生物の進化は爆発的には起こらない
岡本太郎画伯は言いました。「芸術は爆発だ!」。しかし、生物の進化は爆発的には起きませんでした。
カンブリア爆発(Cambrian explosion)とは、古生代・カンブリア紀のおよそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の”門”が出そろったとする現象のことです。この現象は”カンブリア大爆発”と呼ばれる事もあります。しかし、この現象は多くの研究者によって用いられてきましたが、化石記録からのみ見られる見かけ上の現象であり、実際には古生代初期の普通の生物進化であると考えられています。
バージェス頁岩中に見られるアノマロカリスやオパビニアなどの大型捕食動物の出現を証拠として、カンブリア爆発を強力に後押ししたのは、スティーヴン・ジェイ・グールド博士でした。彼はカンブリア紀に生物の異質性が爆発的に増加し、その後は減少に向かっていると主張しました。彼によればこれは偶然か、自然選択では説明できない何らかのメカニズムが存在することになるのだそうです。
グールド博士は、『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』のなかで、アノマロカリスなどの約5億年前のカンブリア紀のバージェス動物群を紹介しました。この本は読み物としては面白いのですが、科学的な考察は・・・なものでした。彼は自説を主張するあまり、かなり恣意的な情報の選択を行なっていたようでした。
私もこの本を読んだことがあり、面白い本だと思っていましたが、科学的な根拠が怪しいことを最近知りました。生物の進化は化石だけでわかるわけではありません。化石という状況証拠だけで、勝手な仮説を立ててはいけないのです。
化石に残っていないだけで、生物の進化は緩やかに、長い時間をかけて進行していきました。生物の進化は決して爆発しないのです。
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