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ホン雑記814「自分の『好き』『楽しい』を舐めないほうがいい」

いやー、ホントにいい本に巡り会えた。
あ、『達人のサイエンス』ってヤツ。


これは想像以上に深かった。マスターになるための…あ、いや、なろうとする必要はまったくなく、むしろそれは足を引っ張り続ける発想なんだけど、マスターっぽい人はどうやらこんなことをやってますよー。みなさんとなんら変わらないですよー、ってな感じの本だ。

このアメリカ人の著者が合気道5段の腕前であること自体が、本書に異様な説得力を持たせている。
と、この文面を読んだ時に起こるであろう「あー、体験者だから聞く耳持てるってのはあるよねー」なんて発想は下の下のクソだぜ。

いや、でもマジで、そのこと(合気道5段)が「ほぇーっ!」と思わせていってくれるのさ。
そうか、だからわかったつもりだけのヤツの言葉がこんなに刺さらないのか、やっぱり彼らは何も分かってはいなかったのかと、刺さらなかったことの理由がわかるような勢いだ。なんかこれもシャビシャビな感想だな。ま、そこは読めばわかるわ。
この本ほど、電子書籍や要約動画じゃ意味がないのでは? と思わされた本はない。
そして、ひとつのことに打ち込むことが、それ以外のすべての根幹の理解をこれほどまでに飛躍させるのかということも。


話はまったく変わるが、ってかこれもその本に書いてあることなんだけど、ホメオスタシス(恒常性)の以外な捉え方をしていて驚いた。
ホメオスタシスとは、心拍数が上がる、汗をかく、といったような、ほっといても勝手に生理機能を一定にたもとうとする性質。

ひとつは、ホメオスタシスがマスターの道への阻害原因にもなっているということで、これは自慢じゃないが(自慢だが)、本書を読む前になんとなく気づいていた。「どうしてこんなにも習得という所業は困難なのか」と発狂するほど考えた結果、それはもう、そうでなければならない理由が何かあるはずだと思ったのだ。

で、もうひとつの発想がクソ超ヤバかった(阿保語彙)。
このホメオスタシスは「人間全体をひとつの生命体だと見なした時にも効いて来る」というのだ。
つまり「インターネット? ヤバくね? カード情報入力? 正気?」なんて思ったのも、「ブロックチェーン? 仮想通貨? 何それ気持ち悪い。詐欺? 宗教?」なんて思うのも、ラガード(遅滞者。イノベーター理論において最も保守的な層)や、頑迷固陋や、疑り深い人や、学ぼうとしないジジババや、なんでもかんでも反対する人や、つまりはまぁ、アホの専売特許だと思ってたんだけど、それってのがどうもそういうことらしい。
何割かの人間がおのずとラガード側にまわり、大きな革命が人類を滅ぼさないかを監査する揺り戻しの役目を担っているわけだ。分からず屋のアホとか思ってて、ごめんなさい。
『スマホ脳』を読んで、自分の意思は自分で思ってるほど自分のものではないんだなぁと思ってたとこだけど、この本もそんなことを言いはじめた。

自分から見たら、どんっっっだけアホ極まりないように見えるヤツの行動原理も、そこにはやっぱりちゃんと原理があり、それはもう電子やウィルスや白血球(あえて味方(?)っぽいほうを挙げる)のようなものなのかもしれない。

結局「そうか! そうやってマスターになるのか!」ってよりは、いい感じで諦念人間に向かわせてくれる読み物だなぁと思った。いまのまんまでぜーんぜん問題ないのだと。

そりゃぁシェイクスピアさんも、
「天と地の間にはお前の哲学などでは想像もつかぬことが起こっているのだ」
なんて言うよね~。


本にはこうも書いてあった。
「マスターにいたるあなたの道のりが幸運なものであるなら、分かることがひとつ増えた時、分からないことはふたつ増える」
唸ったねー、これは。

だから、ひとかどの人物は、当人が「何も分かってません」って感じで生きてるように映るのか。
だから、わかってるつもりの人物は、他者に「この人あまり分かってなくね?」と思わせるのか。




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【今日の新作詩リーズ】

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