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メタバースって儲かるの?新規参入と既存プラットフォーム活用について考えてみた話

 「メタバースって儲かるの?」

 私は「多分、儲かると思いますよ」と答えます。

 それは、メタバースが儲かるかを問うということは、それは新しいインフラ/プラットフォームが生まれた時の収益性を問うのと同じだからです。

 歴史を振り返ると、技術革新で新しい人類のインフラが生まれ、それらをベースにした新たなプラットフォームが生まれ、経済的なブームは繰り返し起こってきました。

 ドットコムバブル(懐かしい!)を例に挙げるまでもなく、スマートフォンの爆発的な普及により、ソーシャルゲームやスマートフォンアプリのバブルが起こりました。そしてメタバースもこの流れの中にあると思っています。

 つまり、「メタバースって儲かるの?」というのは、「インターネットって儲かるの?」、「スマートフォンって儲かるの?」、「AIって儲かるの?」ということと同意義だと私は思います。

 新しい技術が登場すると、それに関連した様々なインフラやプラットフォームが生まれ、その上で新たな経済圏が生まれていく。それは未来の予想や願望ではなく、自然な成り行きです。

 それでは具体的にどのような方法でメタバースで収益化を目指していくか、どのようなビジネスが考えられるか。複数回にわたって見ていきたいと思います。


メタバースプラットフォームの現状と課題

 それでは、そんな新しいインフラであり、新しいプラットフォームであるメタバースで儲けようとした場合、具体的にどのような手段が考えられるのでしょうか。

 まずは、メタバース自体を提供する「プラットフォーム」としてのビジネスがありますよね。私が触れている範囲だけでも、「VRChat」、「cluster」、「Resonite」、「バーチャルキャスト」といったVRでも楽しめるソーシャルVRもありますし、「Second life」のような仮想世界もありますし、海外だと「Fortnite」や「Roblox」もそうですし、「Spatial」もあります。具体例を挙げるとキリがありません。

 私も視察に行きましたが、メタバース総合展にも多くの企業が出展しており、プラットフォーム自体を作ろうという会社は本当に多いです。それに、実際にプラットフォームを押さえることができれば、その影響力は絶大だからです。

 プラットフォームの強さは説明不要でしょう。スマートフォンで言えばストアを抑えているAppleとGoogle、eコマースで言えばAmazonがどれだけ強いことか。

 ただ、現時点でメタバースプラットフォームが非常に儲かっているかというと、恐らくそうではないと思います。

 例えば、「VRChat」を提供するVRChat.inc社は2024年6月に30%の人員のレイオフを発表しました。また、「cluster」を提供するクラスター株式会社の2023年12月期の決算では、最終損失が18億6700万円に達しています。同様に、「バーチャルキャスト」の運営会社も2022年3月期の決算で2億6400万円の最終損失を計上しています。

※ 2024/07/15 19:29更新
クラスター株式会社の採用ページに「2020年に単年で黒字とマネタイズができており、直近のYoYでも急激な伸長をしています。」と記載がありました。

 「Resonite」や「Roblox」などの他のプラットフォームの具体的な収益状況はわかりませんが、現時点で業界全体として「めちゃくちゃ儲かってます!」という情報は見当たりません。

 しかし、これはメタバース市場がまだ成熟していないだけだと思います。新しい技術やサービスが普及し、収益化のモデルが確立されるまでには時間がかかることも多いのは当然です。したがって、現時点で儲かっていないから、メタバースプラットフォームが今後もビジネス的に厳しいというわけではありません。

 今後、ユーザー数の増加や新たなビジネスモデルの登場により、状況が好転する可能性も十分にあります。

ユーザー獲得と体験の重要性

 新たなビジネスモデルの話は一旦置いておき、ユーザー数を増加させるための方法を考えていきます。

 メタバースのユーザー数を増加させるために必要なことは何でしょうか。いくつかの視点で考えられると思います。私が考える最も大きな要素は体験です。

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