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超私的グルメ(7) ヤギのチーズのピザ

 ピザは子供たちも大好きで、一時期はパン焼き機で作ったピザ生地を使って、思い思いの具材をのせた自家製ピザを作っていました。宅配ピザは、コロナ禍で売り上げを伸ばしているみたいですが、なぜだか我家は宅配ピザを注文したことがありません。今回は、アメリカに住んでいた時に食べたクセの強いピザのお話です。

 私はその店に入ったことがないのですが、イタリア系アメリカ人がやっている美味しいピザ屋さんがあると、妻から何度か聞いていました。小さな間口の店ですが、年代物のピアノが置いてあり、自由に演奏できるとのことでした。そこの店のウリは、こだわりの自家製チーズが美味しいことでした。一番人気は、ヤギの乳から作ったチーズをのせたシンプルなピザでした。

 ある時、家に戻ると家の中から異臭がします。何の臭いだろうと、家に入ると、妻が「美味しいピザを買ってきた」と言いました。なんと、異臭の正体は、そのピザだったのです。玄関先でも臭いが分かるくらいですから、台所でピザの臭いを嗅いだときは、卒倒しそうでした。思わず「クセー」と言ってしまいました。しかし、ピザの見た目は普通で、薄めのピザ生地の上にたっぷりと”ヤギのチーズ”がのっていました。

 最初は、鼻をつまんでそのピザを食べました。すると、クリスピーな触感の生地とともに、チーズのコクと旨味が、口中に広がりました。「クセーけど、ウメー」。文字通り、クセになる味でした。いまだに、この味を超えるピザには出会っていません。


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