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『お部長と平田』 海辺野ジョー インタビュー

電書バト利用作家インタビュー企画の【第2弾】をお届けします。

今回は人気作『お部長と平田』の著者 海辺野ジョーさんからお話を伺いました。電書バトへご依頼に至った経緯や、実際に利用されてみてのご感想などをお話しいただきました。

現在、電書バトでは『お部長と平田』の他、『花bee』や『この恋、配信中』の3タイトルをお取り次ぎしています。

『お部長と平田』は2017年5月からお取り次ぎを開始し、現在2024年時点で10巻までが発売され、7年という長期にわたり連載されている作品です。
特定の雑誌やWeb媒体での掲載はなく、作家が独自に各電子書籍書店で続編を発表するスタイルの連載でした。
本作は「ノンケなのにオネエ口調な上司とおっとり娘のオフィス・ラブコメディ」として人気を博し、各書店で軒なみ高評価を獲得されています。

また、並行して連載中の『この恋、配信中』は、「迷惑系動画配信者の彼と企業戦士な彼女の恋愛リアリティショー」というタイムリーな内容で、こちらも最新2巻まで絶賛「配信中」です。

海辺野ジョーさんは漫画家となる以前はグラフィックデザイナーとしてキャリアを築かれていたとのこと。
なぜまた漫画家になろうと思ったのか?
そして、実際に漫画家になってみてどうだったのか?
その辺りのことについて、お金の話も含め赤裸々にお話しいただきました。

それではどうぞ!

『お部長と平田』より

ー「電書バト」へご依頼いただいた経緯をお聞かせください。

もともと、私はグラフィックデザイナーでした。
フリーランスから法人成りし、大手広告代理店の下請けとして重宝されていました。しかし、グラフィックデザインやレタッチワークは、どんなに評価を受けようとも、それらはクライアントのもので、決して自分の著作物にはなりません。

私はずっと「これは私の作品。これをどうしようと私の自由だー!」と言える著作物が欲しかったのです。

30代中盤になって、ふいに「マンガを描こう、描くしかない」とスイッチが入り、後に『お部長と平田』として取次をお願いする作品を描き始めました。ヘタクソなのは自覚していたので、とにかく描いては Amazon の Kindle direct publishing(以下、「KDP」)等で発表していました。
※「KDP」:Amazonのセルフ出版サービス

そんな中、電書バトが生まれたことを知ります。私は恐る恐る『お部長と平田』を電書バトの審査に出しました。ダメでもともと、失うものはありませんでした。

結果はなんと「取次できます」でした。飛び上がるほど嬉しかったです。

『お部長と平田』より

ー「電書バト」をご利用いただいたご感想をお聞かせください。

『お部長と平田』を取り次いでいただいた時に、「こちら、続きをお描きになりますか?」「2巻以降も出されるのであれば…」というお言葉をいただきました。

電書バトの担当者の方は事務的に確認しただけだったと思いますが、私に「続きを描いていこう」と決意させるには十分な刺激でした。それほど、自分が面白いと思って描いているマンガを肯定されたことがなかったのです。

そして、読み切り一冊で終わるはずだった『お部長と平田』は10巻まで続くことになりました。あの一言に、今も感謝しています。

『お部長と平田』より

ーご利用前後でロイヤリティ収入などに変化はありましたか?

【電書バト利用前】

『お部長と平田』等をAmazonのKDPで販売していました。5年間で800冊ほど購入していただきました。新刊が出たら定価で買ってくださる読者は50人くらいで、収入は年間2万円ほどでした。

【電書バト利用後】

最初の振込額が2万円ちょっとありました。
KDPで発表しているだけなら年間で2万円でしたから、「複数のストアで配信できるとこんなに違うんだ」と驚きました。

最初の年は、売上げが1万円未満で振込が見送られる月もありましたが、巻数を重ねるごとに収入は上がっていき「読まれている」という手応えを感じることができました。
※電書バトの最低振込額は「1万円」から

2年目以降、2巻、3巻と出すようになってからは、多い時は50万円以上、少ない時は5万円ほど入ってくるようになりました。取次をお願いし始めて7年が経ちます。先ほど計算したところ、印税収入の累計額は1,000万円を超えていました。

さらに、10巻が出た時に確認したところ、新刊が出たら定価で買ってくださる読者の数は1,500人ほどでした。ちょっとした講堂の席が埋まる人数です。雑誌に連載した経験のない無名の作家のマンガですよ?

すごいです。読者が増えたことがなにより嬉しいです。

『お部長と平田』より

ー「電書バト」をご検討中の作家さんに一言お願いいたします。

キャンペーンの時には、自分の作品が高名な作品、新進気鋭な作品、根強い人気を誇る作品と一緒に並びます。ブランドカラーで統一されることがないので、フィルターバブルから脱却したい読書家、カテゴリーを超えて読もうとする読書家に作品が認知されやすくなります。
※「キャンペーン」:各書店や電書バトが主催するセール企画

現に、私の作品は女性向けですが、男性からも好意的なレビューを受け取っています。どこのカラーにも染まれなくて行き場のない作品ほど、それを愛する読者と出会えるのではないでしょうか。

『この恋、配信中』より

ー 最後に、他ございましたら何なりとお聞かせください。

昨年、生まれて初めてコミティアに一般参加しました。印刷所はもとより、取次サービスも企業参加していて驚きました。大学のサークルどころか、高校の部活サークルまで参加していたので、「電書バトもコミティアやコミケに参加して、若い人達に向けてアピールすればいいのに…」と、思っていました。

取次業務に追われていることは存じておりますが、そのようなご予定はおありですか?

『この恋、配信中』より

ここまで、電書バト利用者インタビュー企画の【第2弾】としまして、『お部長と平田』の海辺野ジョーさんからお話を伺いました。
お忙しいところご回答いただき誠にありがとうございました。

最後にご質問いただいた『コミケ』や『コミティア』への参加については、『コミティア』への今年中の参加を予定し、現在準備を進めているところです。
作家さんと直接お話しができる絶好の機会ですので、会場でお会いできることを楽しみにしております。

今回も【第1弾】に続き、電書バトがお預かりする作品の背景には作家さんそれぞれの人生があり、作品に賭ける真摯な想いがあることを改めて強く感じました。
電書バトとしても初心に立ち返り、作品をお預けいただいた責務を胸に、今後とも『作家さんファースト』を追求し続けてまいります。

これからも電書バトをよろしくお願いいたします。
それでは、次回【第3弾】もどうぞお楽しみに。

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