ホン雑記830「名作迷作は勇者次第」
以前映画館で観た『ドラゴンクエスト ユアストーリー』をDVD借りて来てまた観た。
あ、そうだ。肝心なことを言い忘れるとこだった。
ここから下は『ドラゴンクエスト ユアストーリー』のネタバレを盛大に含みますのでヨロシコ。
いやね、映画観た人は知ってると思うんだけど、ひっでー評価だったじゃないっすか。
オレは劇場で8回ほど泣いて、映画ランキング過去1位になりそうだったんで意味わかんなかったんだけどさ。
そん時オレは、叩いてるヤツらを「あぁ、きっとクソみてーな顔した、クソみてーな心根のクソオタクなんだなー」って思った。いまはそん時ほどは思ってないけど、やっぱちょっと思ってる。
たぶん、アレ叩く人はね、人のフリ見て自分のフリ見てない人なんだと思うわ。自分を生きてない人。これ間違いねーと思うわ。
オレも嫁も、嫁はドラクエやってないけど、高評価だからね。間違いねーよ。
ウワサで聞くところによると、総監督にドラクエ愛がない、あまりドラクエをやって来なかった人、ってのもデカいらしいな。な、クッソ気持ちワリーだろ。
そもそもだよ、他人があの作品をどれだけ好きだから認めてやろうみたいな世の中の雰囲気がクソほどイヤなんだよ。そんなもん測れるもんじゃねーだろと。いや、その前に、おまえに関係ねーだろと。
世の中にはな、おまえ(ドラクエやってきて今作を叩く側)とドラクエしかないんだよ。他のヤツなんかどーだっていいんだ。
いちいち我が子をどれだけ愛してます、とか示したがる親なんかいないように、おまえがドラクエを好きかどうかしか、おまえの世界にはないんだよ。それ以外のことなんかどーだっていいだろう。
「あの監督はわかってない。だから嫌い」っていう、課題の分離ができないお子ちゃまなんだな。意味がわからんわ。なんかのファンになるって感情が理解できないんで、オレが異常なのかもしれんけどな。
そもそも、『劇場版 ドラゴンクエスト5』ってタイトルではない。ちゃんと『YOUR STOЯY』って書いてある。
昨日知ったけど「Я」はロシア語なんかで使われるキリル文字で、英語にすると「I」にあたるらしい。Lの小文字じゃない。iの大文字のほうだ。ややこしいよなこれ、いつも思うけど。
キャッチコピーは「君たちはどう生きるか」……あぁ、間違えた「君を、生きろ」であり、物語(STORY)の中に私(Я)が入ってる。もう文句の付けようもねーよこれは。昨日知ったとこだけど。
反対派の気持ちがわからんではない。もちろんないさ。「ハイスクール奇面組」の最後のズッコケ感、『東京大学物語』でさんざんヌイてきたオレの虚無感ったらなかった。
その虚しさをユアスト(勝手に略)では感じたんだけど、もう一段階壮大な考え方に広げると、その虚しさは解決するんだよ。
想いを、馳せろ。馳せるんだ。
あ、もう一段階って先言うてしもた。そう、この現実世界の上があるってことだ。二段階メタだ。
スピリチュアルかもしれんけど、オレは実際そう思ってるとこある。
リュカが最後にビアンカにはたかれて(蹴られて? 小さくて見えん)、「痛ってー」と喜ぶのはわかるわな。
はい、そういうことなんです。今回のドラクエ(ユアスト)があれほどプレイヤーにはリアルに感じられるように、実はこの世界(あぁ、「この」世界だ)もなってるんだよ。
祭りの若い衆が、祭りが終わったあとに自分の小指が千切れていたことに気づいたって話がある。
熱狂だな。意識が他のことに強烈に行ってると、痛みってのは気づかないもんらしい。つまり「痛いことが起こっている」と強烈に認識してはじめて、実際に痛みが起こる。
逆に幻肢痛なんてのもある。切断前にはあった部位の痛みが、無くなってからも襲ってくるというものだ。
これは証明のしようもないけど、乳歯が抜けるのと、殴られて永久歯が抜ける(殴られる痛みは別)時の痛みは同じぐらいなんじゃないかと思うんだよ。
同じ出来事でも前者はそれが真っ当な成長の証であり、後者の痛みはもう二度とその部位に歯は生えないという恐怖によるものじゃないかと。祭りの指の例からしてもその可能性は高いと思うんだよな。
で、二段階メタに気づくと、まったくムカつく必要もないと気づく。
ドラクエシリーズプレイヤーは、「所詮プログラム」とミルドラース改が言うプログラムで実際に楽しんできたわけで、プログラムという言いかたに自分で「軽いもの」というイメージを与えてるだけじゃないのか。
それは絵本であれば文字やインクだし、映画であれば映像・音声、それよりもっと昔なら語り部による声、であって、頭の中の異世界に旅立つという共通項はメディアを問うものではなく、古今東西で大人子供を楽しませてきた。「誰かになれる」ワクワクはいつの時代にもあった。
それとも何かい? コンピュータRPGはニセモノで、テーブルトークだけが本物の冒険だった、とでも言うのかーっ!
ユアストの世界のプログラマーの「大人になれ」ってセリフにムカついた人もいるみたいだけど、「うるせー」か「お前に言われんでもわかっとるわ」の両パターンがあるみたいだな。結局どっちにしろムカつくらしい。
でもな、そこでそんだけムキになるってこと自体が、おまえらのドラクエ愛を証明してるんじゃねーのか。自分の中のドラクエ歴史を汚すなってことだろう。
茶化してくるヤツがいてはじめて、自分の中の情熱を知る。自分よりも親をバカにされた時のほうがブチ切れるのに似てるな。似てねーか。
オレぁ、リュカの中の人がカセットの端子部にフ~ッした時に一番泣いたけどなぁ。反対派からしたらやっすいお涙なんだろうかねぇ~。
映画の最後に「continue your adventure」って出るけど、オレはこれによってむしろメタ感がなくなって、ドラクエっていう作品が自分の人生の間に余計にガチャコンってされて、後押ししてくれる感じあったなぁ。
上位(二段階目の)のメタ意識を認識することで、下位(ユアストやドラクエシリーズ)のほうがニセモノって感覚がなくなるっていうかさ。
まぁでも気持ちはわかるわ。『東京大学物語』の…
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【今日の過去詩リーズ】