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富士ヒルクライム2024

富士ヒルクライムに参加してきました。
速さを求める走りをするようになってから富士ヒルに出場するのは2019年以降3回目。(秋の富士ヒルクライムを含めると4回目)
去年は外腸骨動脈内線維化症により思うように走る事ができず、エントリーはしたものの出走しなかったので2年ぶりの富士ヒル。
(外腸骨動脈内線維化症についてはこちら↓)

幸運なことに、BIORACERのDREAM TEAMに選出していただき、夢に向けて切磋琢磨する仲間たちに囲まれながら富士ヒルまでの道のりを歩むことができました。
DREAM TEAMについてはこちら↓

元通りに走れるだけでなく、症状が深刻化する前からずっと超えられていなかった過去の自分のタイムを超えたいという目標を胸に、手術をした去年の9月から、ずっと駆け抜けてきました。

富士ヒルまでの道のり

7時間の動脈パッチ形成手術を経て、ベッドから起き上がってまともに歩くこともままならなかったのが9ヶ月前。
そこからウォーキングでリハビリし、自転車再開できたのが8ヶ月前。

自転車再開してから富士ヒルまでの日々は、がむしゃらに強度高く走りこんでも大して強くならずに身体を壊してしまったので、今年は身体の使い方をより意識してみたり、レスト日を意識したり、身体の声を聞くように心がけました。
これは、学生時代武道をやっていた私にとって一番困難でした。
「稽古は嘘をつかない」
「継続は力なり」
が合言葉で、気合と根性ですべてを解決してきたからです。

失ってしまった筋肉を取り戻すべくジムと自宅で筋トレをし、低強度、中強度、高強度をなるべくバランスよく織り交ぜながら、復帰後は1ヶ月に60時間以上は自転車に乗ることを意識していました。
自転車に乗れず運動量が極端に減って増えてしまった体重を戻すために、とりあえずカロリー計算アプリで1日のカロリー収支を少しだけマイナスにするぬるいダイエットも開始。
食べる事は私にとって最大のモチベーションなので、手持ちカロリーの範囲内で好きな物を食べるスタイルは継続していました…。

この間は特に努力をしたという感覚はなく、寧ろ手術前よりも自転車を自由に苦痛なく走れる事が幸せで仕方ありませんでした。
初心者の頃によく感じていた、走れば走るだけ強くなっていく過程をまた一から楽しむことができたボーナスタイムだったと思います。

そして4月にJCFのチャレンジサイクルロードレースに参加し、10位で完走。実業団レースでは初めての完走経験なのでとても嬉しかったです。
更に先月のハルヒルでは、3年ぶりに自己ベストを1分ちょっと更新することができました。
ちなみに去年、手術前の全く脚が思うように動かないながら登ったハルヒルの試走よりも30分も速いタイムです。

しかし肝心の障害ですが、9ヶ月経った今でも完璧に元通りに治ったとは言い難く、無酸素もがき強度だったり、長い登坂や連日の疲労が溜まった状態だと、脚の虚脱感を覚えてパフォーマンスが極端に落ちたり、安静時でもモヤモヤした状態になるのは相変わらず。
しかし手術前に比べれば苦痛は雲泥の差で、更には頻繁にプロにケアをお願いしたりする事である程度対処はできているので、そこまで絶望はしてません!

目標

当初、富士ヒルの目標は、過去の自分のベストタイム82分11秒を超える事。ただ、2年前の富士ヒルは80分切りを超えることを目標にしていたので、真の目標としては80分を切りたいと思っていました。

幸運にも80分切りを目標としている人たちのトレインに声をかけていただいていたので、7人の同志と走れることになりました。

いざ本番

スタート前に色々あったものの、無事に第4ウェーブで皆とスタートを切れました。
今回、pwr3.5倍固定で2分毎に先頭を交代していく作戦。皆さん走り慣れてらっしゃる方ばかりなので、初めてご一緒に走ったものの、とてもスムーズなローテーション…!
先頭交代が終わるとななもさんが「ナイスペーシング!」と声をかけてくれるのがとてもよかったです。
皆で頻繁に声を掛け合って、一体感があって楽しかった。

しかし、最初の1合目下で既に1分ほどタイムテーブルから遅れていることに気づき、少しペースアップ。
2合目までは7人全員で走れていたと思うが、3合目付近ではトレインが3人に。ローテーションということは、自分も牽かなければならないので、これが結構後半になるにつれてキツくなってきました。
いつも富士ヒル本番では、適当に良いペースで走っている方の後ろに付かせてもらって、乗り換えを繰り返す…という軟弱な戦法をしている私にとっては、試練でした。

