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詩篇 -Psalm- 5

以下は、2020/3/9の受診後~2020/3/16 amまでに書いた詩です。

作品番号5-1
Untitled (“Veni”) Opus No.36(無題 作品No.36)

さっき嵐が過ぎ去ったはずなのに
また、次の嵐が、真っ黒い雲を従えて
わたしのそばにやってくる。
死神のマントのような雲の黒さと、
死神の鎌のように鋭い稲妻と。
きっと、わたしを狩りに来たのか?
わたしの背後で、その大きな鎌を振り下ろし、
わたしのこころを切り裂いて、
わたしは死の世界へと誘おうとするのか?
…どうすればよい?
考えても答えは暗闇の中。
厚い汚れたヘドロのような
醜い憎しみや恨みや妬みの渦巻く
重く暗く、深いこころ奥底で
喘いで、溺れて、引きずられて、
それでも、もぐって探した
先にあるはずのもの。
死神がわたしを捕まえる前に、
見いださねばならないもの。
まさに、死神がわたしを支配せんとする時、
わたしは、こころの深奥に潜り、
死神から逃れる。
たとえ闇が続くとも、
どこかに、希望があるのであれば…。
(2020/3/9)

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作品番号5-2
Untitled (“Veni”) Opus No.37(無題 作品No.37)


たとえ、自分が経験してきたものが
じじつであるとしても、
他人にとって、自分の事実は
フィクションになる。
だから、同じ時間を、同じ経験を、
一緒に積み重ねていこう。
そうやってふたりにとっての
リアルな経験となるよう、
この一瞬一瞬を生きていくことを
共有し合おう。
そして、互いが幸せになるように
生きていくことを一緒に考えよう。
(2020/3/9)

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作品番号5-3
Untitled (“Veni”) Opus No.38(無題 作品No.38)


自分のことは、
自分がいちばん知ってるはずなのに
今は自分が何だか、
よく分からない。
いろんなものに変わっていく、
その時々で、違う自分。
泣いたと思ったら、
笑っていたり、
何もしたくないと思ったら、
何かし出すと夢中になってる。
やっぱり不思議な生き物だ
自分ってやつは。
観察し甲斐のある、
こどもみたいな、好奇心の塊だ。
(2020/3/9)

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作品番号5-4
Untitled (“Veni”) Opus No.39(無題 作品No.39)


ストレートな物言いが、
時に他人を無邪気に傷つけ
それに気づかぬわたしの脳は、
いい気になって、
別な他人を傷つける。
そうやって自分の方から
ひとがだんだん遠ざかる。
今のわたしがひとりなのは、
きっと自業自得なんだよな…。 
(2020/3/9)

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作品番号5-4
Untitled (“Veni”) Opus No.40(無題 作品No.40)

人生が、RPGみたいなら、
いくらでも魔法を使って
目の前のモンスターみたいな
腹黒い奴らを倒して、
ついには、真っ黒なラスボスも倒して、
こころ清らかに生きていけるのにな…。
でも、今までと違う自分に
気づいたわたしには、
まだまだ、経験値が足りない。
だって、この新しい旅は
まだ始まったばかり。
これから、どんなことが
待っているんだろうって
思いながら、進んで行けるような
気がするからね。
(2020/3/10)

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作品番号5-5
Untitled (“Veni”) Opus No.41(無題 作品No.41)


わたしは、いつも自分と
禅問答をしてるみたい。
だって、考えてることと
やってることが違うんだもの。
でもね、そういう自分を
ちゃんと認めて、
うまく取り込めるようになっちゃえば、
きっと、自分自身を
嫌いになんてならないよ。
ちぐはぐなわたしも、
パニクってるわたしも、
すぐ熱くなって、手が出ちゃうわたしも、
すぐ飽きたり、忘れっぽいわたしも、
すぐ感情移入しすぎて
辛くなっちゃうわたしも、
そして、たまに冷静なわたしも…。
全部引っくるめて、
今の自分自身なんだから。
(2020/3/10)

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作品番号5-5 
Untitled (“Veni”) Opus No.42(無題 作品No.42)


ひとりで生きていけるなら
どんなにきもちが楽だろう。
そうは言っても、
生きるためには食わねばならぬ。
食ってくためには、金が要る。
金のためには、
対価となるべき、仕事が要る。
仕事のためには、
会社という名の組織の中に、
他人という名のしがらみに、
たとえ、腹の中身が違っていても、
おんなじように、見せねばならぬ。
みんな仮面を被って生きる。
そんな事を知る度に、
そんな仕組みを知る度に、
自分に嫌気がさしてくる。
生きていくのが嫌になる。
そんな仕組みを変えられるほど、
自分に力がないことを
骨の髄まで知らされる。
悲しいほどに、無力なことを。
(2020/3/11)

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作品番号5-6 
Untitled (“Veni”) Opus No.43(無題 作品No.43)

生き物が生きてるってことは、
熱力学的にいうとね、
エントロピーを減少させる
活動なんだって、
偉い学者さんが言ってたよ。
でもさ、いまのわたしは、
生命体としての活動はしててもさ、
こころのなかは、
しなくても良い考えがいっぱいで、
そのせいで、エントロピーはふえるばかりだよ。
なんでかな?ってちょっと立ち止まってみたらさ、
わたし。他人のことばかり考えてた。
たとえば、自分がどうしたいのか?の前に、
いつも、この人は、わたしにどうしてほしいの?
とかいうように。
だけど、そんなの、考えたってしょうがない。
だってもとより、わたしには、そんな技量も能力も
持ち合わせてなんて、いないのだから。
(2020/3/12)

