お腹のゴロゴロは遺伝子の仕業?
胃腸は丈夫な方ではありませんが、幸い人間ドックの検査には引っ掛かっていません。しかし最近、急激に牛乳が駄目になりました。特に牛乳の味が嫌いなわけではありません。ですが、牛乳を一定量以上飲むとお腹がゴロゴロしてくるのです。
若い頃は、そんなことはありませんでした。しかし年齢とともに、ゴロゴロ率が高まってきました。4-5年前までは、牛乳多めのアイスコーヒーでも大丈夫でした。しかし今では、コーヒーに入れる少量の牛乳でも、体調によってはお腹がゴロゴロするようになりました。体全体に現れるアレルギーとは違うのですが、”賢い腸”が異物として排除するみたいです。
この”お腹ゴロゴロ問題”の原因は、牛乳に含まれる乳糖と呼ばれる成分です。赤ちゃんのときには、私たちは母乳に含まれる乳糖を分解する能力があります。しかし北欧などの一部の地域を除けば、大人になるにつれて乳糖分解能力を失っていきます。大人のおよそ3分の2の割合で、乳糖不耐症と呼ばれる状態に陥ってしまいます。お腹のゴロゴロまで遺伝子によって決まっているようで、どうやら私は遺伝子マジョリティの仲間のようです。逆に3分の1の人々は、乳糖分解能力に関係する遺伝子が変異していて、乳糖分解酵素の分泌が大人になっても維持できます。
イギリスのブリストル大学の研究では、先史時代の人々のDNAの情報などから『人類が家畜の乳製品の利用を開始したのが9000年前(紀元前7000年)であった一方で、乳糖分解能力を授ける遺伝子が登場したのが5000年前(紀元前3000年)であり、人々の間に広く普及したのは3000年前(紀元前1000年)になってからだ』という研究結果を示しています。
これまでの説では、乳糖分解能力は9000年前の乳製品の利用に従って徐々に遺伝子が拡散したと考えられてきました。しかし、この研究成果では5000年前に何かのキッカケで突然出現し、その後現在に至る間に急速に拡散していたことがわかったのです。そのキッカケについては詳しく語られていませんが、”人類の生存”にとって重要なキッカケがあったのでしょう。
乳糖を分解する能力があれば、乳製品を大量消費することが容易になります。そうなれば、栄養状態が改善して生存能力が高まると考えられています。人類が平気で牛乳が飲めるようになったのは、高々5000年前です。しかもまだ2/3の人達は、多量の牛乳は飲めません。
今は牛乳以外の栄養食品が数多くあるので、牛乳が飲めなくても困りません。しかし、大昔に生まれていたら、真っ先に亡くなっていたかもしれません。生まれたのが現在で感謝しています。
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