段々と臀筋や大腿直筋が疲れ始め、ローテーションが辛くなってくる。でも頑張らないと後ろの2人に迷惑がかかる…となんとかかんとか指定ワット数を出せる様踏ん張りました。
4合目の大沢駐車場に差し掛かったあたりで、ここから先はそれぞれのペースで行こうということになり、余力のあるsiさんとさやこさんとはお別れ。

1人になってからは、いつものペースの合うおじ様の後ろにくっつく戦法をしたかったけれど、そもそも人がもうあまりいなくて結局単独走に。
ただ、1人になった事によりプレッシャーや色んな事を考える必要がなくなったからか、ペダリングとフォームだけに集中することができ、そこから垂れる事もなく黙々とフォーム作り職人に徹することができたので良かったと思います。

奥庭の駐車場の登りに差し掛かったあたりでは、その先の平地を一緒に走ってくれそうなガタイの良い強そうなナイスガイをキョロキョロ探すも、私よりウエストの細そうな方々ばかり。
今年も最後の平坦区間は1人か…と諦めていたところ、後ろからゴリゴリの逞しい上半身の白馬の王子様が突如私の前に現れました。ちょっと踏んで、即座に乗せていただく。
王子様のお陰でビュンビュン平地も走る事が出来ました。ローテできるかな?と思うも、流石に前には出られる強度ではなく…
最後のトンネル前で「ツキイチすみませんでした!」と謝罪とお礼を言って王子様の大きい背中を見送り、あとは自力でゴールまで。

いつ走ってもゴールまでの直登は辛い。頂上が見えてるのに、ちっとも近づいてこない。
涎も鼻水も垂れ流しっぱなしでしんどかったけど、今までの辛かったこと、嬉しかったこと、全ての思いを弱虫ペダルさながらに回想し、フィニッシュ。

結果は81分14秒

2年前の自己ベストから約1分更新してのゴール。しかし真の目標にしていた80分切りは叶いませんでした。

一緒にトレインで走った仲間!まどかさん、さやこさんにはタイミング合わなくて一緒に写真撮れず・・・

ここからがスタート地点

ゴールした後、涙が出てきました。80分切りができなかった事の悔し涙ではなく、嬉し涙。またここまで走れるようになったんだなーと、ようやく実感ができたからだと思います。

去年の今頃はもう二度と自転車で何かに挑戦する事は叶わないと思っていたし、そのうち自転車に乗ることもできなくなると思っていて、自転車が人生だった私は絶望の淵にいました。
富士ヒルというワードを見るのも聞くのも嫌でストラバもXも、SNSの類は全部ミュートにしていました。

もう一度目標に向かって挑戦する権利を貰えたことが何よりも嬉しかったです。

更に、症状が重くなる3年前から、トレーニングを頑張っても思うように伸びず、後から自転車を始めた仲間にもどんどん脚力差をつけられ、「努力は平気で裏切る」を座右の銘にしたいくらい全てを投げ出したくなることも何度もありました。

でも継続していれば、何年後か何十年後かはわからないけど、きっといつか報われるという事が身をもって知れました。ここまでやってきて良かった。

多分ここからがスタート地点。
80分切りは、なぜか私にはとてつもなく厚い壁だけど、ようやく手に届きそうな気がするので、腐らず頑張ってみようと思います。

そしてDREAM TEAMという貴重な機会を下さり、サポートして下さったBIORACER様、本当にありがとうございます。DREAM TEAMの存在があったからこそ、本気で富士ヒルに挑めました。
DREAM TEAMの応募期間が、まだリハビリの途中でまともに走れるようになるか不明瞭な時期だったので、最後まで応募しようか悩んでいたけれど、応募して本当に良かった。

環境や目指すところは違えど、目標に向かって真剣に努力している仲間たちの刺激を沢山もらえました。
来年もDREAM TEAMで走りたいくらい良い経験をさせていただいたけど、色んな人にこの経験をしてもらいたいから、来年は応募しないと思います!wでも本当はまた機会があったら走りたい…そんな素敵な経験をさせてもらいました。

前日のサイクルEXPO。お祭り漢やお祭り女が多くて楽しかった!

富士ヒルは終わったけど、今年は去年できなかった事全て巻き返すように、ロングライドやレースを色々詰め込んでしまったので、しっかり右脚のケアは続けつつ、脚力向上を目指していこうと思います!

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