諸行無常を破壊するもの。

この世は諸行無常しょぎょうむじょうである。

「諸行無常」…この世の現実存在（森羅万象）はすべて、すがたも本質も常に流動変化するものであり、一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことをいう。

「諸行無常」wikipediaより

仏教の教えのひとつで、意味としては「この世にあるものはすべて変化してゆく」、逆に言えば「変わらないものはない」とも言えるだろう。
それは環境や人、すべてに言えることで、僕たちもそれぞれの経験や知識から振り返ってみても納得のいく哲学だと思う。
僕たちや環境は、ずっと変化し続けているのだ。

「僕の気持ちはずっと変わらないよ」と女性を口説く方もいると思うが、ブッダから言わせれば笑止千万。超自然の法則においてそれは絶対にありえないのだ。寝言は寝て言おう。

まあそんな世の中のことわりにおいて、僕も人生を楽しむ指南のひとつとしてこの「諸行無常」を理念にして生きているのだが、最近、これが破られつつある。

こいつがいつまで経ってもやめられないのだ。

アンパンマンのペロペロチョコである。

人間の味覚は体の成長にともない、その時々で必要な栄養素が変わっていくので味覚も自然と変化していくものなのだが、これだけはずっと変わらず僕の舌を楽しませてくれる。

なんなのだろう。この耐えがたい魅力は。
保育園児の頃からいい年した現在まで、コンビニで目にとまればほぼ100%購入してしまう、いわば悪魔のデザートだ。

噛んだ時の食感もよし、ひたすらペロペロ溶かし続けるもよし。
それは大人になった今でもその魅力は衰えない。僕もよくコーヒーのお供として買っているのだが、これがまたさらには葉巻との相性も抜群。
チョコとミルクの掛け合いが甘すぎない絶妙なハーモニーを奏かなで、コーヒーと葉巻の味をさらに引き立ててくれるのだ。

子供の頃から何十年もずっと変わらずに、ずっとそこに居続けているものがこの世に存在しているなんて。

そんなことに思いを馳せていると、この世にはひょっとしたら「変わらないもの」があるのかもしれない、ということに気付かされる。
なんということだろう。僕の崇拝する原始仏教の根本的な考え方がくつがえされるとは。

ということで、「僕の気持ちはずっと変わらないよ」という口説き文句もあながち間違いでもないので、もし口説きたい女性がいるならバンバン使ってみよう。

アンパンマンのペロペロチョコが、それを証明したのだ。