見出し画像

たった1度のライブで絵を描くことを再開した話

こんにちは、電卓ちゃんです。

中高ずっと趣味程度で絵を描いていたのですが、承認欲求が強くなりすぎて攻撃的になっていることを自覚し一旦SNSを離れると同時にしばらく絵を描かない生活を送っていました。

そんなある日、内向的で人見知りなのに行動力のバケモンである私が交友関係を広げた時に、音楽関係で活動している人と知り合ったことがきっかけでした。来週の日曜にライブがあるんですけど良かったら、ということで行動力のバケモンであった私はライブへと向かったのです。

inライブハウス

当日案の定方向音痴を発揮し、ありがたいことに迎えに来てもらって無事ライブハウスに到着。
検温をして名前を書いて、チラシをもらって主催者に挨拶。それから椅子に座りました。

最初は最近活動を始めたお兄さんの歌。
声量が凄くてロングトーンで高音も綺麗でうっとりする。

それからシンガーソングライターのお姉さんの歌。
透き通っていて声量があって床が振動しているように感じる。

知り合いさんはお姉さんの横でドラムを叩いていた。
アコースティックギターのお姉さんだけの時とはまた雰囲気がガラッと変わる。

ライブなんて生まれてこの方一回も行ったことがない私にとっては新鮮なものでした。床から振動を感じると言ったらいいか、空気が振動していると言ったらいいか……。音は振動なので振動していることは間違いなく事実なのですが、体を震わせるほどのビリビリ感。それだけ声量があって響く声で、圧倒的な声という「震え」。

ああ、これが感動ってやつか。

チラシの裏に

しばらく椅子に座ったまま呆然としていました。衝撃的で電撃的で、長袖の下は鳥肌。
ですが口下手なので言葉で伝えるには限界があります。いい表現方法がない。分からない。

机には入口でもらったチラシ。

そうだ、描こう。もう2年近く描いてないから画力は落ちてるかもしれないけど……。

見てもらわなくてもいい、感情の整理がしたい。

ですがシャープペンシルもボールペンもありません。
知り合いさんにそっと「何か書くものありますか?」と聞きました。鉛筆ならあるよ、とのこと。
ご厚意に甘えて鉛筆をお借りすることに。

何描こう、歌ってたお姉さんにするか。足を組んでた。ギターを鳴らしながら歌ってた。

思い出しながら少しずつ鉛筆を滑らせました。本当に久しぶりに描いたため手つきはふらふらです。
ライブ後接客をしているお姉さんが横を通るたびに服をちらっと見てスリーブ、飾り、模様……などなど少しだけ細部の情報を貰いつつ絵を描いていきました。

なんだか懐かしいな~と思いながら絵を描いていると、「あ、熱中してるな」と感じるように。
絵を描くことの楽しさを取り戻したんだな、と。

知り合いさんが覗き込んできました。うわ、うまいね。
純粋に嬉しかったです。見てもらうために描くというよりはただ感情の整理が目的だったので褒められるとは思っていませんでした。たとえそれがお世辞でも、お世辞じゃなくても。

ね、うまいよね。と周りに言われると恥ずかしくなって集中してるフリをしてしまいました。

私そんな上手くないから。世の中たくさん上手い人がいるから。初心者に毛が一本生えただけだから。承認欲求が強くて攻撃的になったダメなニンゲンだから。嬉しいを超えて罪悪感みたいなものが湧きます。絵を描いててごめんなさい。

「わあ!お上手ですねえ」

びっくりして顔をあげたらお姉さん。
やっべ本人に見られたやべ!
ライブを聴いて思わず……としどろもどろに言うと、

「……え?え!?えっあっこれ私!?ですか!?」
ご本人様に気づかれていなかったのに私の言い訳でバレるという始末。ああ~どうか引かないでくれ~!!!

「すごい嬉しいです!!!」

ドン引きトーンがくると思って身構えていたのですが、反応は正反対でした。
感情の整理のための絵は、人に喜びを与えられるものに、なった……?

ライブ後ライブハウスでカラオケをしているお兄さんやその関係者さんの絵も違うチラシに描いたり。そうしてライブハウス閉店まで過ごしました。

帰り際

あの、これ頂いてもいいですか?

私はもうびっくりもびっくり、驚きすぎてさらにしどろもどろに。
え、あ、はい、どうぞ、あの、全然……。

嬉しそう(に私の目には映る)に見えて、嬉しいとかもうそんな簡単な言葉じゃ表せなくなりました。いやもう嬉しいとかじゃない。感謝の気持ちが近い。あの複雑でユラユラ揺れる感情。

お姉さんは手を振ってお見送りしてくださいました。

更にその時ご厚意で関係者の方に駅まで送って頂きました。本当にありがとうございます。

私だけ線路が違うので駅でお別れ。

一人反対側のホームでずっと考えていました。

お姉さんもお兄さんも知り合いさんも凄かったな……。
絵を久しぶりに描いたな……。
喜んでもらえた……。
絵を描いて喜んでもらうってこんなに胸が熱くなるものなんだ……。
絵、また描こうかな……。

見て見てという承認欲求で描いていた時代よりずっとずっと気持ちが暖かくて、自由で、ずっと心を縛っていた鎖が解かれた気分です。

ライブに行ったら震えるほど感動して、衝動で絵を描いたら喜んでもらえて、絵を描いて喜んでもらえることのへの感動もした。たった数時間なのにものすごい熱量。電車に乗りながらも頭はクラクラしていました。

あのライブは音楽による震えるほどの感動だけでなく、私の心も洗い流してくれた。
ライブに誘ってくれてありがとう。音楽の感動をありがとう。絵を描く楽しさを思い出させてくれてありがとう。





余談ですが次のライブもまた行く予定です。それからちょっとしたプレゼントを渡すつもりです。
この記事、読む人が読んだら分かるなこれ。さすがにバレんでくれ。めっちゃ恥ずかしいので分かっても……あの、ハイ……。

私に2Lペットボトルの水を買わせて毎朝温めて飲ませてください。シェアしてもらえると……嬉しいです……