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裁判官の正体は

本当の気持ちを書きたいと思って、1週間ほどかけて、ゆっくりとジリジリと書いた前記事に、反響があった。泣いた、と言ってくれた人、サポートをして価値をつけてくれた人、Twitterで紹介してくれた人、スキをくれた人…ありがとうございます。抱きしめられたように感じました。

皆さんの言葉などを受けて、1時間ほど、号泣し、その後もメソメソし続けた。多分、本当の気持ちを書くのが怖かったのと、それを受け止めてくれる人がいるという安心感の涙。後で冷静になったら、あの記事のどこに皆が反応してくれて、どう思ったのかが、さっぱりわからない。

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次の日、先生のカウンセリングで50分、この記事を書いたことと、書いた内容ををお話しした。そこで、目からウロコが落ちるような気づきがいくつかあった。

とにかく、母は私のことを愚痴のゴミ箱、本音をぶつけてもいい存在、思う存分支配してもいい人、だと思っていたのだな、と、整理されてきたのは、本当に最近のこと。誰も的確に助けてくれることができず、一人の作業だったから、とても時間がかかった。

おかしいのは私だとずっと思ってきた。それはもう、決定的に。母に自分を差し出してしまった。

先生は「お母さんなんだから、それはもう、仕方がないよ」というようなことをおっしゃった。誰でも母親から、愛が欲しいもんね。そうだよね。

母からどうしてこんな目にあうのか、理解するために、あれこれ考える癖がついた。いろんな可能性といろんな事情、相手の気持ちと言葉や行動の齟齬。口に出す言葉と本心は違う、とかね。言葉の裏の裏の裏の裏を考える。状況と相手の気持ちをぐるぐる考える。文脈、妥当と思われる文脈を探してしまう。それは、よく青年さんから「まっすぐ言葉を受け取らない。考えすぎてトンチンカンだ」と言われる原因だ。こんなことを言ってくれる人が今まで居なかったので、本当にありがたい。

母は絶妙なやり方で私の心を挫く。例えば

修学旅行に出かける朝、いってきますと玄関を出ようとした時に「あなた、制服のベルトはどうしたの?していきなさい」という。ずっとベルト無しで学校に行っていて、一度もそんなことを言わなかったのに、時間ギリギリにそんなことを言う。例えば

出かける用意をしていて、お化粧もして、さあ行こうという時に「なにその格好、おかしいわよ」「口紅が赤すぎる」とか。出かけるのが嫌になる。例えば

太ったことを気にしているときは、食事を減らすなんてもってのほか、食べろ食べろ、とうるさく言い、それなのに「あなた、太ったわね」という。食べない選択肢を奪っていたのに「夜、ご飯を食べないとすぐに痩せる」と言い放つ。

前期の大学受験の合格発表に行かなかった。落ちているのがわかっていたし、当時は、合格者の名前が新聞に載ったから、寝ていた。案の定私の名前を見つけられなかった母が布団に潜っている私に「そんなふうに寝ていて勉強しないから落ちるのよ」と金切り声を上げた。

その2日後には、後期の大学に受かっていることがわかり、母は有頂天になった。他人事のように、よかったね、と思った。大学なんて興味なかったし、ただの母の気にいるブランドで選んだ大学だ。くだらない。

とか、とか。

手の込んだ嫌がらせだと思っていたことは、先生に言わせると、「あなたのお母さんには、そんな能力はないよ。そんな高度なことはできない。ただ、あなたを否定して、お母さんが偉いというのを見せたかったんだよ。人の気持ちのわからない人で、ただその時、その瞬間に気がついたこと、思ったことを言っていただけ」

力が抜けた。

母の呪いは、私の中で高度な裁判官になった。あれこれ考えすぎたから。自分で作り上げた裁判官に、私は苦しんでいる。

裁判官のことを先生に話した。そうしたら、先生は「裁判官はね、敵じゃないよ。『こんなことで挫けてはいけない』ってずっと励まして、あなたを支えてきたんだよ」とおっしゃった。

ストンと落ちて、号泣してしまった。敵だと思ってどうにかしようと思っていたのに、本当は、私を支える者だった。味方だった。

「ただし、今は手厳しすぎるし、良くないね。何か言ってきたら、『おっしゃる通りです』ってありがたく拝聴して放っておきなさいよ」と先生はいう。

その時、裁判官に抱きしめられた温もりを、ほんのり思い出した。ような気がした。

ブログにみんなが泣いてくれたこと、どうしてかわからない、と言うと「尋ねてごらんなさい」と先生が教えてくれた。自分で考えても分かり得ないことは尋ねる。そんなシンプルなことがすぐには思いつかない。「当たり前だよ。そういう選択肢がなかったんだから。尋ねたら、馬鹿にされたり、けなされたりしてきたんだから」その通り。先生は見てきたかのように、言葉をくれる。

グレることができたらよかったのに
ODやリスカで自分を救えたらよかったのに

「それも、あなたにはできなかったよ。できっこないよ」

そっか。
そうなんだな。

青年さんと青年さんが集めてくれた素敵な人たち。本来の私でいられる居場所。
みつけた。ありがとう。いろいろと教えてね。感謝しています。

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