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 『魏志倭人伝』に、邪馬台国の風習として、平民が貴人の話を聞くときには、”うずくまったりひざまづいたりし、両手を地に付けて敬意を示す”という記載があることから、土下座どげざは、古くからの日本の習慣であったのかもしれません。古墳時代の埴輪の中には、下の写真みたいに土下座に見えるポーズをしているものもあります。

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 時代劇などを見ると、大名行列が通る時に、土下座を強いられる庶民などが出てきますが、実際に土下座の義務があったのは将軍や御三家、その地の領主に対する場合だけだったようです。武家社会での土下座はちょっと意味合いが違うようで、土下座は”そのまま斬首されても異存はない”ということだそうです。テレビ時代劇『水戸黄門』では、番組のクライマックスで「控え~、控え~。この紋所が目に入らぬか!」と言って葵の御紋の印籠を出すと、全員がその場で膝まづきます。

 ちなみに、”黄門”というのは朝廷の官職である”中納言”を引退した人に対する尊称です。なので、水戸光圀みとみつくに以外にも”黄門様”は大勢います。しかし、光圀が有名なので”光圀=黄門”となりました。また”太閤”というのは”関白”を引退した人の尊称です。こちらも一番有名なのが、太閤秀吉です。

 少し脱線しましたが、「控え~!」は”土下座しろ”ではなく”膝まづけ”の意味です。英語では、”On your knees!"といいます。現在では、土下座は”敬意の現れ”ではなく”謝罪”に使われます。しかし、土下座には”なりふり構わぬ自己保身の手段”というネガティブなイメージを抱く人が多く、必ずしも土下座の効果は高くありません。時々、選挙で議員がマスメディアの面前で土下座をする光景を目にしますが、あれはほとんどが”パフォーマンス”です。

 最近知ったのですが、土下寝どげねというのもあるそうです。これは若者語で、下の写真のように頭を前方にして俯うつぶせになる姿勢です。土下寝は、土下座よりも”深い真心”を示す際に用いるそうです。本当?。

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