歯牙腫(歯原性腫瘍)

良性上皮間葉混合性歯原性腫瘍
 歯牙腫
  歯牙腫,集合型
  歯牙腫,複雑型

歯牙腫の臨床的組織学的な特徴

良性の歯の奇形(過誤腫)である。若年者(20歳まで)に見られる。歯牙様構造を含む骨透過像を示し、多数の小型の歯牙様組織からなるもの(集合型歯牙腫)あるいは不規則歯牙組織からなるもの(複雑性歯牙腫)がある。
集合型歯牙腫は、10歳代に見られ、男女差は無い。前歯部に好発する。また、上顎に好発
小型の歯のような組織の集合体を示す。
複雑型歯牙腫は、10歳代に見られ、性差は無い。
臼歯部に好発する。また、下顎に好発
これは、不規則な歯牙組織よりなる。


未熟型歯牙腫において、この成熟過程は、エナメル上皮繊維腫が、硬組織(象牙質/エナメル質)を形成し、これが歯牙腫となる。
これより、
腫瘍として成るエナメル上皮線維腫
過誤腫として成る歯牙腫は、もともとは似た状態だったものが、歯牙腫は硬組織(エナメル上皮線維腫+象牙質/歯牙腫様)を形成し良性の歯の奇形に発育してしまったものと考えられる。よって共通項が多い。

(1)歯牙腫,集合型
多数の小さな歯を思わせる構造物の集合からなる病変で,10歳未満〜10歳代の上下顎前部に好発する。画像所見において埋伏歯の歯冠部や根間部に境界明瞭な不透過物の集合としてみられる。病変は被膜に包まれており,その中に多くの矮小な歯牙様硬組織が含まれている
病理組織学的に,種々の大きさや形状の歯の集合からなり,個々の歯は線維性結合組織よって隔てられている.また,それぞれの歯は種々の発育段階を星することが多い.
(2)歯牙腫,複雑型
不規則に配列するエナメル質,象牙質ならびにセメント質によって硬組織塊が形成される病変で、その主体をなすのは象牙質である.集合型よりやや年長の者に生じる。下顎臼歯部と上顎前歯部に好発し,乳歯の残存永久歯の埋伏や欠如を伴うこともある.
画像所見では境界明瞭な不透過像を呈する.
病理組織学的に,不規則な網状または梁状構造を呈する象牙質に接
してエナメル質やセメント質が種々の程度に形成されている。

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