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発想の仕方が違う!?

 将棋のプロ棋士・藤井聡太さんが叡王戦で勝利し、史上最年少の19歳で三冠になりました。現在、将棋のメジャーなタイトル棋戦は竜王、名人、王位、王座、棋王、叡王、王将、棋聖の8つです。タイトル戦には序列があるみたいで、先の順番通りがその序列です。藤井三冠は、防衛していた王位棋聖に加えて、叡王を奪取して三冠になりました。藤井三冠は竜王戦の挑戦者に決まっているので、序列1位の竜王のタイトルを取ると、四冠になります。

 叡王戦が無かった時代に、羽生さんがタイトル戦をすべて制して7冠になった時には、本当にすごいと思いましたし、羽生さんを超える人はもう出ないんじゃないかと思いました。しかし、歴史は繰り返すというか、2-30年するとさらに凄い天才が現れます。羽生さんを超える可能性があるのは、誰が考えても藤井さんしかいません。

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 藤井三冠は、これまでの対局で8割以上の勝率を残していて、これだけでも驚異的です。我々のような将棋素人相手なら、絶対負けることは無いでしょうが、将棋の強い人たちが集まった中での勝率8割越えです。凄いとしか言いようがありません。

 藤井三冠には独特の発想法があるようで、その片鱗が叡王戦を奪取した最終第5局で垣間見えました。藤井三冠が指した103手目の『9七桂』は、解説者を「思考が追いつかないですね…」と唸らせるような手でした。この手はAI(人工知能)が推奨する候補手のベスト5に含まれない、意外な手だったそうです。

 将棋素人の、しかも凡人の私が自説を語るのはおこがましいのですが、藤井三冠の「最善手の発見法」は、通常の方法と違うような気がします。AIなどでは、現在の局面(盤面)からの可能な手筋を、コンピュータの計算力で手当たり次第計算して、最も良い(と思われる)手を探索します。これが、通常の「次の一手」の探索方法です。

 しかし、藤井三冠は抜群の詰将棋力を駆使して、「玉が詰んでしまう理想的な最終形」を頭に描いて、この形になるための手を逆算しているのではないかと推理しています。私の文章力で伝えるのは難しいのですが、通常は「現在の局面→次の局面での最善手」なのに対して、藤井三冠は「理想の最終形→そのための現在の局面の修正」のように思います。つまり考える方向が普通の人の逆なのです。ですから、次の一手が必ずしも、次の局面での最善手にはなりません。わかっていると思いますが、これは将棋の素人によるあくまでも個人の感想(妄想?)です。

 将棋とは全く関係ない、受験生のためのYoutube動画『PASSLABO』のメンバーであるくまたんによる漢文の解説が、先ほどの藤井三冠の発想法(仮)と全く同じ発想だったので、「これだ!」と思いました。漢文(中国語)を読み下して日本語にする場合、漢文にいきなり返り点(レ点)などを付けて読み下すのではなく、ゴールとなる日本語訳をある程度想定した後で読み下すのが、漢文問題を解くコツだそうです。解く問題は、将棋と漢文で全く違いますが、発想法は同じで、いわゆる答えからの逆算です。ただし、どちらの場合も、多くの練習を積んで、理想となる最終形を頭のデータベースに記憶しておく必要があります。

 藤井八冠誕生は是非とも見てみたいですが、将来現れるであろう、まだ見ぬ『未来の天才』にも興味があります。

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