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作品番号5-7
Untitled (“Veni”) Opus No.44(無題 作品No.44)

からだの中で、腫瘍がむくむく育つように
わたしのこころにも、むくむく悪意が育ってく。
いつか、それに征服されたとき、
わたしは、自分自身を
本能のままにうごかし、無邪気な悪魔のように
振る舞うのだろう。
そうして、自分自身もろとも、
全てを消し去ろうとするのだろう。
もし、わたしが、ここで、
あなたに出会うことがなかったならば。
(2020/3/12)

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作品番号5-8
Untitled (“Veni”) Opus No.45(無題 作品No.45)

わたしのほんとうのきもちは、
こころのおくのほうまで
ふかく、ねをはっていて、
だれかが、それをしりたいとおもっても、
なかなか、でてきてくれないの。
じぶんが、じしんをしりたいとおもって、
こころのなかのねっこを
あちこち、ほってはみるけれど、
やっぱり、でてきてくれないの。
そんなことをしているうちに、
うっかりこころをほりすぎて、
ぽっかりあながあいてしまうのかしら?
そうしたら、また、
こころのきずは、
いまよりずっとふかくなって、
わたしはひとり、そのおくそこで、
どうしていいのか、わからぬままで、
ひざをかかえて、なくばかり…。
(2020/3/14)

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作品番号5-9
Untitled (“Veni”) Opus No.46(無題 作品No.46)

いつか、季節が移り行き、
長く厳しい冬が過ぎても、
わたしのこころに積もった雪は
深くてなかなかとけません。
いつか、こころに積もった雪が
全て、すっかりとける頃、
わたしと他人(ひと)との誤解とか、
いっぱい抱えた話の端で
モヤモヤしてる、わだかまりとか、
そういうことも、全て含めて、
なかったことにできるでしょうか?
そんな望みは、叶うのでしょうか?
そして、きっと、そうなるように、
あなたの言葉を信じ続けて、
生きていってもいいのでしょうか?
(2020/3/15)

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作品番号5-10
Untitled (“Veni”) Opus No.47(無題 作品No.47)

わたしのこころの琴線は
とってもとっても、細いから、
ちょっとした振動だって、
すぐに拾って気分を揺らす。
わたしのこころの琴線は、
線の間が狭いから、
拾いたくない音さえも、
勝手に拾って増幅させる。
他人の気持ちを奏でるように
わたしの中に投影させる。
そういうふうに生きるのが、
他人と違うと気づかされ、
それを抱えて生きるのが、
避けられないと気づかされ、
それを自分と認めねば、
道はないと気づかされ…。
ただただノイズと戦いながら、
ひとり、深く息を吐く。
静寂の中に沈み込み、
自分の意識に問いかける。
―お前は、これからどうしたい?
今は即答できないけれど、
いつかは、問いに答えたい。
わたしのこころの琴線が、
よろこびのうたを奏でるように
胸のすくような素直な言葉で。
(2020/3/15)

作品番号5-11
Untitled (“Veni”) Opus No.48(無題 作品No.48)

この世のなかに、わたしが
信ずるに値する他人(ひと)は
どれだけいるのだろうか?
数えてみたら、片手で足りた。
でも、それって、72億分の5っていう
恐ろしく奇跡的な確率なんだな。
そう思ったら、今の出会いを大切に
しなくちゃいけないんだなって、
しみじみ、思っちゃうんだ…。
そして、
あなたに会えて良かった、ありがとうって、
こころの底から感謝したいって思うんだ。
(2020/3/16 13:13 病院の待合室にて記する)

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編集後記

この記事を編集しながら、一年前の自分を振り返り、「以前は一週間で、こんなに詩を書いてたんだな」と、改めて詩歌を書く事が自身の気持ちのはけ口になっていたんだと気づかされました。

現在は昨年のように、大量に言葉が溢れてとまらないという事がなくなってしまいました。それは、昨年10月末にうつ病で仕事を辞め、就職活動が出来ず、心的不安にくわえて経済的不安が付きまとい始めたからです。

でも、その不安をどう言葉にしていいのか、悶々とした状態が続き、結局殆どかけないまま時間が過ぎて行きました。明日をも知らぬ状態で、口を付いて出る言葉は、「つらい」「しんどい」「きえたい」など、負のエネルギーを持ったものばかり…。希望を見出そうと言う気持ちにもなれず、ただ頭を抱えてため息をつくのが日課のようなものになってしまいました。

そんなわけで、以前のように、泉のように言葉がわきだして止まらないということはなくなりました。しかし、まだ、言葉にはいろいろな力があると信じています。例えば死神の誘惑に負けそうなときや、うつの深い闇に沈んでしまいそうなときに、言葉というカタチのない武器が、その人の心を奮い立たせるものとして、力を発揮できると思っています。だから、詩や歌を書いたり詠んだりする事は、自分自身を鼓舞する事でもあります。

この作品の中に、あなた自身を鼓舞する言葉が1つでもあれば幸いです。

2021/4/19  DeoxyriboCo




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