運動量は脅威です。
清水の予想スタメン・サブは?
さて清水ですが、長崎戦からのホーム連戦ということで、コンディション面では有利でしょう。長崎戦の翌日に行われた松本山雅とのTMでは原選手が復帰。また郡司選手が2得点と好調をアピールしました。一方で、前節ベンチ入りしなかったアジズ選手はTMには出場なし。今節もベンチ入りは難しいのではないかと思います。西原源樹選手はU-19日本代表に選出されました。合宿開始は9/17となりますので、西原にとってはこの試合が代表活動での離脱前の最後の出場機会になりますね。
前回対戦時はカルリが不在。またボランチが中村・白崎のコンビでしたが、前線や中盤での守備の強度が足りない部分がありました。またクロスとラインの裏へのパスを多用してきますので、その点を考慮してみたいと思います。
清水の予想スタメン及びサブはこうです。
サブ: 沖、高橋、北爪、矢島、西原、郡司、タンキ
ポイント①: 蓮川・住吉の最終ライン
山口はクロスを多用するチームなので、それを跳ね返すために住吉選手。また、裏へのパスを狙ってくるためにカバー能力の高い蓮川選手を先発で使いたいです。高橋選手は、先制して3バックで試合を締めに行く際のオプションてベンチに置いておきたいです。
ポイント②: 宮本・宇野のボランチコンビ
中村と迷いましたが、守備の強度の高い宇野をセレクト。特に相手のエース河野選手を完全に潰して欲しい。2003年生まれの同期ということもあり、絶対にやってくれると思います。また相方には宮本選手。前回の対戦時はボールを保持しながらも相手の守備ラインの裏に走る動きが不足していたので、ここを宮本選手に期待したい。
ポイント③: サブメンバーの選出
非常に迷いましたが、勝ちに行かなければいけない試合ということで、攻撃のカードを多く配置しました。まずは代表戦を控える西原選手。この試合で暴れて欲しい。そしてTMで2ゴールを決めた郡司選手。サイドでも2トップでもプレーできるし、裏に抜けるのが得意なので、天性のゴールハンターとして嗅覚に期待。またタンキ選手。前節では出場できませんでしたがTMではしっかりと結果を残したタンキ選手。アジズ選手が復帰した場合にはベンチ外となる可能性も高いため、この試合で機会を与え、またそれを活かして欲しい。中村や吉田もベンチに置きたいですが、ボランチは矢島ができるのでカバー。また吉田と北爪も迷いましたが、攻撃のカードとしても切れる北爪をチョイス。二人には連戦となる徳島戦でのスタメン起用に向けて休養を取って欲しいです。
ちなみに相方のスタメン・サブ予想はこちら。ゴリをサブに抜擢です。どちらが当たるか楽しみですね。
清水はどう戦うか?
秋葉監督の試合前のコメントにある通り、コンパクトな山口に対して、清水も選手の距離感をしっかり保ってコンパクトにすること。また今回はホームでの地の利を生かして前線からのプレスをしっかりかけること。そうすればおのずとチャンスは作れると思っています。
毎回同じことを繰り返していますが、とにかく先制点。山口も序盤から激しくくると思いますので、ここでそれを上回る勢いを見せられるか。北川・乾のゴールを久しぶりに見たいですし、カルリ・ブラガのブラジルコンビにも決めて欲しい。
国立前の3連戦の初戦。また国立含めるとこの試合の後は、なんと10/20のホーム山形まで1ヵ月以上、4試合、アイスタで試合ができないことになる。だからこそ、この試合だけは絶対に勝たなければいけない。全員の声をひとつに合わせて、選手を後押しして必ず勝ちましょう!!