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アメリカ生活#23 アナグマとアライグマ

 アメリカに住んでいたころ、ボランティアの老婦人から英会話を習っていました。週1回のペースですが、様々なことを教えてもらいました。

 英会話の合間の雑談時に、動物の話になりました。その老婦人はバジャと発音しているのですが、このバジャが私には全くわかりませんでした。彼女が説明するには、「アメリカでは身近な動物(?)で、大きさはそれほど大きくない。毛がふさふさしていて、毛色は黒」らしい。キツネならfoxだし、アライグマだろうかと思って、racoon? と聞いたのですが、違うと言います。結局、その時は分からずじまいで、英会話教室が終了しました。

 バジャの正体が気になったので、家に戻って早速調べました。綴りが分からないので悪戦苦闘しましたが、badgerに辿り着きました。バジャの正体は、badger(アナグマ)でした。アナグマは日本にもいるみたいですが、キツネやタヌキほどポピュラーではありません。なので、バジャにピンと来なかったのです。

 アメリカではバジャ(badger)は身近なようで、Wisconsin 州の愛称は何とアナグマ州 (The Badger State)です。バジャは顔に特徴があり、その模様が記章(バッジbadge)のようなので、badger(バッジを付けた動物)という名前になったみたいです。

 アナグマは肉食の哺乳類で、ヨーロッパアナグマ、アジアアナグマ、ニホンアナグマの3種類がいます。日本にいるのはニホンアナグマで、学名はMeles anakumaです。アナグマは、古くから日本ではタヌキ、ハクビシンなどとともにムジナ(貉、)とも呼ばれていました。

 アナグマは名前の通り、穴を掘って巣穴にしています。この巣穴は大規模になる場合もあって、1つの穴に複数のアナグマ(ムジナ)が住み着いていることも珍しくありません。それで、『同じ穴の狢(むじな)』という諺があるようです。

 小泉八雲が描いた怪談『Mujina (ムジナ)』では、のっぺらぼうになって人を驚かすムジナが出てきます。このように、ムジナとタヌキはしばしば混同されます。これはムジナ(アナグマ)が作った穴を、タヌキがちゃっかり利用することがあるためだそうです。

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