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不妊治療中のアラフォーが転職して得たもの、失ったもの #妊娠の記録

不妊治療中に転職を考える人はどれくらいいるのだろうか。不妊治療の通院はもちろん、出産、育児、キャリアプランなど、ありとあらゆる「もしこうだったら」を洗い出して、考え抜いて、身の振り方を決めなければならない。途方もない作業だ。

転職するつもりじゃなかった

2年前、私もその中の1人だった。今後のキャリアを見据えた時に、この会社では成長できないと感じたのが始まりだった。

その会社は半年前に入ったばかりだったけれど、仕事内容や職場環境、人間関係など、「こんなはずじゃなかった」と思うことばかり。

いつか子どもが生まれた時に、生き生きと働くママでありたかった。当時すでにアラフォー。本当はこの会社でもっと長く働くつもりだったけれど、のんびりしていられない。転職するなら早い方がいい。そう思っていた。

事前のシミュレーションで「詰んだ」

不妊治療中の転職がリスクでしかないことは分かっていた。理由は「不確定要素が多すぎるから」の一言に尽きる。次の会社から内定が出ていても、妊娠が分かったら辞退せざるを得ないだろうし、無事に転職できた場合も入社後1年は育休が取れない会社が多い。産休後すぐに復帰できれば問題ないけれど、母子の健康に何かあればそうもいかない。

かといって、子育てが落ち着くまで転職を待つ時間が、私にはなかった。今すぐに妊娠・出産したとしても、育休明けには確実に40歳を過ぎている。そこから転職して2人目の妊活を始めるのは、とても現実的ではなかった。

どうシナリオを描いてもデッドエンド。正直「詰んだ」と思った。

転機は思わぬところから

悶々とした日々だけが過ぎていく中、転職に舵を切ることになったのは、偶然の出来事がきっかけだった。別の治療のため、不妊治療を3か月ほど休むことになったのだ。

転職が許される理由ができたと思った。今なら確実に妊娠しない3か月間が保証されている。その間に新天地を決めてすぐに入社すれば、時間的なロスは最小限に抑えられる。ともに熱心に不妊治療に取り組んでいた夫には、納得できない部分もあったと思う。それでも、「この3か月で決まらなかったら今の会社に残る」との約束で、妻のわがままを許してくれた。

転職して得たもの、失ったもの

あれから2年。私は新たな職場に身を置き、充実した日々を過ごしている。仕事にやりがいを見出し、同僚にも恵まれた。幸運にも妊娠し、間も無く出産を迎えようとしている。

ただ、残念ながら私は再び、転職すべきかどうかの決断を迫られている。契約社員として入社した後、予定されていた正社員登用が当面見送りとなったからだ。本社(アメリカ)の採用方針の変更によるもので上司も手の打ちようがない。このまま正規雇用されなければ、2年前に描いていた「育休が明け、40歳を過ぎてから転職し、2人目の妊活を始める」が現実となる。

やりたかった仕事は得られたけれど、正社員という立場と安定は失った。今回の転職が正解だったかどうかは分からない。けれど、私は後悔していない。

目の前に見えているリスクをどう捉えるかだと思う。少しでも不安があれば安パイにいけばいいし、厳しい状況にあえて飛び込んでもいい。少なくとも私は、こうなるリスクを承知の上で、それでもキャリアにプラスになると信じて入社したつもりだ。

「あの時、思い切って賭けに出て良かった」。今、私はそう思っているし、これからもそう思えるように、自分が信じた道を進んでいきたい。

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