ホン雑記 Vol.626「神様が設定した最大保持可能額を超えたら破裂するようになればいいと思う」
たとえばドルの価値を表すのドルインデックスがあるように、お金全部に対してのインデックスはないんだろうか? という話をこないだここで書いた。
ドルがドルインデックスなんだから、通貨全体は「通貨インデックス」とか言うのかなと思ったけど、通貨インデックスはそれぞれの通貨のインデックスの総称を指すらしい。もういっこ上の階層の用語が欲しかったんだけど。
「貨幣価値」もこれとまったく同じで、言葉はあるんだけど、お金全体の(換金できるもの以外との相対的な)価値という意味ではなく、それぞれの貨幣の価値の総称だ。もういっこ上の階層の用語が欲しかったんだけど。
こないだも書いたけど、とりあえずそれを「見える化資産インデックス」と勝手に名づけといた。換金できるもの以外の例はここの最後のほうに羅列しといてみた。
いまのご時世、この見える化資産インデックス(以下Visualization Asset Index, VAI)が高い。高すぎる。
あぁそうだ、インデックスがややこしかったら「それ以外との比率」とでも思っといてちょ。意味的には指標のほうが正しいけど、指標言われてもどーせピンとこんやろ。失礼だな。
で、これとはまったく関係ないたとえ話をしよう。まったく関係ない話すなよ。
養老孟司氏が前言ってたのを覚えてるんだけど、いまの人は自分の世界に人間関係しか存在しないらしい(なかでも「人にどう見られているか」に重きを置きすぎる)。だから、自分に向けられる他人の言葉や態度が辛辣だと自ら死んでしまうほどに衰弱する。これは、その事象の全体における比率でしかなく、深さではないという。
つまり、自分の世界が人間関係によってのみ構成されているなら、自分につらくあたる人が50%いれば人生の半分がつらいことになる。ところが人間関係以外に自然や動物や創作物などで自分の世界を半分埋めていれば、同じ人間環境に囲まれても25%の痛手しかないということだ。
お、やっぱあながち的外れなたとえ話でもないみたいだな。これと同じで「金銭関係」に重きを置きすぎ、置かされすぎだと言いたいのだ。
このお金の「重き」は自分の中でもある程度コントロール可能だけど、できうるなら社会全体で下げていきたいものだ。
世の中にあるそれぞれの資産インデックス同様、お金全体の価値もみんなの信心によって上がる。
そのぶん相対的に他の何かが下がったわけだけど、これがなかなか見えない。見えたとしても、見えなくなったものの大事さはなっかなか見えない。
その下落した何かとは「自分」と「その周り」と「その周りとの接触」だ。これらにいったいどれほどの価値があるのか見えなくなってしまった。素晴らしいものだとわからなくなった。その異常を、世界はイレギュラーな人間を使って教えてくる。一見狂人に見える彼らは、いつだって愛を渇望してる。
その素晴らしいものを見えなくさせる最たる霧は、「足るを知らぬ」ことだ。あるいは、本人でなければその親の「足りぬ」によって、愛に飢えた狂人を生む。足るを知らぬのは、手に入れてないものへの絶え間ない憧れのせいだ。
腕力、マイホーム、マイカー、武勇伝、見目麗しさ、SNSでの映え、大手に就職、Sラン大学合格、などなどなどなど…。これらは誰が持ってもよく、その相手は誰でもいい、とするものだ。中身には誰も興味ないのだ。そんなものに憧れて足ることなどあるわけがない。
この一見子供でもわかることがわからなくなった人が増えると、世界のお金の価値が上がる。誰が持っててもいいもの、つまり最も流動性があり、目に見える何とでも交換可能だからだ。
ただし「交換可能」には条件があって、当たり前なんだけど「相手の許可があれば」ということだ。つまり「売り手が売りたければ」であって、本来そっちのが先、というか上にあるものだろう。いまはまだまだ「買い手のほうが上」みたいになってるけど、それはみんながお金を信じすぎたため。信じたらそりゃ力持つよなぁ、お金のほうも。
ただ、お金全体の価値がどんどん下がっていっても残る要素があって、それが「相手の許可があれば」の部分。お金の価値がなくなっていけば、誰にモノを渡したいか、誰にサービスをしてあげたいかだけが残る。
テスラの時価総額がトヨタを抜いてしまったけど、これはどう考えても割り増しされた空虚な数字で、本当の価値じゃない(販売台数ではトヨタが10倍強)。みんなが「この会社価値ある(上がる)んじゃね?」と思いこんでる数字だ。
お金自体も同じで、他に比べる指標がないのが困るとこだけど、肌感的には高すぎる気がする。
指標になるものがあるとすれば、各々の人心しかないわけで、そりゃひとつにまとめようがないわね(たとえば、人ひとりの命は地球より重いという発想をオレはまったく認めなかったりするし)。
あれ、長すぎだな。終わろう。
人全体がもう少し聡明になれば、この虚しい社会に終止符を打てる。
聡明でさえあれば、誘蛾灯に捕まる虫のように、かりそめの熱にほだされることもないのだ。
人々に自尊心がないとお金の価値は上がる一方だ。
(あっ、造った略語のVAI、結局使ってない)