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過度な一般化 あなたは騙されていませんか?

私にも経験がありますが、子供時代に親に何かを強請ねだる/買って欲しいモノがあるとき、「○○(買って欲しいもの)は、クラスのみんなが持ってるんだよ」などと言います。けれども、親は騙されてはくれません。冷静な親なら「みんなって、誰と誰?」。もちろん、実際にはクラスの全員が持っているわけではないので、具体的に名前を挙げても数名程度、多くても5人くらいです。

このように、人は意図したり/無意識に、”過度な一般化”をします。子供のおねだりならまだ可愛いものですが、悪意を持って使われる場合があるので、気を付けなければなりません。この”過度な一般化”は、詐欺や詐欺まがいのセールストークでよく使われます。「絶対に儲かる投資話がある」というのは、”過度な一般化”の好例(悪例?)です。こう言う話に騙される人が少なくありませんが、”絶対に”などということは”絶対にありません”。ましてや、リスクの高い投資なら、絶対などは有り得ません。

しかし、三段論法などを使って巧妙に間違った”過度な一般化”を捏造することはできます。例えば次のような具合です。

カモノハシは卵を産む⇒カモノハシは哺乳類だ⇒全ての哺乳類は卵を産む

カモノハシは確かに卵を産む哺乳類ですが、哺乳類で卵を産むのは単孔類のカモノハシとハリモグラの仲間だけです。この一見正しそうな三段論法の間違っている所は、哺乳類の中で特殊なカモノハシだけを例として、哺乳類全体をカテゴライズしようとしているところです。三段論法にはなりませんが、本当ならこんな感じの論理の流れになるはずです。

カモノハシは卵を産む⇒カモノハシは哺乳類だ⇒哺乳類にも卵を産むものがいる

これなら問題ありません。つまり、少ないサンプル(カモノハシ)から母集団全体(哺乳類)を推定するには無理があるのです。これは少し統計を学べばわかります。しかし多くの人は統計的な知識を持たないので、コロッと騙されてしまうのです。

よくダイエット食品の広告などで、利用者のビフォー&アフターの比較写真が使われます。もちろん、この比較写真自体は何ら問題ありませんが、この写真から”全ての人に効果がある”かどうかは全く分からないのです。ひょっとすると、この写真の例は百人試した中で唯一成功した人なのかもしれないのです。本当のダイエット効果を示したいのなら、少なくとも数百人の体験者から体重の増減量を聞き取り、その平均値を示すべきなのです。

世の中には、一見正しそうな”歪められた統計データ”が存在します。くれぐれも騙されないように、基本的な統計知識は身につけておくと良いでしょう。最後は、ちょっと上から目線みたいになってしまいました。しかし、そんな意図はありませんのでお許しあれ。

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