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オジサンのための現代用語#10 ”タピる”と”タヒる”

ちょっとした違いなのに、意味も語源も異なる二つの言葉を紹介します。今回の言葉は”タピる”と”タヒる”です。

”タピる”とは、少し前に大流行したタピオカが入ったドリンク(タピオカミルクティー)を飲むという意味です。タピオカは、ヤムイモのでんぷんから作ったモチモチ触感の食べ物です。何も混ぜないタピオカは、無味無臭のようですが、ミルクティーには黒糖で味付けをした黒いタピオカが入っています。この大ブームは、2013年に台湾で人気を博していたタピオカミルクティーのお店が、東京に出店したことがきっかけでした。今では若者だけでなく、幅広い世代に飲まれています。

残念ながら、オジサンの私は専門店でタピオカミルクティーを飲んだことがありません。コンビニで売っているやつを一回だけ飲んだことがあるのですが、店で飲もうとした時にはブームが終わっていました。このブームの時にできたのが、”タピる”という動詞です。”タピる”を使った例文は、次の通りです。

1.「やっと授業が終わった~。今日、帰りにタピろうよ」
2.「暇だし、タピらない?」
3.「タピりたいけど、ダイエットしているからやめとくね」
ブームが去ったタピオカですが、”タピる”はまだまだ使われているようです。この言葉が定着するかどうかは、タピオカの人気次第です。

次は、似ているのに意味が全然違う”タヒる”です。”タヒる”は、俗に”死ぬ”、”死ぬほど辛い”、”もうだめだ”などの意味で使われるネットスラングです。SNS上では、”死”そのものよりも、”死んだように疲れた状態”や”絶望的に辛い状況”のことを指す時に使われます。これは、半角カタカナで横書きに入力された”タヒ”の字面が”死”の字に似ているのが由来とされています。流行語では、言葉を短くするのはよくある手段ですが、漢字を分解する手があったとは・・・。ネット民達の文化には脱帽です。

”タピる”を使った例文は、次の通りです。
1.「バイトが忙しすぎてタヒる~」
2.「3徹はさすがにタヒった……」
3.「バイトのシフトがマジきつくてタヒる~」
4.「昨日ドラマを10話一気見したらタヒった」

”タヒる”を自分に対して使う分には問題ありませんが、他人に対して使う時には注意が必要です。つまり、命令形で使う”タヒれ”が問題なのです。”タヒる”についてググっていたら、面白い記事を見つけました。大阪の弁護士さんが、2019~20年頃、「弁護士費用を踏み倒す奴はタヒね!」などとツイートしたそうです。このことが問題となって、日弁連が懲戒処分を下したそうです。しかしその後、日弁連から「表現の自由として許される」として懲戒処分が取り消されたそうです。

特定の個人に対してではなく、不特定多数を対象としたツイートなので、そのような扱いになったのかもしれませんが、”タヒね”と言うのは少し品性に書ける気がします。それから、”死ね”という意味の”タヒね”が表現の自由で許されるのは少しモヤっとします。

”タヒる”の二番煎じですが、”イヒる”は如何でしょうか?。あまり使い道が無いかなぁ?。

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