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メンタルの修復:伏線回収の応用

 伏線回収ふくせんかいしゅうの意味は「事前に張っておいた伏線を成立させること」「張られていた伏線が明らかになること」です。アニメやドラマなどのストーリー展開について使われています。伏線は、「小説、戯曲、詩などで、後の方で述べる事柄を予め前の方でほのめかしておくもの」と「後の事の準備として、前もって密かにに設けておくもの」といった意味を持ちます。英語では、タイトル図のようにforeshadowingと言います。foreは”前へ”を表わす接頭語で、shadowingは”影を付けること”なので、”前方を隠す”=伏線、という意味になります。

 2022年のお正月の特番ドラマで『義母と娘のブルース』、通称ギボムスを見ました。連続ドラマの時から思っていましたが、ギボムスは脚本が秀逸で、至る所に伏線が貼られています。さらに、この伏線がドラマの後半で見事に回収されます。ギボムスはミステリードラマではないのに、その手法が鮮やかです。また、綾瀬さんの”笑わない演技”や、佐藤さんの”チャラいダメ男の演技”が、最高です。役者さんは凄いなと、このドラマを見ると強く感じます。

 前置きが長くなりましたが、これからが本番です。最近就職した娘から面白い話を聞きました。娘は、就活で何とか面接にこぎつけても、何度も『お祈りメール』で撃沈しました。私はあまりそういう経験をしたことが無いのですが、度重なるお祈りメールはメンタルに良くありません。もちろん、落ち続けている間は大変だし、成すスベもありませんが、その後の小さな成功体験と結びつけることで、ダメージを軽減できるそうです。名付けて『心の伏線回収療法』です。これは娘が発明した独自の心理療法(?)です。

 例えば”面接に落ち続ける”などの過去の不幸な事実は変えられませんが、就職できたときに、「これまでの全落ぜんおちは、このための伏線だったんだ」と記憶を美化するのだそうです。そうすることで、過去の悪い思い出は変えられませんが、ダメージが少しずつ薄れていくのだそうです。とにかく、小さな幸せ体験があれば、昔の不幸がキャンセルできます。

 この”心理療法(?)”は無料ですし、自分だけで出来るので、過去にトラウマを多く抱えた人にはお勧めです。ただし、過去のトラウマの大きさによっては効果が無いかもしれません。この療法の良いところは、たとえ効果が無くても、これ以上心理状態が悪くならないことです。

 ひょっとすると、メンタルの強い人は、自然とこれができているのかもしれません。

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