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イギリスとフランスの微妙な歴史的関係

天皇皇后両陛下はチャールズ国王からの招請を受け、6月22日からイギリスを訪問されています。このイギリス訪問に便乗して、イギリスとその隣国のフランスとの関係について書いてみようと思います。

歴史的には、イギリスとフランスは何度も戦争を経験していて仲が悪そうですが、以外と密接な関係があります。現在のイギリス国王は当然英語を話しますが、フランス語を話していた王様がいました。この王様がノルマン朝の初代、ウイリアム一世です。ウイリアム一世は、1066年にエドワード懺悔王が亡くなると、「エドワードの親戚である我がイギリスの王様だ」とばかりに、イングランドに侵攻してウェストサクソンを征服しました。

この時はまだ、ウイリアム一世ではなく、ノルマンディー公ギヨーム2世です。ギョーム2世は、1066年のクリスマスに戴冠して正式なイングランド王となりました。ウイリアム一世はフランスのノルマンディー地方を支配していたので、この王朝は後にノルマン朝と呼ばれることになりました。ノルマン朝が終わっても、その後に続く○○朝の王様は、みんなウイリアム1世の血統を受け継いでいます。

ウィリアム1世の宮廷ではノルマンなまりのフランス語が使用されましたが、時代と共に現地の言葉と混ざり合い現在の英語が形づくられていきました。例えば、鶏肉・豚肉・牛肉を表わすchiken・pork・beefは、動物の原型を知らずに肉の形でしか見たことのない宮廷内の高官たちが使っていたフランス語由来です。それから、公文書などで使われる難しい単語の多くはフランス語由来で、”インク壺の英語”と呼ばれていました。これは話し言葉の英語ではなく、書き言葉の英語を意味しています。

イギリス王室にはいまだに続くフランスの痕跡がありますが、フランスにもイギリスの痕跡が残されています。イギリスに面したブルターニュ地方のブブリュターニュは、”ブリトン(ブリテン)人の国”という意味です。昔は独立国でしたが、1532年にフランス王国に併合されて州となりました。ブルターニュ地方では、イギリス由来のケルト諸語であるブルトン語が話されていました。

ブリュターニュ地方は、若者にお馴染みのクレープとガレットの発祥の地です。これらは、ブルターニュ料理を象徴する料理です。クレープにはバターや塩キャラメルのソースを添えて出されます。また、ガレットは塩味で、そば粉で作られるのが一般的です。トレビアーンざます。

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