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ホン雑記 Vol.169「そんなん勝手に背負ってるだけやんとか人には思うくせにオマエもなー」

ふと、普段から自分に取り憑いている考えを、人はどんなふうに思っているんだろうと思って、嫁にこんなことを聞いてみた。


「劣等感ってない?」
と。

すると、
「ないよ」
と返ってきた。

(思いついたヒドいセリフに笑いをこらえながら)
「そんなに劣ってるのに?」
「こんなに劣ってるのに」

「ふーん。じゃぁ罪悪感は?」
「はぁ? 何言ってんの? 生きてるだけでしょ?」

「まぁ、そうなんだけどねー。よー考えたらオトンが死ぬ前からもずっとあるんだよなぁ」
「親によっぽどヒドいこと言われて育ってきた感じじゃん」
「それはまっっったくない。あの両親以上に恵まれた環境なんてないわ。たぶんねー、オレひとりを生かすためにどれほどの動植物を犠牲にしてきたのか、んで、全然世界の役に立ってないやん、っていう罪悪感だと思う」
「ふーん。まぁ、あまりそこまで思ってる人はいなさそうだねぇ。」
「あ、そう?」

「じゃあさ。自分の中の細胞に対して『もっとオレのために良く働けや』って思う? それと一緒で地球はそんなこと思ってないんじゃない?」
「おぉ!? いい発想だな! なるほどなー!」

(しばらく考えて)

「あぁ、オレそっちにも罪悪感あるわ。こんな主でスマンなーって」
「うわ、大変だねー。頑張ってくださいな」

いまの嫁以上に恵まれた環境もないようだ。



こんな対話のあと、どこをどう転がったのかしらんが、
「オレの唯一の正解は、あの時おまえを選んだことだけだわ」
なんてセリフが口から出ていた。

嫁はガッツポーズをして、
「いぇーい」
と言っていた。


この天与の劣等感と罪悪感が何に化けるのか楽しみになってきた。




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