「教養主義者よ、まあ聴け」


フン!教養教養だってうるせえなあ文学者どもは!
やれボッティッチェリだ、ダンテだ、シャガールだ、ドストエフスキーだ、カポーティだ、なんだかんだとやかましい

俺なら引用するならワンピースとか、チェンソーマンとか、化物語とかヒカキンTVを引用するね

なぁにがボッティッチェリだ。笑わせるのも大概にしやがれ

ある下世話な雑誌を読んでいたんだが、その中にはニーチェやドストエフスキーなんかより、よっぽど立派な格言があったね。

記者がテレクラで女と会うんだ。その女ってのがババアでよ、セックスして、金渡すんだな。けど風俗じゃないからサービス精神なんてもんがない。そのババアが言ったんだとよ

「あんた本読んでるの」
記者は戸惑っていうんだ
「ええ、まあ読みますけど」
「本なんて何が面白いのかわからんわ」
「はあ」
「フン、本なんて何がいいんだか、本読んでなさいよあんたは」
裸で煙草吸いながら、ババアが言ったんだと。

こんな言葉を、どの文学者が吐けただろうか。
俺は金言至言だと思ったね。

俺はそのババアに敬意を表するよ。

サルトルだってこんなことは言わなかった。
バタイユだってこんなこと言えなかった。

本物の金言というのは、生活の中にある。

教養主義者たちよ!文学者たちよ!

このババアの言葉を腐った脳味噌によく刻み込め

「あんたは本でも読んでなさいよ」

裸で煙草をふかして、ババアは言った。

俺は悔しくなったね。

紙切れ一枚で体を売るババアのほうがよっぽど人生ってもんを分かっていた。

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